ザ・グレート・展開予測ショー

ひのめ奮闘記(その4)


投稿者名:ユタ
投稿日時:(03/ 3/ 8)











プルルルル・・・プルルルルル・・・プルルルルル・・・プルルルルル・・・

その日美神家(美智恵宅)に電話のコール音が響いたのはPM8時のことだった。


「はい、もしもし美神ですが」

すでに寝巻きに着替えた美智恵が受話器を持ち上げ対応した。

『あ?ママ・・令子だけど』

「あら、令子どうしたの?」

電話の主が自分の娘と分かると美智恵は少しリラックスした声で返答した。
そして近くの椅子を持ってきてそこに腰を掛ける。

『ん、ちょっとね・・・・ひのめ・・・今日どこかおかしいとかなかった・・・・?」

「うん・・・少しね・・・」

ひのめの名を聞いて美智恵の表情と声が少し暗くなった。

「なんていうか、無理してる・・・って感じかしら。私の前では笑ってみせるんだけど・・・・」

『そっか・・・・』

「何か知ってるの?」

「うん・・・多分ねウチの子が原因だと思う・・・」



side横島宅


『蛍達が?』

娘の落ち込みの原因が我が孫だと言われ少し慌てる美智恵。

「今日ね、ひのめから画像メールが来たんだけど、そこに神通棍を振り回す忠志が写ってたのよ・・・」

令子はそういって居間の隅っこで「エグ・・・ヒグ・・」と泣いている忠志をチラっと見る。
ちなみに蛍と令花はその光景に慣れているのか『我関せず』という感じで二人TVゲームをしていた。

『・・・・・そう・・・ショックを受けたのね・・・・』

「ひのめは普段明るいけど、ママと違って繊細だから・・・・」

『あんたに言われたくないわよ』

「まあ、理由は多分それだと思う」

『そっか・・・・・・・・・・・・・・そろそろアノ事をひのめに話す時期なのかもしれないわね』

「うん・・・・近いうちに旦那と・・・あと子供達も連れてそっちに行くから」

「わかったわ・・・まぁ今日のことは言わないほうがいいわね』

「そのほうがいいかも・・・・じゃあ、また連絡するから」

『分かったわ・・・・・・・・・・・ねぇ』

「何?」

「寝る前にちょ〜とだけ可愛い孫達の声を♪』


ガチャっ

プー・・・・・・・・・・プー・・・・・・・プー・・・・・・・・・・


「何よ!ちょっとくらいいいじゃないーーーー!!」

美智恵は年にあわずプンプンと怒りながら受話器を置いた。
そして、椅子を片付け自分の部屋に向かう・・・・だが、その足をふと止め、
顔を少し右に傾け目の前のドアのネームプレートを見つめる。

(ひのめ・・・・・・・)

心で一言呟くと美智恵はまた静かに歩き出した。
今、顔をあわせるのはひのめが傷つくような気がしたから・・・・・・・・・




side横島宅


「ったく、ママが蛍達と話すと長いんだから・・・」

先ほど乱暴に切った電話にむかって話しかける令子。
こちらもやれやれと言いながら椅子を片付けた。

「ママ、誰と話してたの?」

末の娘・令花がテクテクと近づいて母に話しかける。
令子はクスっと笑顔を浮かべるとやさしく令花の頭を撫でた。

「ん?ちょっとね・・・・ほら、令花、ゲームもいいけどそろそろ宿題やらなきゃ」

「うん!令花まだ宿題忘れたこと無いもん!」

「偉い偉い!・・・・ほら、蛍も」

「分かってるって!あと15分で終わるから!
・・・よっ!くそ!何よこの敵機!物理的にそんな避け方出来るわけないでしょーー!!」

ゲームに向かって現実を述べても無意味なのだが、科学大好きの蛍は納得いかないのか、
先ほどからゲーム画面に向かって文句を言い続ける。

「ったく・・・・」

令子は蛍を見て一つタメ息をつくとスタスタと忠志のもとへ歩いた。

「・・・・忠志、こっち向きなさい」

令子はしゃがんで、背を向けて座り込んでいる忠志に声をかけた。
忠志はその声に一瞬ビクっとしながらゆっくりと振り返る。

「どうして怒られたか分かってる・・・?」

「ヒグ・・・エ・・・ッグ・・・うん・・・」

忠志は溢れる涙を袖で拭いながらコクっと頷いた。

「反省した?」

「エう・・・アっグ・・・・・うん・・・ひぐ」

「よし!・・・・・・じゃあ、風呂入ってきなさい、夕飯用意しといてあげるから」

令子は先程と同様優しい笑みで忠志の頭を撫でる。
忠志は返事はせずに頷くと立ち上がり、風呂場へとむかった。

「ふぅ・・・・・・・・・・こら!蛍もいつまでやってるの!?」

「分かってるわよ!もう!」

腹の虫が悪かったのだろう、蛍は語気を強めて返事をすると乱暴にゲームのスイッチを切った。

「こら!ちゃんと片付けなさい!」

「後でやるわよ!」

蛍はそういって令子の横を早足で去るとドタドタと二階の自室へ向かった。
令子はやれやれと残されたゲーム機を片付け始める。

「はぁ、反抗期かしらねぇ」

ゲーム機を片付けながら令子がボヤいていると

「おーい!ご主人さまのお帰りだぞ〜」

玄関のほうから間延びた声が聞こえてきた。
その声を聞いてはぁとタメ息をつきながらも少しだけ笑みを浮かべて玄関へ向かう令子。

「ったく・・・もう少し早く帰ってきなさいよ」

「しゃあないやろ〜!大事な打ち合わせだったんだからー」

令子の夫・・・横島忠夫は「もう少しやさしく出迎えてくれよ」とボヤきながら手に持ったカバンを令子に手渡した。




















PM10時・・・横島家台所。

「ぷはっー!やっぱ令子の作るウイスキーは美味いなぁ〜」

「お世辞言ってもお小遣いは上がらないわよ?」

その一言にしくしくと涙する横島。
現在月お小遣い2万5千円・・・必要経費はもらえるのだから日常苦労することはない。
それでも月の稼ぎの何千分の1しかもらえないなんて納得いかないと交渉を重ねるがことごとく敗北してきた横島だった。

