こんなおキヌちゃんは好きですか?2 −前編−
投稿者名:veld
投稿日時:(03/ 3/ 1)
事務所兼住居の一室。通称『愛人』部屋。
薄暗い室内から、話し声が聞こえる。―――外に漏らさない為だろうか、声量は押さえられている。
以前の屋根裏部屋よりも少し狭い部屋の中にベッドが二つ。その上に座り込みながらこの部屋の主―――シロタマが話し合っていた。
「・・・おキヌちゃんと美神、どちらが戦う相手として有利かしら・・・」
「拙者には分からないでござるよ。でも、美神殿のえげつなさは良く知っているでござる・・・でも、あのおキヌちゃんの・・・ぶるぶる・・・」
「・・・確かに、今のところは現状維持のままが得策かもね・・・。或いは・・・寝取る」
「ね・・・寝取る・・でござるかっ(かぁっ)・・・」
「そ・・・そうよ。こうなりゃ手段を選んでる場合じゃないわ・・・」
「で・・・でも、拙者達にはまだ早すぎるのでは・・・」
「いい?シロ・・・、そんなこと言ってたら・・・横島を取られちゃうわよ?」
「!?」
「ただでさえ私たちは出遅れてんだから・・・今すぐにでも行動を起こさないと・・・おキヌちゃんが横島の子供を宿してしまったら・・・」
「そ・・・そんなっ、いや、先生に限って・・・そんな浅はかな・・・」
「横島だからよ」
「そうでござるな」
「でも・・・まぁ、そうよね。あの朴念仁、意外といざとなると尻込みしちゃうかもしれないわね・・・おキヌちゃんの嫌がることはしないだろうし・・・」
「・・・おキヌちゃんが嫌がるとは・・・」
「ポーズってもんがあるでしょ?恥じらいってもんをなくしちゃ駄目なわけよ・・・。それに、おキヌちゃんだし」
「時間は・・・あると」
「楽観視は危険だけどね。まっ、とりあえず軽く先制のジャブを打ってみましょ」
「先制のジャブ?」
「そうね・・・とりあえず、横島のベッドに潜り込んでおく・・・とか」
「・・・先生のベッドに・・・(ぽっ)」
「シロ・・・どうしてこんな所に・・・」
「せ・・・先生・・・間違ってしまったでござる・・・。拙者の部屋は・・・」
「・・・いけない子だな・・・」
「え?」
「先生の部屋に無断で上がりこむなんて・・・」
「ご・・・ごめんなさい」
「しかも、ベッドに潜り込むなんて・・・」
「せ・・・先生・・・(かぁっ)・・・不可抗力でござるぅ!!」
「・・・どうかな?本当は一緒に眠りたかったんじゃないのか?」
「な・・・何をおっしゃるんでござるかっ!!そんなことちっともちっともしろは
かんがえてないでござるよっ!!」
「後半部、ひらがなだけになってるぞ」
「せ、せんせいなにをいってるでござるかせっしゃは」
「全く・・・シロは本当に可愛いなぁ・・・」
「!”#$%&’!?」
「・・・ふふふ・・・灯りを消すぞ?シロ・・・」
「せ・・・先生・・・」
あん♪
し・・・しろ・・・しろ・・・?・・・シロっ!!
「はっ・・・」
「あんた・・・聞いてる?」
「う・・・うんっ!!聞いてるでござるよ!?」
「・・・聞いてなかったでしょ?あんた・・・」
「・・・な・・・何でござるか?その目は・・・」
「・・・はぁっ・・・妄想馬鹿」
「・・・(かぁっ)」
「まぁ、いいわ。とりあえず・・・今日のところは行動を自粛し「やるでござる
よっ!!」て・・・?」
「きょ・・・今日も明日も明後日も・・・先生の・・・ベッドの中に・・・潜んで
おくでござるよっ!!」
「あ・・・あんたねぇ・・・今日は横島、仕事で帰りは深夜よ!?それじゃあ、入ってても意味がないじゃない・・・」
「先生のお帰りになられるのを待っておくのが妻の役目でござるっ!!」
「私たちは今のところは愛人なんだけど・・・まっ、そんなことはどうでもいいとしても・・・別にベッドで待つ必要は・・・いや、待てよ・・・ベッドで待機・・・」
「「・・・すぅすぅ・・・」」
「こいつら・・・何で俺のベッドで寝てんだろ?」
「・・・先生・・・寂しいでござるよぉ・・・」
「横島ぁ・・・寒いよぉ・・・」
「・・・寝言か?こいつら・・・どんな夢を見てんだろ・・・」
「・・・先生・・・助けて・・・」
「横島ぁ・・・助けてぇ・・・寒いよぉ・・・」
「・・・寂しい・・・寒い・・・助けて・・・ろくな夢じゃないことは確かだ
な・・・」
「先生・・・先生ぃ・・・」
「横島ぁ・・・助けてぇ・・・」
「・・・で、俺に助けを求めとると・・・それなら、俺がこいつらと一緒に寝てやれば・・・こいつらの悪夢も・・・」
すっ・・・
「先生・・・先生でござるぅ・・・」
「横島・・・温かい・・・」
「・・・こ・・・こらっ、しがみつくなっ、すりつくなっ、シロっ!!た・・・タ
マモ、抱きつくな・・・乗っかってくんなって・・・」
「先生・・・大好きでござるよぉ・・・」
「横島・・・好き・・・」
「・・・こいつらは寝てるわけだ。で、俺も今から寝るわけだよな・・・うん。とすれば、だ・・・。俺が寝てる間なら、何をしてても寝相の悪さの延長上で済まされるわけだ(済まされません)。うん、そうだ、そうに違いない。灯りを消して・・・っと。そんじゃあ・・・寝ようっ!!」
あん♪
あん♪
た・・・たま・・・たまも・・・タマモっ!!
