ザ・グレート・展開予測ショー

ベイビートーク!!(後編)


投稿者名:ライス
投稿日時:(03/ 3/ 8)



「そうだ、シロ。そろそろおしめ替えて上げる時間じゃない?アンタやりなさいよ。」
 ベッドに横たわっていたタマモが時計を見て言った。

「エ〜?何で拙者が……」

「だっていっつも、私がやってばかりでアンタ、やろうとしないじゃないの?今日ぐらい、アンタがやったって構わないでしょ?」

「……分かったでござるよ、やればいいんでござろう?」
 シロは渋々と近くに来ていたひのめを抱きかかえると、替えのおしめがある居間に行き、テーブルにひのめを置く。その後の手順は省くとするが、シロがひのめの付けていたおしめを取る時のことだった。 おしめの後ろに何かが貼り付いていて、おしめが取れない。シロは不思議に思って、ひのめを後ろに向かせた。すると、ひのめの背中には一枚のお札が……。

「何でこんな所にお札が……?」

『良いところに気付いたでち、犬っころ!!そいつを早く剥がすでち!!』

「でも、これを取らないとおしめが替えられないでござるし……、イイや、取っちゃうでござる!」
 そしてお札は剥がされた。

『イヨッシャアァァァァ!?ナイスアシストでち、犬っころ!!これでおきなく能力を解放できるでち!!』
 背中のお札を剥がした途端、空気がパリパリし始めた。それに気付かぬまま、シロはひのめのおしめを替え終えていた。

「これでヨシッと。………それにしても、何か変でござるな?周りがパリパリしてるでござる……、ま、いいでござるか。ひのめどの、行くでござる。」
 シロはひのめを再び抱くと、部屋と出て行く。しかし、そのパリパリ感を収まらない。

『フフフ……でち!!まず手始めに、この犬っころに……、』
「ダァダァ……!!」

「な、なんでござるか、ひのめどの?そんな暴れると、落ちちゃうでござるよ?」
 ひのめはシロの腕の中で暴れ出す。すると辺りのパリパリ感がひどくなっていく。「こ、これは!?」とシロが思ったときにはもう遅かった。

「ダァ〜〜〜〜ッ♪」

「ンワチィィィィィィ!?」
 突然、シロの頭が燃える。シロは熱がりながらも、ひのめは落とさないで猛ダッシュで自分の部屋へ戻ってきた。

「ちゃんとやってくれた、シロ?アンタ、不器用なんだから……って、ど、どうしたのよ!?あ、頭燃えてるわよ!?」

「拙者にも何がなんだか分からないんでござるぅ!?」

「と、とにかく、火を消さないと……!」
 水がないのでタマモは枕で叩いて消そうとするが、火はなかなか消えない。やっとのことで火を消すと、タマモはシロを問い正し始めた。

「アンタ一体、何やったのよ!?消したアンタの頭の火、私の狐火そっくりだったわよ!?」

「だから、拙者にも分からないんでござるよ!!」

「こんな事、私以外に………、!!」
 タマモはとっさにひのめの方を向く。何かに気付いたタマモはシロの胸ぐらを掴むと、
「アンタ、ひのめちゃんのおしめ替える時に変なコトしなかったでしょうねぇ?」

「エ、アト……、エェ〜ト、その、た、確か背中にあった変なお札を剥がしたでござるが……、」

「バカ!!あれはひのめちゃんの能力を抑えるためのお札よ!?ひのめちゃん、赤ん坊とは言えパイロネキシストなんだからね!?」

「な、なんでござるか、その「ぱいろねきしすと」って……?」

「……平たく言えば、狐火が使えるって言う事よ!?」

「…………それって、ヒジョーに不味いことでござる……よね?」
 二人は揃って、ひのめの方を向いた。するとひのめは天使のように微笑んで、ハイハイして二人の方を向かってくる。

「ダーダ、デデデッ、キャァ〜♪」
『フフフ……、二人とも覚悟するでち。潔く丸焦げになるでち。逃げ場はないでちよぉ!?』
 にこやかに這いずり寄ってくるひのめ。その異様な雰囲気を感じたのか、シロとタマモは後ずさりしながら、ドアにすり寄る。

「ここは逃げた方が得策でござる……!!」

「えぇ、その方がいいみたいね……。後は怒られるの覚悟で美神さんに新しいお札をもらいにいかないと。」

『何をごちゃごちゃ言ってるでち!!じれったいでち、まずはお前が燃えるでち!!』
「ダァ〜〜〜ッ!!」

 ゴゥッと音がすると、シロの服が燃えだした。するとシロがあわてふためく。
「ワッ、ワッ!?」

「ホラ、もたもたしてないで逃げるわよ、シロ!?」
 手で服を叩こうとするシロの襟を引っ張って、タマモはドアの外へと逃げる。そして階段を駆け下りると、そこにやってきた横島にぶつかった。

