ザ・グレート・展開予測ショー

世界はいつも流れて……(42)


投稿者名:リュート
投稿日時:(03/ 2/28)

「ルンルンルン、チーズ!……うふふふふ、私に勝てると思って!」

 雪女は氷漬けにした人達を集めて記念撮影をしていた。

「そうかしら!!」
「なに!?」

 雪女がびっくりして振り向くと、扇子を構える美神さんがいた。

「ほう、今までの者より少しは出来るらしいわね!」
「じっくり観察させてもらったわ!あんたは生命や物質のエネルギーを吸い取る妖怪なのね!パワーで押したんじゃ誰も勝てなかったわけだわ!」
「それを知っても同じこと、お前も凍る!ここにいる連中と同じようにね!」
「やってみる?私はあんたの十倍冷たい女かもよ?」
「ほざけ!!」
 
 雪女は冷気の塊を美神さん目掛けて放つが、美神さんは走ってかわす。

「口ほどにも無い!!」

 今度は氷の針を作り、雪女は美神さんに放つ。
 カキカキカキン!
 だが、美神さんは扇子でそれらを弾く!

「なっ!?それならこれで!!」 
「えっ!?うわっ!」

 雪女は髪を伸ばして、美神さんの足を絡め取り美神さんをこけさせる。

「ふふふっ……魂まで凍りつくがいい!」
「凍りつくのはあんたよ!横島くん頼んだわよ!!」
「了解!!」

 俺は美神さんの前の雪の中から現れる!
 実はここまでおびき寄せて、雪の中に潜んだ俺が強襲するのが今回の作戦だった。もしも、その前に美神さんが凍らされた場合は俺と一緒に潜んでいた冥子ちゃんのメキラでテレポートして油断した雪女に強襲するつもりだったけど……

「これでもくらえ!!」

 俺はボンベのノズルを全開にして中に入っている物を雪女に浴びせる。
 ジュワアアアアア!!

「あああああ……そ、そんなバカな……」
「押しても駄目なら引いてみろってね。液体ヘリウムだよ!」

 液体ヘリウムとは液体窒素よりよく冷えるやつで、−268,9℃で凍る。ちなみに液体窒素は−195,8℃、ドライアイスは−78,9℃で凍る。

「熱で溶けないなら反対に冷やしてやったらどうかと思ったわけよ!このGS美神令子と愉快な仲間達を他の連中と一緒にしてもらっては困るわね。調子に乗りすぎた罰よ!液体ヘリウムのエネルギーを吸って、頭を冷やしなさい!」

 愉快な仲間って……まあ否定はしないけど……

「ゆ、雪女が凍らされるなんて、恥さらしもいいとこだわ……!!お、お願い、もう二度と現れないから……こ、このことは誰にも……」
「あら〜〜?どーしよーかな……?」
「お願い……そ、そんなに冷たくされると……あたし……」
「あ〜?聞こえなーい?」

 うわ……美神さん性格悪……(笑)

「あああっ……冷血女ーー!!」

 パキンッ!!

「あれ?……自爆しちゃった……ま、いっか!」

 いいんかい……それで……
 美神さんは割れた雪女の破片の中から氷の涙を取り出した。 

「それじゃ、雪女も倒したことだし、帰りましょうか。美神さん!」
「そうね……ってあれ?冥子は何所なの?」

 あ……そういえば冥子ちゃんは……

「むにゅ〜、令子ちゃん〜〜……」
「眠ってるわね……」
「眠ってますね……」

 俺と一緒に潜んでいた冥子ちゃんはスヤスヤと雪の中で眠ってました。
 なんか、冬眠してる小さい熊みたいだな(笑)





「さすがだなー美神くん、冥子くん!!あの雪女をいとも簡単に倒すとは……!!」
「美神さん!口ではただ働きなんかしないなんて言っても、やっぱり先生が心配だったんですね!」
「ま、まあね……」  

 雪女が倒された為、凍りついていた人達も元に戻りました。

「フン!運が良かっただけよ……」
「そうじゃ、ワシ等は運が悪かっただけじゃ!」
「イエス、ドクター・カオス」

 運じゃないと思うけどな……

「あー、ところで令子ちゃん!例の氷の涙、見せて欲しいアルよ!」
「見せるだけよ!なんたって100倍の霊能力がつくんだから……ってえええーー!!溶けちゃってる……なんで?どうして……」

 氷の涙を入れてあった袋には、水しか無かった。

「知らなかったのか美神くん!氷の涙は常に0℃以下に冷やしておかないと、溶けてしまうんだよ!」

 あ、そういえばそんなことも書いてあったような……
 ガ−ン!! 
(そ、それじゃきっちりただ働きじゃないの!後期はただ働きはしないって誓ったばっかりなのに……) 
 唐巣神父の言葉にかなりのショックを受ける美神さん。

「やっぱ先生の為じゃなかったみたいですね…」
「ひょっとしたら雪女より冷たいかもよ!」
「でがしょ?美神さんに比べたら雪女なんて情熱的なスペイン娘みたいなものですよ」
 
 俺は唐巣神父達の話しに加わる。

「それに……もし、美神さんが雪女だったら、俺なんて1秒ももたずに氷漬けですよ!」
「「「「あはははは、言えてるな!!」」」」
「た、ただ働き……」

 俺達が美神さんの悪口を好き勝手言っても、溶けてしまった氷の涙を思う美神さんの耳は凍りついたように何にも聞こえなかった。





 その後……

「ばくばく、もぐもぐもぐ……」
「み、美神くん……もう少し遠慮というものを……」

 自棄食いしてますね……美神さん……
 あの後、冥子ちゃんは皆を誘ってカニ鍋を食べに行きました。もちろん唐巣神父の奢りです。

「マリア!この食べ物をタッパに詰めるぞ!」
「イエス、ドクター・カオス!」

 カオスはタッパにカニを詰め込んでるし……

「ピート!これ食べさせて・あ・げ・る♪」
「い、いえ、自分で食べられますよ!」

 エミさんはピートに迫ってるし……

「これ、かなりご利益がある線香アルよ!どうだいるアルか?」
「え〜と……欲しいですけど……今お金持ってませんし……」

 厄珍はおキヌちゃんに線香売りつけてるし……

「横島さん〜〜このカニの殻を取って〜〜」
「ええっ!!またですか!!自分でやってくださいよ……」
「出来ないんだもの〜〜お願い〜〜!」
「ううう……分かりました……」 

 俺は冥子ちゃんの為にカニの殻取りをやっていた。
 だって冥子ちゃん、断ると泣きそうになるんだもん……暴走はいや〜〜!!
 俺は心の中で叫びながらカニの殻を取っていた。
 ああ……何時になったら食えるのだろう……カニ……

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