ザ・グレート・展開予測ショー

失われたドクロ(14)


投稿者名:MAGIふぁ
投稿日時:(03/ 3/ 2)



これは合流した一行のお話である。



「さて、帰るとしますか!」

ご飯も食べて、食休みもした。少し眠りたい所だが、こんな所じゃ落ち着かない。

一行は美神の号令と共に立ち上がり、帰路へと付く。

「へぇ…マヤ式ピラミッドか。こんな物の中にいたとはねぇ。で、どっちへ行けばいいんだい?」

ピラミッドを出た所で、眠気に襲われているらしい唐巣が聞いた。

「僕が来たのは向こうからですけど…迷路みたいな洞窟だったから、正直帰り着けるかどうか…」

「俺とシロはあっちからっすけど…途中で崖から落ちました。あれを登るのは無理っぽいです」

ピートは幻の(妄想の?)唐巣に導かれ、横島はシロの体当たりで突き落とされ、辿り着いていた。それぞれ来た道を帰る事は不可能だ。

「私達は階段で来たわ。こっちよ」

美神が先導して、階段へと向かう。

そして、一同が階段を上っていたその時。

「「ん?」」

シロタマが同時に立ち止まる。

「げ、何か来る!?」

「逃げるでござるよ!」

その嗅ぎ取ったニオイと直感で一行を急かすシロタマ。

しかし、唐巣とエミはまだ体力が回復していない…長時間は走れない。

一行も戸惑って、すぐには走らない。

「何が来るって言うの!?」

シロタマに聞き返す美神。それに答えたのは、エミ。

「まさか…あの蛇が来るってワケ?」

その通りだった。

翼ある蛇が、階段の下の方から、体をくねらせて凄い速さで近付いてくる!

「あれが唐巣先生が戦ってたって言う…」

神通棍を取り出して伸ばしつつ呟く美神。逃げ切れないと判断して、迎撃する方を選んだようだ。

見る見る近付いてくる翼ある蛇を見て、他の面々も戦闘体制を整える。

しかし、その必要は無かった。

「ていっ!」

翼ある蛇に文珠を投げつける横島。文字は……“滑”

Syahhaahhhh!!

ゴロゴロゴロゴロ……

途端に階段から“滑”り落ちて行く翼ある蛇。壁に牙や翼を叩きつけても、階段に取り付こうとしても“滑”って落ちて行く。

何となく、拍子抜けしてそれを見守る一行。

「こんな長い階段なんかで戦ってたまるか!一昨日来やがれ!」

舌を出して言い放つ横島。

「ま、まぁこれでしばらくアイツは登って来れないでしょう。今のうちに上に行きましょう」

気を取り直して言った美神の言葉に我に返り、階段を上り始める一行だった。

…滑り落ちないように気を付けて。

そして、水晶の鉱床の少し手前で美神が立ち止まり、宣言した。

「よし!アイツはここで迎え撃つわよ!」

「確かにここなら充分戦えそうね…でも、オタクやけに気合入ってない?」

ギク

「な…何でもないわよ!唐巣先生を何日も閉じ込めた事にちょっと苛立ってるだけよ!」

エミの鋭いツッコミを誤魔化そうとする美神。しかし、その言い訳は誰から見ても怪しかった。

美神がここで翼ある蛇を迎え撃つのは、当然この先の鉱脈を傷付けたくないからだ。それと、エミにでもバレたら、山分けを要求してきかねない…この戦闘のどさくさでエミを気絶でもさせて…というのが美神の狙いだ。

「美神君、それは嘘だね?」

御疲れ気味で余裕が無いせいか、断定するように美神を追い込む唐巣。

「……美神さん?」

疑いの眼差しをむける横島&ピート。

「美神殿…汗をかいておられるのは何故ですか?」

嘘発見器のような働きを見せるシロ。

「う…」

追い詰められて行く美神。事情を知っているタマモとオキヌも静観の構えで、助けてくれそうに無い。

しかし、さすがに美神令子。彼女は悪運が強かった。

Shaaaahhh!!!

「アイツが来たわっ!話は後回しよ!」

これ幸いと話を棚上げする美神。

「…後でキッチリ話を付けるワケ」

エミが棚上げを認めた事で、取りあえず全員戦闘に専念する事が決定した。



SyuSyuSyuSyuSyuSyuSyu!

再び蝙蝠を召喚する翼ある蛇。

しかし、唐巣がその術そのものを打ち消す!

