ザ・グレート・展開予測ショー

失われたドクロ(12)


投稿者名:MAGIふぁ
投稿日時:(03/ 3/ 1)



これは彼が熱血気味に暴走するお話である。



「先生っ!」

ピートは走る。あらゆる障害を乗り越えて。

「先生っ!!」

ピートは走る。襲い掛かって来る蝙蝠を、体を霧に変えてかわしながら。

「先生ぃっ!」

ピートは走る。ついでに操られているらしい蝙蝠達を自分の支配下に置き換えながら。

「先生ぃっ!!!」

ドゴォッ!!

突き当たりの石の扉をノリで蹴り壊して突っ込む。

数多の蝙蝠を従え、明かり一つ持たずに闇と共に来たりし吸血鬼がそこで見たものは…



「くっ…もう、いい加減に、限界な、ワケ…」

「諦めるんじゃない…きっと…きっと…何とかなるから…私が何とかするから…」

寄り添い、御互いを励ましあう唐巣とエミの姿だった。



「何をやってるんですか、せぇんせぇぃいい!!!」

思わず絶叫するピート。

必死になって助けに来た相手が、女性と仲良くしているようにしか見えなかったのだ。

「ピート君!?助けに来てくれたのか!」

「ピートォ♪やっぱり来てくれたのー?♪」

さっきまで息も絶え絶えだったのに、途端に元気になる現金な唐巣とエミ。

しかし、喜ぶのはまだ早かった。

「先生のバカァ!急にいなくなるから散々心配したのに…エミさんと海外旅行に行くなら行くと言っておいてくれればいいじゃないですかぁ!!」

激しく勘違いしたまま、思いのたけをブチ撒けるピート。

「なっ…それは誤解だよピート君!?」

「そうよっ!何で私がこんなオッサンとっ!」

「言い訳はいいです!!見苦しいですよ2人ともっ!!」

勘違いしたまま、突っ走るピート。ここに来るまでに上がった暴走のギアはトップに入りっぱなしだ。

しかし、そんなピートに襲い掛かる剛の者がここにはいた。



Syaahhhh!!!



翼ある蛇。かつてこの地方に存在した土着の神の1柱で、現在はこの地を去って久しいはずの存在である。

もっともこれはその眷属か末裔らしく、碌に知恵も持っていないらしい。

唐巣とエミはこの部屋でこの翼ある蛇から身を守るべく、5日に渡って結界を張っていたのだ!

「気を付けてピート!そいつには霊波攻撃は通じないし、かといって生半可な通常攻撃も…」

鱗で跳ね返されるワケ、とエミが最後まで言う前に

「うるさい、邪魔だぁぁ!!!!」

飛び掛ってきた、その全長10メートルを超すだろう翼ある蛇をピートは思いっきり殴りつけた!

一旦しゃがみ込んで相手の攻撃をかわし、全身のバネを使ってやや捻りを加えて飛び上がり、それを拳に乗せて一点に集中して突き上げる!

翼ある蛇は顎にまともに食らって吹き飛んだ!

「見たか!これが僕が日本のTVゲームを見て編み出したヴァンパイア昇竜拳だ!」

「ピート君…スプ○○○は出版社と雑誌名は同じだけど増刊号の方の連載だったからちょっとマズいんじゃ…」

「いや…私はいくら原作でも使っていたとはいえ、昇竜拳の方がマズいと思うワケ…」

色んな意味でギリギリをちょっと超えたあたりの会話をする3人。

そんな3人にツッコミを入れるべく(?)翼ある蛇がもう一度立ち上がる。

SyuSyuSyuSyuSyu…

翼ある蛇が何か唱えるように呼吸すると、虚空に魔方陣が描かれそこから蝙蝠達が現れた。

「ウルサイって言ってるだろうー!!?」

しかし、暴走ピートは怯まない。

ここに来る途中、支配下に置いた蝙蝠達を迎撃に向かわせ、己は再び霧と化して翼ある蛇のもとへと向かう。

そして実体化すると同時に己の牙を突き立てる!

ゾブッ…

そして牙が通ったと見るや、すぐに離れるピート。

「ムチャだ!そいつは君でも支配できるような奴じゃ無い!」

その行為を血を吸って支配下に置こうとしたものだと思った唐巣が叫ぶ。

しかし、暴走ピートはうろたえない。

牙でつけた穴に指を突っ込み、叫ぶ。

「ダンピールフラッシュッ!!」

Syaaaaaahhh!!!

翼ある蛇は胴体を半ば断ち切られ、のた打ち回る。そしてそれに巻き込まれ、潰されそうになる唐巣とエミ。

「「ちょっと待てぇー!!」」

しかし、翼ある蛇が待つわけが無い。そのまま2人がプチッと潰されそうになった時…

「行きますよ、2人とも」

ピートが2人と一緒に霧化して助け出したのだった。

「た…助かったよピート君…」

「ありがとう。さすがは私のピートなワケ♪」

「2人とも…訳は後でタップリ聞きますからね?」

暴走ピートはニッコリ笑ってそう言った。

どうやら、まだ誤解は解けていないらしい…

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