「そういや、忠志と一緒に風呂入ったけど、あいつ何で泣いてんだ?」

「今日、私の神通棍を持ち出したのよ」

「はは、またやったのかあいつ・・・・まぁ、イタズラ盛りの年頃だしな」

「もう!あんたそうやって甘やかすから私がいつも怒らなくちゃならないんじゃない!
おかげで子供から見て完全に悪役よ、私」

「感謝してるって・・・最近は子供のこと任せっぱなしだからな」

「蛍も最近はあんたになついてばかりで私の言うこと聞かないし・・・」

令子は先ほど帰宅した横島の抱きつく令花、そして蛍を思い出し「はぁ」とタメ息ついた。

「わかった、わかった。ちゃっと子供達に言い聞かせておくって・・・・・・・・ところで」

横島は少しだけ声のトーンを落とし令子の顔を見たグラスの氷がカランと音を鳴らした。

「話があるんだろ?・・・」

「うん・・・」

横島の問いかけに令子は短く返事をした。
この時間に令子が酒を作る・・・それは話があるという暗黙の了解だった。

「ひのめのことなんだけどね・・・・」

「ひのめちゃんの?」

横島はグビっとグラスのウイスキーを飲み干すとテーブルの上に置いた。
令子は間を空けずそのグラスに酒を注ぐ。

「最近、自信をなくしてるみたいなのよ・・・・・・・・・やっぱり六道女学院に行かせたのは失敗だったのかも」

「そっか・・・・」

クルクルとグラスを回す令子。その表情はどこか落ち込んだように見える。

「問題は霊力・・・・・・・・か。12年前のアノ事件以来発火能力と同時に霊力まで落ちたからなぁ」

「あのときは良かれと思ってやったんだけどね、まさか今になって裏目に出るなんて」

「でも、ひのめちゃんの成長しだいでどうにかなるはずだろ?」

「そうなんだけどさ・・・・そろそろ話してもいいかなってママと相談したの」

「お義母さんと?」

横島は結婚当初は美智恵のことをそう呼ぶのに違和感があったが、
さすがに結婚17年目を迎えると慣れた呼び方になっていた。

「うん、だから今度の日曜日ママのところ行くから・・・
あんたも来てよね、あと子供達も連れて行くわ」

「そうだな・・・蛍達も知っておいたほうがいいかもな・・・・・・・・・・」

「うん・・・・・・・・。・・・・・・・・じゃあ、そろそろ寝ましょうか・・・」

そういってグラスを片付けようと立ち上がる令子。
しかし、その令子を横島がギュっと後から抱きし締めた。

「ちょっ!」

「久しぶりにシよっか?」

「え?」

「日頃あんまりかまってないからさ・・・」

「そ、そんないいわよ!疲れてるでしょ!?」

「気にするなって」

横島は微笑みながら軽く令子の唇にキスをした。

「じゃ、先行って待ってるから、ハニー♪」

「何が、ハニーよ」

そう言いながらも鼻歌まじりで後片付けをする令子だった。






















PM11時15分


(トイレ、トイレ・・・)

基本的に早寝早起きな忠志が寝ぼけ眼(まなこ)で階段を下りてきた。
閉じそうな目をゴシゴシとこすりトイレへ向かう途中・・・

『ん・・・・あ』

どこからか甘い女性の声が聞こえてくる。
その声に眠気から完全に覚醒する忠志。
どこだどこだと耳を澄ます・・・・・・・・・そして音源・・・・・・・・横島達の寝室へとこそ〜っと忍び足で近づく。


『あん・・・・・・・・・そこダメぇ』

『ふふ・・・・令子はここ弱いもんなぁ〜』

『いじわるぅ・・・』

日頃聞いたことない母の声に忠志の鼓動が早くなる。
そして気付く・・・・・・・寝室のドアが1cmほど開いてることに・・・・

(ゴク・・・・・・・お父様・・・お母様・・・息子の性教育にご協力を〜)

高鳴る心音抑えつつ忠志が見たもの!それは・・・・



『ああ、あ、そこぉーはあ…ああ』


美人妻令子は悶える。
愛夫横島のテクによって…

『ん?ここか。ほらほら!』


『アーーーー!・・・・・・・・・・・・・あん・・・・・・・・・・・・・もうダメぇ・・・・・はぁはぁ・・・・・あなたって・・・・ホント上手よね
































肩揉み』






11時25分横島家・・・・・・・・・

そこには親の寝室の前でで静かにズッコける忠志、
「あー気持ちよかった」とグルグル肩をまわす令子・・・


そして・・・ズっコケる忠志を見つめながら

「それ、私もやったのよね・・・・」

と呟く蛍の姿があった。






                                         その5に続く









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