「イテテテ、なんだよ?いきなり……」

「あ、横島、来てたの?ちょうど良かった、後は任せるわ!?」
 そう言って、タマモは足早に美神のいる部屋に向かっていった。ぶしつけにタマモに頼まれた横島は何が何やら分からなかった。

「なんだ?アイツ……、任せたとか言ってたけど。部屋の掃除か何かか?」
 とにかく訳が分からなかったので、とりあえずシロ達の屋根裏部屋に言ってみることにした。ドアを開けて入ってみると、そこにはひのめがポツンと一人でいた。

「なんだ、ひのめじゃねぇか?アイツら、ほったらかしにして……」
 そう言いながら、ひのめに近づく横島。

「ダァ〜ア、デデッ……」
『なんでお前が来るでちか?よこちま。来るなでち、近寄るなでち!!さもないと燃やすでち!!』

「アイツら、ひのめの世話を任せたって言ったのか?ったく、しょうがねぇな……。」
 文句言いながら、ひのめを抱く。

『ひのめに触ったでちね……?こんな赤ん坊にまで、セクハラかますなんて許さないでち!!おね〜ちゃんに変わって成敗するでち!!』

 再び腕の中で暴れ出すひのめ。横島はそれを落とすまいと支えようとするが……、その時に危険を察知した。

「? なんだかパリパリするなぁ……? !! ま、まさか……!?」
 抱いていたひのめを見る。するとひのめを床に下ろすと、横島はさっきのシロ達のように後ずさりする。

「オイ、止めてくれよ?何でオレばっか、こんな目に……!?」

『お前なんか、燃え尽きるでち〜〜〜〜っ!?』
「ダァァァァァァァ〜〜〜ッ♪」

「ニィギャァァァァァァァ!?」
 横島は瞬時に炎に包まれ、騒音のような叫び声を出す。それを聞きつけるかのように、美神達が屋根裏部屋に向かっていた。

「今の声、横島さんの叫び声ですよね……?」

「そうみたいね……。急がないと。ったく、シロ!!アンタがいけないのよ!?勝手にひのめのお札をはがすから!!」

「それはもう十分に反省してるでござる……」
 シロは美神にゲンコツを喰らい、頭を抱えている。それはタマモも……。

「とにかく、ひのめに新しいお札を貼らないと……。アンタ達、当分オヤツは無しだからね!?」
 そうこうする内に屋根裏部屋のドアへ。美神はドアに耳を当てて、中の様子を窺う。

「変ね………、何も音がしないわ?どうしたのかしら、ま、横島クンはどーでもいいけど……。」

「美神さん………。」
 何も言えなくなってるおキヌちゃんを尻目に、美神はもう一度、中を窺うがやはり物音はない。

「音がしないから、入ってみるしかないわね……。じゃあ、開けるわよ?」
 勢いよくドアを開け、中に入るとそこには全身焼き焦げた横島の姿と、すやすやと床で眠っているひのめの姿があった。どうやらひのめは能力の使い過ぎか、疲れて眠ってしまったようであった。

「なんだ、寝てるじゃないの?お札剥がしたっていうから、心配したけど。」

「でも、さっきまで起きてたんでござるよ!?」
 シロはその証拠に自分の頭と燃えた服を指さして、美神に見せる。

「分かってるわよ、ただこれだけで済んで良かったって事よ。」

「それにしても…、眠ってるとやっぱり赤ちゃんですね……。」
 おキヌちゃんはひのめを見て、言った。

「そうね……。あっと、忘れない内にこれを貼らないと……。」
 美神はひのめの背中に新しいお札を貼る、今度はおしめに重ならないように。

「これでヨシッと。さてお昼にしましょうか。シロ、ひのめを育児ベッドに置いてきなさい。」

「はい、でござる。」
 シロはそぉ〜っと、ひのめを持ち上げると部屋から出ていった。美神は背伸びをすると、一言。

「あ〜ぁ、拍子抜けしちゃった。ところでおキヌちゃん、今日のお昼は?」

「えぇっとですね……、」

 そう言いながら、美神達は屋根裏部屋から出ていく。その後、シロ達は起きたひのめの世話でさっきの倍以上疲れて、横島は夜になるまでそこにほったらかしにされたの言うまでもない。そしてひのめは今日も元気であったとさ。


 おしまい

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