ザ・グレート・展開予測ショー

失われたドクロ(終)


投稿者名:MAGIふぁ
投稿日時:(03/ 3/ 3)



これは少々蛇足なお話である。



「何ですってぇぇぇぇ!!!!」

美神令子の絶叫が病院に轟く。

ばたばたばたどたどた…

「どうしました、美神さん!?」「どうしたの?」「どうしたんですか?」「何があったのかね?」

駆けつけてくる、やけに元気な入院患者達。

まぁ、空腹による失調と検査入院を兼ねているのだから元気でも不思議は無いのだが。

しかし、美神は何事かをブツブツつぶやき続けるだけで、何の反応も返さない。

仕方なく、おキヌが一同を代表して美神に耳を近づける。

「水晶が…水晶が…水晶が…」

美神は繰り返しそれだけを繰り返しつぶやいていた。

「水晶?」

あの鉱脈に何かあったのかな?落盤で壊れちゃったとか…でも、美神さんが特別硬い水晶だって言ってたし…

考え込むおキヌを他所に、横島が行動を起こす。

「ふふふ…以前同じような状態になった時は、結局何も出来んうちに美神さんが復活してしまったが…今度こそそのチチを揉ませ」

バキョォッ!

「んな事させるかぁ〜〜!!!」

あっさり復活する美神。

「あああっ!?しまった口に出していたっ!?」

がすっがすっがすっがすっ!

美神に踏まれつつ、己の失敗に気付く横島。

「成長しないなぁ…この2人…」

ポツリとこぼした唐巣の一言に、全員が頷いた。



さて、これでうやむやになってしまったが何故美神が「水晶が…」と呟いていたのかは…彼女が見ていた書類を見れば分かる。

英文で書かれているその地質調査の報告書には、こう書かれていた。

「この地の水晶の鉱脈は一部を除いてすでに掘り尽くされており、しかも残った物も原因は不明だが砕けてしまっている」

つまり、唐巣やエミが体力を使い果たしてなお普段以上の霊力を発揮できたのも、ピートが暴走状態で無意識に強大な力を発揮したのも、横島の文珠が翼ある蛇相手に劇的なまでに効果を発揮したのも…

実は、あの水晶のお陰だったのだ。

水晶は元々、パワーストーンと呼ばれる力ある石の中でも、占いなどによく使われる強力な石の一つだ。

そして、あの遺跡にあった水晶は特別なもの…その中に若干とはいえ霊力を蓄えていた逸品だ。

しかし、精霊石でさえもその身に蓄えた霊力を放出したら砕けてしまうというのに、水晶が無事であるわけがなく…

彼らが遠慮無く使ったために霊力は使い果たされてしまい、水晶は全て砕けてしまったのだろう…



そして、今回美神はタダ働きどころか、ホテル・旅券他の色々な経費で赤字となるのが決定した。



そして唐巣とエミは…税関を通って来たわけでもなく、パスポートも所持していなかった為、密入国者扱いとなり、しばらく拘束される事になる。

一応日本大使館が間に入って動いているので、そのうちオカルト絡みの事件という事が立証され次第帰国できるだろう。

ピートもそれまで証人として残るらしい。

他のメンバーは日本へと帰国する事となった。



こうして、今回の事件は幕を閉じる。







しかし、ここに一つ残った謎がある。

あの、水晶のドクロだ。

あれは一体どこに消えたのだろうか?

唐巣達が転移させられ、気付いた時にはもう無かったという。

その後、思い出した美神が人を派遣して遺跡中を探したが、発見はされなかった。

地底ピラミッドという、観光客が呼べる珍しい遺跡をベリーズ政府に売り渡して赤字を補填した美神はあまり拘らなかったが…

勿論、唐巣神父の教会にも残っていなかった。

水晶のドクロがどこに行ったのか?

あれもまた霊力を使い果たして砕けてしまったのか…

今も何処かで生贄と神官を探して人の間を彷徨っているのか…



それは、誰にもわからない。

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