ザ・グレート・展開予測ショー

(偽)ルシオラ IN 清く貧しく美しく!(上)


投稿者名:湖畔のスナフキン
投稿日時:(03/ 3/ 1)

 唐巣神父の教会に、横島の姿があった。
 蝶ネクタイを締め、タキシードを着ている。
 そしてその隣には、ウェディングドレスを身につけた小鳩の姿があった。

「汝、病める時も健やかなる時も──」

 そして横島たちの前に立っていたのは、唐巣神父ではなく西条だった。

「やめたまえ君たち! これは神への冒涜だよ!」
「まーまーそう固いこといわんと。これも人助けや」

 唐巣神父が青筋をたてているが、身長3mほどの大きさの貧乏神のビンが唐巣神父の襟首を掴んで離さずにいた。

「もう誓いはいいから、指輪を交換しよう」
「はい、指輪よ(怒)」

 同じく眉間に青筋をたてていたのは、ルシオラであった。



 ……話は数日前にさかのぼる。
 横島の隣の部屋に、小鳩と小鳩の母親が引っ越してきた。
 しかし、小鳩の一家には貧乏神のビンがとりついていた。
 横島は貧乏神を祓おうと、栄光の手(ハンズ・オブ・グローリー)で攻撃するが、かえって逆効果となりビンは横島の霊力を吸い取って巨大化してしまった。

 通常の手段では、貧乏神は祓えない。
 一同が頭を抱えていた時に、西条が出したアイデアが『結婚』であった。
 横島が小鳩と結婚することで、ビンが受けた霊力が中和されるというのだ。

 かくして、横島と小鳩の結婚式が挙行された(横島は18歳未満なので法的には結婚は成立しない。あくまで儀式である)。
 しかし恋人のルシオラがそれをこころよく受け入れることができなかったのは、これまた当然であろう。



 冷や汗を流しながら指輪を受け取った横島は、振り返って小鳩の正面に立つ。
 小鳩は横島の顔を正面から見つめ、にこりと笑った。

「横島さんにはご迷惑でしょうが、小鳩はうれしいです」
「え!?」
「横島さんってとってもいい人なんですもの。自分に正直であけすけで、その分誤解されたり傷ついたりして。でもそんな人だから、そばにいて安らげるというか……」
「小鳩ちゃん……」
「ビンちゃんのことを知ったら友達も離れていくのに、横島さんは大騒ぎをするだけであとはちっとも……」

 小鳩はクスリと軽く笑う。

「だから私、本当の結婚じゃなくても、なんかとっても幸せなんです──」

(ヨコシマの良さに気づくなんて、なんかとっても悔しいわ! 私だけかと思っていたのに……)

 ルシオラは悔しい思いをする一方、とかく女性から誤解されがちな横島の良さを見抜いている小鳩に対して、警戒心を抱いた。

「まま、その辺の話はあとでゆっくりしようや。まずは指輪の交換を……」

 式の進行を進めるため、ビンが間に割って入る。
 横島は小鳩の手をとって、薬指に指輪をはめた。

 カッ!
 シュウゥゥゥ……

 ビンの体が光り輝き、巨大な体がしだいにしぼんでいった。



「ご飯ができました」

 式を終えた後、一同は小鳩の部屋へと戻っていた。
 横島や西条、そしてルシオラがいる部屋に、小鳩が食事を運んでくる。

「おおーっ、メシやメシや!」

 そしてそこには、大人ほどの大きさにまで縮んだビンの姿があった。
 元の姿が幼児くらいであったから、まだまだである。

「やっぱ、あんな式だけやと、元の大きさには戻らんなー」
「困ったねえ」

 わっはっはと他人事のような顔で、西条が笑い声をあげる。

「お、お前らなー」

 さすがに横島は当事者だから、顔が真剣である。

「やっぱし……ほんまに結ばれなあかんのとちゃうか?」

 ドキッ!

 横島の心臓が大きく鼓動する。
 そして血圧が大きく高まり、鼻の粘膜から出血がはじまった。

(か、考えてみれば、夫婦といえば『何でもアリ』の関係。このねーちゃんが丸ごと俺のモノ……。何をしようがオールOK!?)

 横島が、ちらっと小鳩の顔を見る。
 小鳩は横島と目があった途端、カーッと顔を紅くしてうつむいてしまった。

(あんまり、嫌がってない?)

 しかし、ルシオラの方を振り向いた瞬間、浮かれた気分は一気に遠のいた。
 ルシオラは真っ青な顔をして拳をふるわせており、さらにその背後にはブリザードが吹き荒れていた。

(ま、まずい。このまま突っ走ったら、俺はルシオラにヤラれてしまうかも!)

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