「主よ、我が友たる精霊達よ!我に邪なる術を蹴散らす力を与えたまえ!アーメン!!」

さすがは唐巣神父。伊達に5日間も戦っていたわけではないようだ。

しかし、唐巣は違和感を感じていた。

何だ…?やけに術の発動がやりやすい…それに、力がいつもよりも集まって来る…何故だ?

唐巣の術は自然界に存在する諸々の力を束ねて放つ。故に自分が消耗していようと、それ程関係が無いのだが…それでも、いつもより強力になる事は異常だった。

まぁ、いい。不都合は無い。使える力は感謝して使わせてもらおう!

唐巣はそう吹っ切って、また力を集めて放つ。狙いはピートの傷付けた胴体!

「主よ!彼の者に祝福を!裁きを!善き者を助け、悪しき者を退けたまえ!アーメン!!」

シロや横島、ピートと美神が翼ある蛇と接近戦をしているのだが、そんな事はお構い無しだ!

「って待てやコラァ!!」

そして、お約束のように…まぁ、実際お約束なのだが、巻き込まれる横島。

「のわぁぁぁぁぁ……あれ?痛くない?」

「先生っ!無事でござるか!?」

「横島大丈夫?」

「横島さん!?」

シロタマとおキヌが心配して駆けつけようとするが、美神が止める。

「大丈夫よ!先生がそんなマネするはず無いでしょ!あれは敵だけを攻撃する法術よ。それよりまだアイツはくたばってないわ、油断しないで!」

確かに、翼ある蛇は胴体が半ばから切断されたが、まだ生きているようだ。



「へぇ…確かに生きてるわねぇ?安心したわ…これで借りが返せるってワケ!」

怒りで目を赤く光らせ、牙を剥く翼ある蛇に突っ込むエミ。

「霊体…」

体を捻り、自ら上を向いて床に倒れる。

そしてその上を飛びかかってきた翼ある蛇が超えて行く。

完全に行動を先読みしたかわし方だ。エミも伊達に5日もの間戦っていたわけではない!

「貫通波っ!」

腹筋の要領で上体を起こし、飛んで行く翼ある蛇の胴体に手を突っ込み、内部に直接霊波攻撃を叩き込む!

SyuShaaahhh!!

しかし、確実にダメージは与えたものの、トドメを刺すには至らない。霊体貫通波は霊波を絞り込む分、範囲が狭い。

「後は…任せたワケ」

しかし、今エミは一人で戦っているわけでは無かった。



「横島ぁ!」

「はいっ!」

唐巣の攻撃で呆けていた横島が美神の一喝で正気に戻る。

そして即座に美神の神通鞭の一撃に合わせて援護の文珠を投げる。

このあたりを身に染み付いた下僕根性というか、阿吽の呼吸と言うかは微妙だ。

そして、美神の神通鞭が翼ある蛇に当たる一瞬前に、文珠が効果を発揮する。文字は……“脆”

文珠が“脆”くした翼ある蛇の頭部を美神の神通鞭が切り裂いて行く!

「大した生命力だったけど…蛇ってのは頭を潰せば動かなくなるもんよ!」

神通鞭をしならせ、更にトドメの一撃を叩き込む美神。

「さあ、そろそろ極楽へ……お行きっ!!」

SyaaahhhhGyaaaaahhh!!!!!!

断末魔を上げ、その体を動かなくする翼ある蛇。

そして、動かなくなった翼ある蛇は……爆発した。



ドゴワァーーン!!



「ケホッケホッ…皆、大丈夫かね?」

なぜか辺りに有り余る霊力を使ってガードした唐巣が皆の無事を確認する。

「一応全員無事なワケ…ったくオタクの弟子はいつもいつもやりすぎなワケよ…」

素早く確認したエミが皮肉まじりに答える。

それに美神が反応しようとした時…



ゴゴゴゴゴゴゴゴゴォォォオンン………………



通路の先のほうから凄まじい音と、振動が伝わってきた。



………………………………



嫌な想像を思い浮かべ、お互いの顔を見る一行。

「ま、まさかねぇ?」

「まさか、なぁ?」

「はっはっはっはっは…」

無意味な言動で事態の確認を先延ばしする一行。

しかし、いつまでもそうしているわけにもいかず…

「横島、アンタ行ってきなさい」

という雇い主の一言で確認に出向いた横島が見た物は…

完璧に崩れた通路だけだった………



この後、一行は出口を求めてさ迷い歩き、食料を食い尽くしてから2日後に出口を探り当てる事となる…

その間美神の立場は悪く、彼女は終始不機嫌だったが、彼女も悪いとは思っていたため大人しかったという。

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