ザ・グレート・展開予測ショー

失われたドクロ(13)


投稿者名:MAGIふぁ
投稿日時:(03/ 3/ 2)



これは唐巣が語るお話である。



「さて、これはどういう事なのか説明してもらえますか?」

目の笑っていない笑顔で唐巣とエミを問い詰めるピート。

「ピート君…我々はこの5日間碌に寝ていないし、食べていないんだ…とにかく休ませてくれないか?話はそれからだよ…」

目の下にクマを作り、頬をこけさせた唐巣がピートに頼んだ。

しかし、暴走ピートは考慮しない。

「さて、どういう事なのか説明してもらえますか?」

「いや、だからピート君…」

「説明してもらえますよね?先生」

「…ピート君…」

「何ですか?先生?説明はまだですか?」

「………分かった。話すよ…だがここじゃ落ち着かない。外に出よう」

確かに、まだ部屋の中では翼ある蛇が暴れているらしい音がしている。

「そうですね。歩きながら聞きましょうか」

暴走ピートはギアをシフトダウン。少し落ち着いた。



「ねぇ、ピート。そもそもここってどこなワケ?」

ピートが来た通路を3人は霧化して戻る。明かりもないし、歩くだけの体力がエミと唐巣に残っていないのだ。

「はい?地下ですけど?」

「それはまぁ、何となく分かるけど…えっと、そう言えば海外旅行って言ってたけど、ひょっとしてここって日本じゃないワケ?」

「そうですよ?中米のベリーズって国なんですけど…もしかしてエミさん知らなかったんですか?」

「ええ。何せいきなりだったから…」

「知らなかった?いきなり!?」

エミとの会話で暴走のシフトがまたアップするピート。勘違いモード、スタート。



「はうっ」

ドサッ

「ふふふ…気絶させてしまえばこちらのものだ…」

エミを片手に笑う唐巣。

「さて、ここでは邪魔が入るからな。誰にも邪魔されない所でゆっくりと…クックク…」

邪悪に笑う唐巣。気絶させられたエミはピクリともしない。



「先生っ!僕はあなたを見損ないましたよっ!まさか無理やり女性を海外まで拉致するなんて!!」

「誤解だぁっ!」

霧化を解除し、唐巣の胸倉を掴んで詰め寄るピート。

「ちょっと、待ってピート!いきなり連れてこられたのは唐巣神父も一緒なワケ!落ち着いて!」

しかし、暴走ピートは聞き入れない。

「いえ、解っていますエミさん!でも、いいんですよ?こんなヤツ庇わなくったって…」

何やらさらに勘違いを炸裂させるピート。とうとう師匠をこんなヤツ呼ばわりだ。

そして、妙に優しい目でエミの事を見つめ、頭を撫でるピート。

「…ピート…」

雰囲気にあっさり流され、唐巣のフォローをうっちゃるエミ。

「エミ君っ!?」

見捨てられ、孤立無援となった唐巣が叫ぶ。

このまま、唐巣神父が犯罪者と認定されてしまうというその時…

「エミ!?何でアンタこんな所にいるのよ!?」

「え?エミさんが!?」

「あ〜…どっかで嗅いだ匂いだと思ったら…唐巣のだったの。スッカリ忘れてたわ」

美神達一行が前方からやって来たのだった。



ガツガツ ハムハム ズゾゾ〜 シャクシャク パリパリ

多種多様な咀嚼音が通路に響き渡る。

「最初から説明しよう…私が水晶のドクロを気に入ってしまったのがそもそもの始まりだ」

唐巣が主にピートの誤解を解くべく説明に入る。



私がドクロを磨いていた時、エミ君がピート君を訪ねて教会へやってきた。そしてドクロに興味を持ってしまったんだ。多分、黒魔術や呪術に携わる者として、放って置けなかったのだろう。

そして、手に取って少しだけ霊波を送り込んでしまった…多分、このときドクロが発動する条件が揃ってしまったのだと思う。

私という神官、そしてエミ君という生贄…この2つの条件がね。

そしてドクロが炎のような光につつまれ、私達は気が付くとこの奥の部屋にいたというわけだ。

そこには翼ある蛇…の下位種か亜種か判らないが、まぁ魔術を使えて霊波攻撃が効かない翼を生やした10メートルくらいの蛇がいたんだ。

私達は戦った。その蛇がエミ君を食べようとしたからね。でも、霊波攻撃は効かないし、岩で殴ったくらいじゃ鱗を傷つける事さえ出来ない…目を狙ったりもしたけど、目の表面も何か膜のようなもので覆われていて、通じなかった。

それに逃げようにも、入り口と思しき石の扉は開かなかった。

で、私達は交代で結界を張って助けが来るか、解決策を思いつくまで耐える事にしたわけだ…

そしてそこに来たのがピート君、君だったというわけだよ。分かってくれたかね?



「そうだったんですか先生…それなのに僕は…申し訳ありません、先生っ!」

5日間もの間、絶望的な戦いを諦めずに耐え続けた偉大な師を疑ってしまった。ピートは迷わず土下座した。

「いやいや、分かってくれればそれでいいんだ。有難うピート君。私達を助けてくれて…」

「先生…」



ハムハム ムシャガツ ズルッ ゴクッゴクッ ペロペロ

多種多様な咀嚼音が通路に響き渡る。

取りあえず、ピートと唐巣の師弟を除いた面々にとって、唐巣の言い訳よりも食事の方が大事だったらしい。

「おかわり!さっさとよこすワケ横島!」

……エミも含めて。

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