ザ・グレート・展開予測ショー

世界はいつも流れて……(43)


投稿者名:リュート
投稿日時:(03/ 3/ 5)

 アパートの階段を上る一人の大家がいた。
 その大家は201号室と書かれた部屋の前に止まる。その部屋の持ち主は……

「カオスさん、カオスさん居るのは分かっているんだよ!」

 だが返事が無い……そこで大家は持っていた薙刀でドアを切り裂いて中に入るが誰も居ない。
 大家は、部屋の中を見回して怪しいと思った押入れを開けると……

「あ、あああ!!」

 その中には、カオスとマリアが隠れていてカオスが振るえていた。

「何こそこそ隠れているんだい!!」
「か、隠れていたのではない……暗い所で精神を集中して偉大な発明のアイディアを捏ねくっていたのだ!」
「家賃払っとくれ!」
「だあ……か、か・・…だから新発明が……」 

 大家の一言に固まるカオス。

「今すぐ家賃払っとくれ!!!」
「ぐう…(小声)まったくこの国の人間は金が絡むと、どうしてこんなに強いのだ……」

 キラン!バキドカ!!

「ぎゃいいんん!!だあああ!!」 

 小声で言ったカオスの一言が地獄耳の大家に聞こえて、薙刀でしばかれるカオス。

「今日中に払えないようなら、出ていってもらうよ!!」
「払いますから……ちょっとだけ待ってください……」

 瀕死の状態で涙を流しながらそう言うカオス……
 そして、押入れでその光景を静かに見るマリアであった。





 ここは、厄珍堂。

「ぬふふふふ!!見よ!この偉大な発明を!!カオス式ハシの持ち方矯正器!!特許使用料は利益の50%でよいぞ!とりあえず、百万ほど手付にくれ!」
「悪いけど間に合ってるアルよ!」

 当たり前だけど、あっさり断る厄珍。

「そ、それじゃ、これはどーじゃ!?ボタンを押すだけで3ケタの足し算ができる電子頭脳じゃ!!」
「アホかいっ!!」

 そんな機械時代遅れだよ………っていうか、どうやってその大型機械を出したんだ?確かカバンしか持って無かったような……そうか、そのカバンは取り出しカバンか!?

「こんにちはー!」
「ちゃーっす!厄珍さん、この前注文した品物を取りに来たんですけどー」
「頼むー!!何でもいいから買ってくれっ!!家賃払えんと大家のばーさんが薙刀でぶつのだっ!!」
「ワタシの知ったこっちゃないアルよっ!!」
 
 俺とおキヌちゃんが厄珍堂の中に入るとカオスと厄珍が言い争いをしていた。
 厄珍達、全然俺たちが来てる事に気づいてないし……

「そんなこと言わずに!!頼むーー!!いくらでも構わんから!!」

 カオスが厄珍に迫っていると、逃げていた厄珍が思いっきり銅像に当たって銅像がカオス達目掛けて倒れてくる。

「「どあああー!!」」

 潰されそうになるカオス達だが、マリアが銅像の下に回り込んで銅像を受け止める。

「す、すまんマリア。助かったわい!」
「イエス・ドクター・カオス」

 マリアは返事をしながら銅像を立てる。

「な、なんて凄いパワーアルか……」
「この子、ロボットなんッスよ」
「なっ!ロボットだったアルか!?分からなかったアル」
「ふっふっふっ、わしの最高傑作のマリアじゃよ!」

 得意げに言うカオス。
 まあ、確かにカオスが全盛期の頃に造ったマリアは凄いけど……

「こんな凄いの造れるクセに、なんでさっきはガラクタ見せたね!?こいつは素晴らしいアルよ!!」
「だはっはっはっ………実はな……どーやって造ったか思い出せんのじゃ!」
「「だああーー!!」」

 カオスの言葉にこける厄珍とおキヌちゃん。
 ふっ、カオスは長生きしてるから脳ミソ満タン……だから物覚えが悪く何か覚えたらトコロテン式に忘れていくんだよな(笑)

「いや〜、長生きはするもんじゃないの〜」
「その娘売らないか?」
「い、いや!これだけは売れん!!」

 なんか他の人が聞いたら誤解される言い方だな……人身売買?

「あの〜、厄珍さん。品物は……」
「一千万!い、いや、五千万出すよ!!」
「い、いや、こいつがおらんとワシは何にもできんでな」

 おっさん二人が盛り上がって、おキヌちゃんの話し聞いてない。

「しょうがない……とりあえず品物を持って帰るか、おキヌちゃんは破魔札と吸引札の方をお願いするね。数と種類は間違えないように気をつけて!」
「はい、分かりました!」

 俺とおキヌちゃんは注文していた品物を探す。

「えっと……霊体ボーガンの矢は十本と、結界用のお札は20枚で……あと簡易結界は……あっ!あそこか……」

 俺は棚の一番上に簡易結界のロープが半分はみ出しているのを見つけた。
 だが、俺は気づいていなかった……このロープがこの後の大事件のきっかけであることに……

「かなり上にあるな……よし!せ〜の〜、それ!!」

 俺はジャンプしてロープの端を持つ、そして俺の体は重力に引かれて地面に落ちる。当然握っていたロープも引っ張られる。だがついでに恐ろしい物まで引っ張られた……

「あれ!?意外に手応えがある!!ってあれは!!」

 俺が引いたロープにはなんと小さな壷が引っ掛かっていて、それはロープを引っ張った勢いで俺の後ろのマリアの方に飛んでいく。そして……
 ヒューン!ガシャアアアンン!!
 飛んでいった壷はマリアに直撃して割れ、マリアと置いてある石像に壷の中に入った薬がかかった。

