ザ・グレート・展開予測ショー

彼の大きさ(9−1)


投稿者名:ANDY
投稿日時:(03/ 3/ 4)

 ガキィィィィィーーーン!!
「な?!」
「ふ。未熟」
 シロの全力の霊波刀を、狂乱角は懐から取り出した一本の針で受け止めていた。
 そのあまりの非現実性に、シロが固まっているところに鋭い声が響いた。
「離れなさい!バカ犬!!」
 声が聞こえ、一歩離れると同時に先ほどまでシロがいた空間を含んで狂乱角が巨大な火に飲み込まれていた。
「な、な・・・」
「無事?バカ犬」
「せ、拙者を殺す気か!?このクソ狐!!」
「なによ!ちゃんと声をかけたでしょうが!!」
「それにしても何だ、あの威力は!!拙者が身軽だからよかったものの、他のものだったら一緒に火達磨であったぞ!!」
「別にいいでしょうが!!アイツ以外火達磨になってないんだから!!!」
「なにをーー!!」
「なによ!!」
 二人がケンカをしようとしたと同時に、狂乱角を飲み込んでいた火が収束し、爆散した。
「うお?!!」
「きゃあ?!!」
「危ない!!」
 炎が二人を飲み込んだ。が、二人は先ほどまでいた場所とは違う場所にピートと共にいた。
「二人とも大丈夫ですか?」
「か、かたじけないでござる」
「あ、ありがとう。でも、なに?今の」
 ピートに礼を述べる二人。
 二人が炎に飲まれそうになったところを、ピートのヴァンパイア・ミストで救出したのだ。
 そして、炎の出所を見ると―
「な?!」
「・・・バケモノね」
「クッ!!」
 爆心地にいたのは、スス一つついていない無傷の狂乱角だった。
「今、何かしたか?」
 何事もなかったかのような涼しい顔をして、狂乱角は嘲るように声をかけた。
 圧倒的な力の差。
 それを見せ付けられた。
 二人はその現実に心をくじかれそうになった。
 が、圧倒的な力の差を持つものたちに戦いを挑んできた猛者たちがここにはそろっていた。
「は!おもしれえじゃねえか!!おい、ガキども!!そいつは俺がやる、テメエらはすっこんでろ!!!」
「「なに〜!!この釣り目チビが、偉そうに!!」」
「シロ、タマモ!下がりなさい!!雪乃丞、油断すんじゃないのよ!!」
「「な?!美神(どの)!!」」
「おう!だんな達も気をつけろよ!!行くぜ!!狂乱角とやら!!!」
 景気のよい掛け声と共に、雪乃丞は魔装術で身を包み、霊派砲を発射させながら接近戦に取り掛かった。
「タイガー、雪乃丞の援護をするぞ!」
「了解ですジャー!」
 その戦いの場に、一人のヴァンパイアハーフと、一人の獣人が加わった。
「ふ、三人か。よかろう、楽しませてもらおうか」
 三人の殺気を身に浴びながらも、狂乱角は楽しそうな声で三体の修羅を迎え入れた。


「さて、あっちはあの三人に任せて私達も行くわよ」
「美神殿!何故拙者ではなくあの三人にあやつの相手をさせるのでござる!!」
「そうよ、私はまだやれるわ!!」
「うるさい!これはゲームじゃないのよ!!あんたら二人じゃすぐ首と胴体が離婚してるわよ!!!・・・それに、あの三人でも時間稼ぎぐらいにしかならないはずよ。だから、まずセオリーどおりに弱いとこから攻めていくのよ。部下が隊長より強いはずはないから、とっとと倒すわよ。全部倒してまだあっちが決着がついてなかったら、その時は向こうに参戦すればいいでしょうが。わかった?」
「「・・・わかった(でござる)(わよ)」」
 美神のいつもにない、真剣な表情に二人は大人しくなった。
「さて、話がついたところで、行くわよ!!下っ端ーズ!!!」
     ズル!!
「な、なんですか、それは?」
「ふん!雑魚に名前なんて不要なのよ!!下っ端ーズで十分よ!!」
 オキヌの質問に胸を張って答える美神。
 GSチームのメンバーは全員あきれた顔をしていたが、『下っ端ーズ』と呼ばれた狂乱角の部下たちはなんら変わらず立っていた。
(ち!怒って隙を見せると思ったのに。ノリが悪いわねえ)
 そんなことを考えていると、『下っ端ーズ』の一人が声を発した。
「・・・雑魚かどうか、その身で確かめればよかろう。我が名は殺刃(さっば)。参る・・・チィィィィエエエエエエーーーーイ!!!」
 そういうと同時に、殺刃は人の反応できない速度で美神に迫った。その両の手に鋭い鉤爪を身につけて。
「げ!や、やば・・・」
 美神は何とか回避しようとしたが、その速度は人が反応できるものではなく、美神の肉にその鋭い爪が蹂躙しようとしたとき、横から人が出せる速さと力でない攻撃が殺刃に決まった。
「ぐおおお!!」
 顔につけていた仮面にヒビを入れられ、殺刃は吹き飛んだ。
 その仮面の下には、醜悪な悪魔の顔があった。
「ミス・美神。大丈夫・デス・カ?」
「あ、ありがとう。マリア」
 ロケットアームを回収させながら、自分の安否の確認をする仲間に、美神は笑顔で答えた。
「イエ。アレハ・マリア・ガ・アイテヲ・シマス」
「え?一人で大丈夫なの」
「がーはっはっはっは!!ワシを忘れてもらっては困るのー。この、『ヨーロッパの魔人』と呼ばれた、ドクター・カオスをのう。安心せい!!美神令子。
ワシがしっかり指示を出す。お主らは残りを相手にせい。行くぞ!マリア!!」
「イエス!ドクター・カオス!!」
 カオスの掛け声と共に、マリアは殺刃に迫った。
 新たな戦いが始まった。
 機械仕掛けの戦乙女と鋭い爪を持つ悪魔との戦いが。

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