ザ・グレート・展開予測ショー

魔人Y−35


投稿者名:NAVA
投稿日時:(03/ 3/ 5)






結局、横島の真意を図りかねた美智恵達は、一旦解散することに。
それぞれの身内・関係者などに挨拶に行く者もいれば、早速横島の行動を調べ始める者もいる。
前者がおキヌやシロであり、後者が美智恵や西条だった。
そしてのどちらにも属さない行動を取る者もいたのだが。

とりあえずは、それぞれに一時の休息を取り始めた。








――――美神除霊事務所――――


独房生活の息苦しさから解放され、やっと一息付いた美神除霊事務所の面々。
だがその表情は常に重苦しさを纏わせ、笑顔がこぼれることなどなかった。


「私……一度実家に顔を見せに行きますね。
 お父さんや早苗に心配かけたでしょうし」

「そうね。
 電話しただけじゃ不義理って奴ね。
 好きになさい」

「拙者も一度、里に帰って報告してくるでござる………」

「アンタもか……好きになさい」


そんな会話が交わされた後、二人は早速帰省してしまった。
令子としても、現状の把握やこれからするべきこと。
考えたいことが沢山あるために、むしろ一人の時間が欲しかったところ。
丁度良い申し出だった。





「タマモ?」





自分の考えに没頭していた令子は、タマモがいつの間にか姿を消したことに、すぐには気付かなかった。







――――焼け落ちた教会前――――




「のぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおっ!!!!」


頭を掻き毟る唐巣神父。

あ、毛がハラリハラリ。




――――弓邸前――――


ゴクリ

雪乃丞は緊張の極地にあった。
元々、モグリの仕事をやっていた彼である。
テロリスト扱いされようが、あまり気にしていなかった。
親友と書いてライバルと読む、そんな横島の魔族化というショッキングな事件があったものの、実際、修業仲間だった勘九郎が魔族化した経験もある。
だからあまり気にしてなかったりするのも彼であった。

『ダチが魔族で何が悪い?』

それが彼の偽らざる本心であった。
反骨精神の逞しい彼がGS協会に反感を持っていたのは当然のことなのだが。

それはともかく、解放された帰り際に六道女史からこっそりと耳打ちされたのだ。

『弓家のかおりさんね〜、心配してご飯も喉を通らないそうよ〜?
 当然よね〜、親友と恋人が捕まって〜その縁で実家まで危険な状態になったんだから〜。
 お父様なんて〜、カンカンに怒ってたのよ〜?』

――――ついに年貢を納める時が来たのかも知れない。


そして彼はついに門を叩く。初めて叩く。

そんな彼を待ち受けるのは、天使の微笑みか、鬼神の怒りか?







Answer:天使と鬼神の怒鳴り声でした。



――――オカルトGメン日本支部・美智恵専用執務室――――



「さて、今回の事件に関連した全ての報告をお願いするわ」

「はい、全てこのレポートに纏めてあります」

そう言って、美智恵と西条にそれぞれ1部ずつ手渡す部下。
その手際の良さに、満足しつつ美智恵は労をねぎらう。

「相変わらず手際が良いわね」

「そうじゃないと、上司が厳しい方ですから」

ニヤリとする3人。

「それと、さきほどまとめて挨拶しましたが、ここでもう一度。
 無実を信じてました。ご苦労さまでした」

「何か刑務所から戻って来たヤクザとその子分みたいね?」

「無実とは言い難いですからね。
 証拠を持ち帰れなかった我々は、本気でただのテロリストですよ。
 横島君の一件で、協会の連中も動揺して気付いてなかったようですが」

苦笑しつつ答える西条。

「だから馬鹿なのよ。あの連中は。
 本当に………あれでも元は一線で働いてた一流のGSばかりなんだけどね」

「権力は人を腐らせる。誰の言葉でしたか。
 人格が腐ったら、あとは能力が腐るのを待つだけでしょう?」

「なら私達だけは腐らないようにしましょう。
 さ、まずはこれに目を通さないと」




こうして独房から執務室へ、缶詰が移される二人だった。





――――妙神山――――


「災難じゃったな小竜姫よ」

「いえ………まさか妙神山へ通して頂けるとは思いませんでした」

「お主の姉上からも宜しく頼まれているし、何よりワシにとっては弟子であり、孫のようなものじゃ。
 お主に閉ざす門はない。
 鬼門どもも快く通してくれたじゃろ?」

「………ありがとうございます、老師」

「気に病んでおるか。
 気にするなという方が無理じゃな………」

「はい………」

「確かに、あのような形で半魔と化した神族は初めてじゃろうな」

「………私のこともそうですが、横島さんを元に戻せないのでしょうか?」

我が事のように横島の心配をする小竜姫。
その姿を微笑ましく思いながらも、事実は事実と答える。

「力の継承によって魔族化した事例は皆無ではない。
 だが、それが魔神級の力を継承するともなれば話は別じゃ。
 そして小竜姫よ。
 お前の中に埋め込まれた魔族因子は定着を始めているようじゃな?」