「……あああ……も、もしかして……あの壷って……」
「ボウズ何してるアルか!ガチャガチャうるさいアルよ!!」
「マリア!どうした?」

 カオスがマリアに声をかけるが何にも反応が無い。
 き、気のせいかマリアの瞳が潤んでるような……

「ん?ああっ!!こ、これは……」
「横島さん・愛して・ます!」
「や……やっぱり……ほれ薬なのか!!!」
「おい!マリア!!」

 俺は向かってくるアリアを避けて外に出て扉を閉める。するとマリアもついて来て閉めたドアをぶち破った。
 まさか、こんな時期にこのイベントかよ……

「横島さん……愛して・ます」
「このほれ薬は、強力すぎて発売中止になったものよ!いったん効きだしたら相手の背骨が折れるまで抱きしめて、窒息するまでキスするね!!」

 そんなの棚に並べるなよ厄珍!!

「な、なんじゃと!?マリアに抱きしめられたら背骨どころか胴体が千切れるぞっ!!マリア!止めろっ!!」
「ノー・ドクター・カオス。私・横島さん・愛してます」

 カオスの言葉に全然耳を貸さないマリア。
 あ……あはははは……これってマズイな……

「お、おキヌちゃん!!事務所から装備Gを持ってきて!!ついでに冥子ちゃんも呼んできてくれーー!!」
「は、はい!分かりました!!」

 おキヌちゃんは冥子ちゃんの事務所の方向に飛んでいく。

「ワシは一度アパートに戻る!こういう時の為にとっておきの発明があるんじゃ!小僧!ワシが来るまで逃げてくれ!!」
「早くしろよ!俺がマリア壊しても責任は取れないぞ!」

 俺はダッシュで厄珍堂から離れた。

 ドコオオオオオンンン!!

「横島どーん!愛してるでごあす!!ぬおおおーー!!」
「ひええ〜〜!!こいつにも薬がかかってたアルか!!」

 ああ、何か後ろから変な声が聞こえたような気がするが……き、気のせいだな(汗) 
 しばらくの間、走っていると後ろにマリアの姿は無い、どうやら撒いたらしい。

「ぜえぜえ……どうやら撒いたな……はあ〜……。なんで俺ってこんな目に合うんだ……運が悪いのか?それとも誰かの陰謀なのか?」

 それにしても、漫画じゃ横島のことを面白く見てたけど、当事者になると怖いだけだぞ……マリアファンだって少し遠慮したい事態だと思うし……
 俺は少し考え事をしていると。
 ピシピシ!ボコッ!!

「へっ!?」

 ドカアアアアンンン!!
 何と壁を突き破って現れるマリア。

「横島さん……愛してる……」
「ひええ……ま、待てマリア……君の気持ちは嬉しい……嬉しいけど、とりあえず友達でいようじゃないか!!」
「友達?………横島さん・マリア・嫌い?」

 マリアは悲しそうに顔を伏せる。

「へっ!?い、いや、別に嫌いってわけじゃ……友達としては好きの部類に入ると思うけど……」
「マリアは・横島さん・好き!ロケットアーム!!」

 ドコン!ドコン!!
 あ、危ねえ……もう少しで捕まるところだった……

「横島さん・愛してます!」
「だ、だから友達とし……どええーーっ!!」

 ドコオオオンンンン!!
 マリアは顔を突き出して突撃して来た。俺はひらりと回避した為、マリアは顔面から壁にぶつかる。 

「なぜ・キスを・避けますか?」
「い、今のキスだったのか……あんなものくらったら頭蓋骨が粉々になってしまう……仕方ない!これで……止まれーー!!」

 俺は文珠を出して「止」の文字を込めて発動させる。
 そしてマリアは止まった……だが……

「キスを……横島さん」
「あ、やっぱり駄目か……」
 
 マリアの動きは止めたがそれは少しの間だけ、すぐに体が自由になるだろう。
 マリアって対霊機能が豊富なんだよな……やっぱりマリアを完全に止めるには4文字の「機能停止」しか無いか……でも今ので文珠切れ、ストックは事務所にしかないもん……っておキヌちゃんに取ってきてもらえば良かったな……
 パカラパカラ……
 俺が後悔していると、馬のヒズメの音が聞こえた……そして……

「横島く〜ん!来ました〜〜♪」
「おお!あの、のんびりとした声は!!」

 そう向こうからやってきたのはインダラに乗った冥子ちゃん。
 ああ、貴方が天使に見えるのは気のせいか?

「横島くん〜〜乗って〜〜」
「了解っス!!」
 
 冥子ちゃんの乗ったインダラは俺の前にいったん止まる。俺は冥子ちゃんの前に乗ってインダラを走らせてマリアから離れた。

「横島さん……」

 マリアは文珠の効果が切れて動けるようになった。
 そして歩いて行こうとすると、マリアの足の間に棒が割り込みマリアをこけさせようとする。だが所詮は棒、すぐに折れた。

「あ、あはははは〜……ゴメンナサイ〜!!」

 折れた棒を持ったおキヌちゃんはマリアの前から逃げた。
 マリアはしばらくおキヌちゃんが去っていった方向を見ていたが、視線を俺たちが去っていった方向に戻した。
 そして、ジェットエンジンを始動させて空を飛び、横島たちを追いかけていった。



 薬によって暴走したマリアから逃げた横島の運命は!?マリアは冥子ちゃんの暴走で壊されるのか!?そしてカオスの家賃は!?(最後は関係無し)
 次回へ続く……かな?

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