ザ・グレート・展開予測ショー

黒絹と昼ドラ


投稿者名:ユタ
投稿日時:(03/ 3/ 3)




このお話は前回の『黒絹のポエム』を読んで下さるとちょっとだけ面白くなります(笑)

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前回のポエム事件(?)から三日後・・・・・・・・・・・・の昼下がり・・・











美神除霊事務所ではひと時の午後の紅茶タイムとなっていた。
心地よい太陽光が入るオフィスにいるのは3人・・・美神、横島、おキヌ。
シロ、タマモは私用で事務所を後にしていた。

三人は何をするわけでもなく、おキヌの煎れた紅茶を静かにすすり、その視線は適当にTVのほう向いていた。

そのとき・・・


プルルルルル・・・プルルルルル・・・プルルルルル・・・


ひと時のティータイムを邪魔するように電話が鳴り響いた。
おキヌは誰に言われるでもなく立ち上がり受話器を持ち上げた。

「はい、もしもし美神除霊事務所です。・・・・はい・・・ええ、います・・・はい、少々お待ち下さい」

おキヌは保留を流すと美神のほう向き、声をかけた。

「美神さん、依頼人の加藤さんからお電話ですよ」
「ん?除霊は明日はずだけど・・・・」

美神はめんどくさそうにソファーから立ち上がると、おキヌから受話器を受け取り、保留音を切った。

「はい、お電話代わりました。どうなされました?・・・・・はい・・・・ええ・・・・そういうことですか・・・
でも、それですと料金のほうが・・・・。え!はい分かりました・・・・では今日の12時なら・・・はい・・・
それでは・・・」

ガチャン

美神は電話を切る・・・・
そして顔をあげるとニカっと横島とおキヌに笑顔を見せた。

「何かあったんすか?」

横島は美神の満面の笑みに少し恐怖を感じつつもも冷静を装って聞いてみた。
まぁ・・・予想はついているが・・・

「ふふ、明日予定の除霊を今日にしてくれないかって!
料金は3割増しでいいそうよぉ〜・・・幸い今日は予定ないし・・・ふふふふ」

予想通りの回答にタラーと額から汗を流す横島とおキヌ。

「と、いうわけ今夜は予定あけておきなさいよ!
さて、私はさっそく準備しなくちゃ〜♪」

「あ、私達はいいんですか?」

「まだ時間あるしね。
神通棍の微調整は私しか出来ないし、いいからまだ休んどきなさい」

普段みせない美神の労いに少し違和感を感じつつおキヌは「はい」と短く返事をした。
美神は鼻歌交じりでそのままオフィスをあとにした。

「ま、そういうことなら今は休んどこうぜ」

「はい♪」

横島に声をかけられおキヌは笑顔と共に返事を返すとそのまま横島の隣に腰をかけた。
そして、そっと・・・横島の右腕に自分の腕を絡ませ頭を横島の右肩に預けた。
ごく自然に・・・ 日頃引っ込み気味のおキヌから考えればかなり大胆な行動だろう



図解


    │TV│


 ─   
│    テ
│横   │
│キ   ブ
│    ル


 ─



横島もそんなおキヌに気付いたのだろうか・・・
次第に心音がトクントクンと早くなってきた・・・



異性がすぐに隣に腰をかけている・・・
しかも、誰もが認める美少女なのだから横島もトキめいて当然だろう
横島の心音が更に早くなる

おキヌという二人っきりという甘いシチュエーションに・・・・・・・










































ではなく!!!!



(お、おかしい!!おキヌちゃんと二人っきりで嬉しいはずなのに・・・なぜ・・・・・・・・・・・・・なぜ・・・・・・・・





俺は恐怖で震えているのだろうっ!!!!!!!!!!!!!!!)




そう横島は震えていた・・・・よく見れば額からダラダラと冷たい汗が顔を流れている!
筋肉が緊張し、自然と姿勢がシャキっと伸びた。

「横島さん・・・・・・・どうしたんですか・・・・」

「い、いえ!なんでも!!(ダメだ!なぜかは分からんが今おキヌちゃんの目を見てはダメな気がする!!!)」

おキヌの絡んでくる力が増した気がした・・・
お化け屋敷で「恐いから離れないでね・・・」という感じではなく・・・どちからかというと・・・



『捕まえた獲物は逃さねぇぞ!!』

という感じ。

そして、そんなおキヌに横島の心臓が


『年頃の男の子と女の子が二人きりでドッキドッキですな〜、旦那!』・・・・ではなく


『生命の危機が訪れてますよ!マスターっ!!』

と、精一杯叫ぶように心音を鳴らしていた・・・・・・・・・気がした。


「お、おキヌちゃん・・・・て、テレビでも見ようか」
「はい♪・・・・・・・・あ、私みたいドラマがあったんです」

そういってピっとリモコンを操るおキヌの目がギラリと光ったことに横島は気付かなかった。





『高島さん!三上さんと別れて!じゃなきゃ・・・じゃなきゃ私!』
『と、とにかく落ち着くんだおキヨちゃん!!まずはその包丁を放して・・・』
『そう・・・・三上さんと別れる気はないのね・・・・・それならいっそぉぉぉぉっ!!!!!!』
『おキヨちゃんやめるんだ!・・・・う、ウぎゃアアアアあぁぁぁぁぁぁっ!!!!!!!!』




            続く・・・



(続くのっ!!!!!!?)

横島は声に出してドラマにツッコミたかったがそれを声に出すことか何故かできなかった。
そして・・・・・・・・・おキヌがドラマに対してどんな反応を示すのかも決して確かめることが出来なかった!


「おキヨちゃんって方・・・・・・・・・・・・・・・・・・とっても『ピュアハート』なんですね♪(ニコ)」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・ハイ」

激しく別の意見を言いたかったがそれを言うことはもはや許されていなかった。
横島は心を落ち着かせるためゆっくりとポットからカップへ紅茶を注いだ。

「続き・・・・・・・・・気になりすね♪(ニッコリ)」
「・・・・・・・・・・・・・イ、イエス!」

おキヌの一言で横島の手が振るえ、ポットから注がれる紅茶が上手くカップへ入らずテーブルを汚した。

(平静心・・・・冷静になれオレ・・・・)

横島はおキヌに気付かれぬよう軽く深呼吸をした。

「おキヨちゃんと、高島さん・・・うまくいくといいですね」
「ああ、そうだね♪」

にこっと笑顔で応える横島。
そんな横島におキヌはうっとりとした表情で胸に頭を埋めた。

横島はポンポンと左手でおキヌの髪を優しく撫でる・・・・・・・・・が



右手で持つカップが受け皿とカチャカチャカチャカチャと小刻みに震えた音を出していた・・・・





                                           完

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あとがき

こんにちは♪
純愛潔白系作家のユタです♪

いでぇ!モノを投げないで!


と、まぁつまらんボケはこれくらいで・・・
黒絹ブームがさらぬうちに投稿しておきます(笑)
オチはイマイチな気もしますが・・・・(汗)

ふぅ〜、次回はやっとタマモSSかけそうです

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