ザ・グレート・展開予測ショー

同棲するって本当ですか?5


投稿者名:ぱらどくす
投稿日時:(99/ 8/21)

後から気がついたんですが、ひょっとして前回このまま小鳩がおキヌのポジションを奪う展開になると思いましたか?
確かにそう読める書き方をしてしまっている。 安心をお届けするお約束屋としては、大ポカでした。
わたくし、そんな非道はいたしません。 それでは、今回を入れてあと2回で終了予定なので、しばしのおつきあいをお願いします。


:2日目、夕方、家

おキヌが風邪でダウンしたということは、すぐに小鳩によって横島とこの家に押しかけていた全員に知らされた。
「横島! てめえが付いていながらなにしてやがる!」
「やかましい! とりあえずおまえら帰れ!」
横島はとにかく皆を帰して、おキヌを寝かせることにした。
小鳩はうろたえる横島に代わって風邪薬を買ってきたり、氷を用意したりして最後まで残っていたが、おキヌのためのおかゆを
作り終わると帰ると告げた。
「それじゃあ横島さん、このおかゆをおキヌさんに食べさせてあげてくださいね。 横島さんはすいませんけど、このラーメンを作
って食べてください。」
「ああ、ごめん、迷惑かけちゃって。」
「いいえ、それじゃあまた明日。」
玄関で見送る横島ににっこりと笑い返しながら小鳩は夕暮れの道を帰っていった。
『なあ、小鳩。 これで帰ってよかったんか? 横島のメシくらい作っていったっても…』
貧乏神が小鳩の後ろにフワフワ浮きながら言った。
「ううん、わたし判るの。 おキヌさんうれしくてがんばり過ぎちゃったから、熱が出ちゃったんだなって。 だから、わたしがそこま
でやっちゃだめなんだと思うの。」
そう答えると小鳩は横島とおキヌがいるはずの家を振り返った。
(でもわたし、明後日からは負けませんから。)
ふと、小鳩は家から陰になる位置に美神の車を見かけた。
小鳩と貧乏神は、美神に事情を教えるのと差し入れを渡すために車に近づいていった。
ちなみに、差し入れの中身は白牛乳とあんぱんである。


:家、おキヌの部屋

「ごめんなさい、横島さん。 迷惑かけちゃって。」
横島がおかゆを持っておキヌが寝ている部屋に行くとおキヌが起き上がってそう言った。
「そんなことないさ、おキヌちゃん。」
「わたし、お仕事なのにはしゃぎすぎたから罰があたっちゃったんですね。 きっと。」
そう言いながら、おキヌは小鳩の作っていったおかゆを少し食べた。
元気そうに振る舞っているが、そうとうしんどいらしくあまり食欲も無い。
「なあ、おキヌちゃん。 他にして欲しいことあるか? なんでも言ってくれよ。」
食べ終わって再び横になったおキヌに横島が問い掛けた。
「…横島さん。 わたし横島さんの歌が聞きたいな。」
すこし間があった後、おキヌが答えた。
「歌? 歌って子守り歌? 俺そんなの…」
「昨日お風呂で歌ってた歌。 あれがいいな。」
「え、あれは…聞いてたの?」
そういえば昨日、風呂場でつい懐かしいアニメソングを歌っていたのを思い出して、横島が赤くなる。

両親に連れていってもらって、すっかりお気に入りになり毎日のように歌っていた劇場版ドラえもん第1作目「のび太の恐竜」
のED『ポケットの中に』。
「とっても、いい歌…だったから。」
おキヌはすでにふとんの中で目を閉じていた。
「じゃ、じゃあ。」
しばらく照れていた横島だったが、やがて歌い出した。
ドラえもんはみんなのポケットの中にいて、気付いてくれるのを待っている。 そしてそれに気付いた時、一緒にポケットの中に
広がる別の世界に旅をする。 そういう歌である。
(そういえばガキのころは、いつかドラえもんと一緒に冒険にでるんだって思ってたな。 でもまさか、美神さんやおキヌちゃんに
出会って、こんなにいろんな目に合うなんて想像もしてなかったけど。)

そんなことを考えながら横島が歌い終わった時、薬が効き始めたのだろう。 おキヌはすっかり寝入っていた。
しかし、安らかな眠りとはいかないようで、おキヌの額は汗に濡れていた。
おそらく病原菌と体の抵抗力が戦っている途中なのだろう。 この汗が引けばの熱もすっかり下がるはずである。
「汗、拭かなきゃ。」
タオルに手を伸ばしかけた時、横島はおキヌのパジャマから覗く首すじや胸元にもびっしり汗が浮いているのを見つけた。
「き…着替えもさせなきゃ…だめだな。」
横島は昨日に続いて再び自分の心臓の鼓動が跳ね上がるのを聞いた。




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