「はっ・・・な・・・何?シロ・・・」
「(じとぉっ)・・・妄想狐」
「(かぁっ)・・・いいっ!?シロっ、今回私たちが行なう作戦は眠っちゃ駄目
よっ!!」
「作戦?」
「そうよ。いい?横島が部屋の中に入ってきたら、寂しいとか、寒いとか寝言を言うの。ちゃんと横島の名前を言うのよ」
「寝言?」
「振りよ振りっ!!眠っている振りをするの。悪夢を見ていると言うことにして・・・それで、横島が一緒に眠ってくれるように誘い込むのよ」
「・・・?」
「・・・誘い込んだら今度は・・・くっついて・・・誘惑するのよっ!!」
「・・・先生を・・・誘惑でござるかぁ・・・(ぽぽぽ)」
「ふふふ・・・我ながら最高の作戦だわ・・・」
双方の妄想の中では、最高の作戦。しかし、考えてみよう―――。
正妻は―――彼女である。
何気に・・・とっくの昔に待機済みである。
「横島さん・・・まだかなぁ・・・」
ドキドキ・・・ドキドキ・・・
そりゃあ、まだである。昼前ですから。
「あれ・・・もう、おキヌちゃん眠っちゃったのかな・・・誰も迎え出てくれないなんて・・・そりゃあそうだよな・・・でも・・・寂しいよな・・・」
すごすごとキッチンを抜け、寝室の中に入っていく。
「飯も・・・。良いや、疲れてるし・・・寝よう」
意識もしないのに溜め息が漏れる、新妻に多少裏切られた感を覚えつつ、そんな自分に自己嫌悪する。―――自分勝手な考えを彼女に押し付けるべきではないと。
でも、不満があるのは仕方ない。変わってしまったと思うのも又事実なわけで。
「・・・待ってて・・・欲しかったな・・・」
寝室の中に人型のふくらみ。
「くすっ・・・ただいま。おキヌちゃん」
苦笑いを浮かべつつ、パジャマに着替えて布団の中に入ろうとすると―――
ガバッ!!
「・・・横島さん・・・おかえりなさい♪」
「お・・・おキヌちゃん!?」
「美味しくなくなった御飯なんて食べさせて上げられませんから・・・今から作りますからね♪」
「・・・あ・・・だから・・・」
「下準備はしてますから・・・少しだけ待っててください」
「う・・・うん」
「その間に・・・お風呂に入ってください」
「あ・・・」
「横島さん・・・汗臭いですぅ・・・」
「(畜生っ・・・犯罪的なまでにかわいいぜっ!!)・・・御飯の前に・・・まずおキヌちゃんを食べるよっ!!」
「あっ♪」
ガバッ・・・
あん♪
「ふふふふふふふふ・・・横島さん・・・大好きですぅ・・・」
続くのかっ!?
今までの
コメント:
- ・・・タイトルが変わってる・・・(駄目)。
『こんなおキヌちゃん・・・好きですか?』の続編ですんで。
おキヌちゃんのアレ、妄想ですので・・・。分かりづらくてすいません(泣)。(土下座) (veld)
- ま、おキヌちゃんも幽霊時代は包丁研ぎながら「うふふふ♪」とか笑っていた人ですし、妄想の域なら別段問題は無いと思います。何かveldさんのことですから、このあとに問題アリな展開に入る可能性が十分にあるのがコワイのですが(笑)。それぞれの妄想でビミョーに横島クンのキャラが変わっている点が良かったです;シロの妄想の中のような横島クンは少しイヤかもしれません(爆)。さて、果たして「正妻」と「愛人」たちの戦いの行方はどうなるのでしょうか? 次回も楽しみにしております♪ (kitchensink)
- あ、あはははは……やりますね……
おキヌちゃんVSタマモ+シロか……今の所、機動力でおキヌちゃんが勝ってるな。
だが攻撃力なら総合的にタマモ達が有利……いや、やはりおキヌちゃんのほうが……
う〜む、横島くんが帰ってきてからどうなるかな……(笑)
とっても良かったッス!投稿お疲れ様〜! (リュート)
- コメント返し、後半に纏めときます。中途半端な小出しって、やっぱ駄目ですね。ご迷惑をかけました。>kitchensinkさん、リュートさん (veld)
- ただただ面白いから大賛成です。
後半の方も見たのですが…
こっちのおキヌちゃんがとっても可愛かったのでこちらに入れます (K.H. Fan)
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