「はい………あの直後よりはずっと体の調子が良くなりました。
 恐らくは馴染んできているのでしょう」

「半神半魔か………」

「………」

「小竜姫よ。
 横島を止めたいか?」

唐突な話題変換に戸惑う小竜姫。
だが、横島個人に対しては非常に好意的なモノを持っている。
出来るものならば救いたい。
そんな気持ちは本物だと思った。
だから、

「はい」

きっぱりと断言した。
その様子に迷いが無い。そう判断した斉天大聖は一つの命令を小竜姫に下す。

「ならば魔界へ往け。
 そして横島の傍へ赴き、あ奴の真意を確かめよ。
 手段、そして期間は任せる。
 己の目と耳で調べ、判断を下せ」

「半魔と化したこの身には丁度良いかも知れませんね………」

「うむ。
 幸いなことに、横島からパピリオの帰還要請が来ておる。
 誰ぞ迎えが来よう。
 それに付いて行くが良い」

「パピリオが?」

「実際に魔界へ往くのは初めてらしいな。
 考えてみれば、あの娘は人界生まれじゃった。
 力の強さについ忘れてしまい勝ちになるが」

魔族とは、普通魔界で生まれるものであり、人界で自然発生するものではない。
アシュタロスの魔力で蝶をベースに作られた魔族。それがパピリオだった。

「分かりました。
 ………今までお世話になりました。
 老師に受けたご恩やご指導の数々、決して忘れません」

礼をしつつ、そう謝意を述べて、小竜姫は荷物を纏めに自室へ姿を消した。


建前はどうあれ、斉天大聖が小竜姫に下した命令を究極的に解釈すれば埋服の毒である。
つまり、いざという時に横島を裏切ることを前提にして仕える。
あるいは情報を流す。
そんな汚れ仕事を任されたのだ。
もはや神界に小竜姫の居場所はなくなっていた。
それを暗に告げることで、斉天大聖は指示したのである。

『手段と期間は任せる』=『好きに生きよ』

と。

横島とともに魔界の一員となるも良し。
飽くまで神族の一員であることを貫こうとするならば、最大の功績――――魔神殺しを出来る立場に置く。
魔神殺しの竜神ともなれば、決して神界も粗略には扱うまい。
それが斉天大聖の親心であった。

そんな老師の心遣いに感謝しつつ、どちらも選択出来そうもない自分がいる。
それを忌々しく思いながら、荷造りをしているその間。



ちょうど別の場所で、やはり荷造りをしているパピリオに、ナインテールの少女が接触を図っていた。


「ポチに会って、どうするつもりでちゅか?」

「美神さん達は考えすぎなのよ。
 横島は横島よ。
 魔族化したことを認められないのね」

「それで?」

「横島がどんな変貌を遂げたのか?
 それを確かめるには、実際に会うのが一番よ。
 それに………本当に暴走を始めたのなら、外側よりも内側から止める方が効率的よ。
 研究所でほんのひと目見ただけだけど。
 あの力は圧倒的だった。
 外側から………力尽くで横島を止めるなんて不可能よ」

「タマモもポチのことを心配してるんでちゅね」

「………アイツだけじゃないわ。
 このままじゃ、私の気に入っている連中がみんな死んじゃうかも知れないから。
 本当に少ないんだ。私が気に入ってる奴ってさ。
 簡単に死なせたくないのよ………」

自分よりも幼いパピリオが相手だからだろうか?
タマモが珍しく本音を明かしている。
普段付き合いの無いパピリオには、それがいかに珍しいかを知る由もない。
しかし、タマモの本気さだけは伝わった。

「小竜姫も来るそうでちゅ。
 三人で頼み込むでちゅよ?」




そして翌日、妙神山から竜と蝶と狐が魔界へ向かうことになる。
戦乙女の名を冠する魔族に誘われて。








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