(偽)ルシオラ IN 清く貧しく美しく!(中)
投稿者名:湖畔のスナフキン
投稿日時:(03/ 3/ 1)
結局その場では、結論を出すことはできなかった。
その場はいったんお開きとなり、横島と小鳩を除いて全員が引き上げていく。
横島たちのアパートには風呂が付いていないので、横島は小鳩と一緒に銭湯にいく約束をした。
「ヤバい、ヤバすぎる! 俺という男が、そういつまでも理性を保てるはずはないし……」
横島は湯船につかりながら、ぶつぶつと独り言をつぶやく。
「でも小鳩ちゃんって可愛いよな……。胸も大きいし」
このセリフをルシオラが聞いたら、横島はまず間違いなく半殺しであろう。
「しかし手のひらサイズとはいえ(謎)、美人でスレンダーでしなやかな抱きごこちのルシオラも捨てられん! どうすりゃいいんじゃーー!」
横島は、ゆでだこになるまで湯船につかり続けていた。
すっかりのぼせた横島がようやく銭湯を出ると、小鳩が銭湯の入り口で横島を待っていた。
「一緒に帰りましょう、横島さん」
「こ、小鳩ちゃん、待ってたの? この寒い中を──」
辺りの空気は冷たく、しかも雪が降りはじめている。
「言ってくれれば、もっと早く上がったのに」
「え、でも私も出たばかりですから」
その言葉は、明らかにウソであった。
小鳩の髪の毛には雪が積もっている。
「小鳩ちゃん……」
横島は小鳩の髪に積もっていた雪を、手で振り落とす。
横島の顔が間近に迫り、小鳩が赤面しかけた時……
「おーっ、小僧ではないか!」
通りかかったカオスが話しかけてきた。
「なんじゃい、女連れか。ヤボだったかの?」
「い、いや、これはその……」
「まぁいいわ。これをルシオラに渡しといてくれんか?」
カオスが一冊の本を手渡してきた。
「うむ。貧乏神退治の方法を記した古文書じゃ。大至急必要らしいが、ワシはこれからバイトがあるでな。では頼んだぞ」
「なんだルシオラのやつ、隠れてこんなことをしていて……」
「そおはいくかーーーっ!」
突然ビンが現れ、横島が手にしていた古文書を奪う。
「困ったもんを手に入れてくれたなー。今更退治されてたまるか!」
「な、何しやがる、貧乏神!」
「理由は言えんが、お前らにこの本を読ませるわけにはいかん。せやけど、悪気で言うとるんやないで。わかってくれ!」
「わかるわけないでしょ! 悪気がないならとっとと退治されなさい!」
物陰から飛び出したのは、ルシオラとパピリオであった。
「その本を返して!」
「ルシオラ……、いつからそこに(汗)」
「偶然通りがかっただけよ」
「ルシオラちゃん、頭に雪が積もっているでちゅ」
ルシオラは、あわてて頭に積もった雪を振り落とす。
「そんなことは、どーでもえーわい! ていっ!」
ビンは古文書を口の中に放り込み、そのまま飲み込んでしまった。
「このーっ! 吐き出しなさい!」
ルシオラが霊波砲を放つ。
「ルシオラさん、ダメーッ!」
小鳩が制止したが、遅かった。
ドコン!
ルシオラの一撃を受けたビンはその魔力を吸収し、10階建のビルほどの大きさに膨れ上がってしまった。
「さすがに魔族の一発は、ものごっついな……って、どう始末してくれるんや、ねーちゃん!」
(続く)
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