ザ・グレート・展開予測ショー

世界はいつも流れて……(41)


投稿者名:リュート
投稿日時:(03/ 2/28)

「どうやら雑魚どもが一掃されたみたいじゃな……よし!いくぞマリア!ワシ等の出番じゃ!」
「イエス、ドクター・カオス!」
「あたしが先なワケよ!」

 前方の冷気の柱が伸びた場所に向かう、カオス、マリア、エミさん。

「それ〜!早く行って、家賃を払うんじゃ〜!いけいけ〜!早くいくんじゃ〜マリア!」
「イエス、ドクター・カオス!」

 カオスが作った発明品とカオス自身が乗っているソリを引いてマリアだが……

「どわああ〜〜!!」
「うわ〜〜!ちょ、ちょっと〜〜!!ああ〜〜っ!!」

 ゴゴゴゴゴ……
 マリアが凄い勢いで坂を下った為、カオスがソリから落ちソリのバランスが崩れ、前を滑っていたエミさんを巻き込んで坂を転がり落ちた。

「ふう……やれやれ、酷い目に合った……」
「ちょっと!おたくいい加減にして欲しいワケ!!はあ〜……嫌になっちゃう……」

 怒鳴られて怯むカオスとマリア。怒鳴ったエミさんは雪だるま状態になっている体の雪を退かしていた。

「雪女ーー!!早く出てくるワケーー!!早くーー!!」
「お呼びかえ?」

 エミさんの呼びかけに応え、空中から現れる雪女。

「勝負するワケ!氷の涙とピートのハートはあたしが貰うワケ!!」
「ピート?ああ、あのバンパイアハーフのボウヤね。あの子の心は今までで一番熱くて美味だったわ」
「ピートのハートは、あたしの物よ!!」

 エミさん気合充分です。

(もっともっと熱くなるがいい。熱くなればなるほど人間の心は最高のご馳走なのさ!)
 雪女がそんなことを思っていると……

「3分後に勝負よ!」
「えっ?……さん、ぷん、ご……?……あ、ああっ……」

 呆れて口元を引きつらせる雪女。
 ドンドコドこドコ……
 どこからとなく音楽が聞こえ、踊り出すエミさん。 

「アーブドール、ガームラ―ズ、オームニース……」
「あ……あああ………?」

 呆れながらも律儀に待ってる雪女。

「オームニ―ク、ベールエース、ホリマーク!霊体撃滅波!!」

 エミさんの体から霊気が放出され全体に広がる。そしてエミさんは決まったっと思いカッコつけるが……

「それだけかえ……そ、そんな……」
「えっ!?」

 ピンピンしている雪女。
 まあ、霊体撃滅波は本来は対大勢の拡散技だし、それに黒魔術は正面から戦うと威力が半減するためこうなったんだと思うが……

「次はワシじゃ!!」
「これはまた、不味そうな……」
「うるさい!ワシを誰と心得る!世紀の科学者!悪魔の錬金術師!ヨーロッパの魔王として恐れられ……」
「能書きはいいから早くやって!!」

 バコッっとエミさんに叩かれるカオス。

「おう!火炎放射!!」

 ソリに搭載されていたカオスの発明品の火炎放射から出た火炎は雪女を包み込む。
 だけど、それは冥子ちゃんのアジラの炎以下、倒すのは無理じゃないか?

「であははっ!!どうじゃー!この熱さには耐えられまい!溶けてしまうがいい!!」
「フフフフフッ……甘いわーっ!!」

 ビュウウウウッ!!
 雪女から放たれた冷気は炎を消して、火炎放射を完全に凍らせ、カオス、マリア、エミさんを少し凍らせる。

「バ、バカな……」
「何人たりとも、この私を倒すことは出来ぬわ!」
「や、やれ、マリア!」
「イエス、ドクター・カオス!ロケット・アーム!」

 マリアは凍りついた体の氷を剥がして、ロケットアームを放つが、雪女は体を雪の結晶に変えて、ロケットアームを避ける。

「フフフフフッ……凍れ凍れ!何もかも!!」
「きゃあ〜っ!」
「うわおおっ!!!」

 雪女から放たれた冷気の塊を受けたカオス、マリア、エミさんは完全に凍りついた。

「ほほほほほほっ……」

 一人残った雪女はその光景を見て高笑いをあげた。




「あ〜!?令子ちゃんだ〜〜!!」
「んぐっーー!?」

 ドンドンドンッ!!
 美神さんはかまくらで石狩鍋を食べていたが、冥子ちゃんの声に驚いて食べ物を喉に詰まらせて胸を叩いていた。

「ああ!美神さん大丈夫ですか!!水です!」
「んっぐぐぐぐ!!!………はあはあ……はあ〜……ありがとうおキヌちゃん……」

 美神さんはおキヌちゃんが渡した水で食べ物を胃に流し込み落ち着く。

「まったく冥子!人が食事をしてる時にいきなり話し掛けないでよ。びっくりするじゃない!」
「ご、ごめんね〜〜令子ちゃん〜〜……」

 冥子ちゃんは謝る。

「ところで美神さん。こんな所で何をしてるんですか?」
「私も氷の涙が目当てで、ここから雪女を観察して弱点を探してたんだけど……あいにく雪女退治に必要な道具が無いんで道具が届くまで鍋でも食べながら待ってるのよ」

 おキヌちゃんの質問に答える美神さん。

「道具ですか……これならどうですか?」

 俺は背中に背負った道具を見せる。

「これは!……あちゃ〜……そっちも雪女の弱点捜し当てたのか……先を越されちゃったわね……」 
「そうだわ〜〜!令子ちゃん〜〜雪女退治手伝ってくれない〜〜?手伝ってくれるなら氷の涙を譲るわ〜〜」
「えっ!いいの冥子!」

 美神さんが驚く。

「別に構わないわ〜〜!令子ちゃんと一緒に仕事が出来るんですもの〜〜♪それに氷の涙なんて興味ないし〜〜」

 つまり、今の冥子ちゃんの頭の中はカニ鍋と美神さんということか……はあ〜……まあ、冥子ちゃんが決めた事だから反対はしないけど……

「それならいいわ!OKよ!」
「それじゃ、雪女退治作戦はこんなもんでいいですか……」

 俺は冥子ちゃんと美神さんに作戦を提案する。

「ふみゅふみゅ〜〜、ええ〜〜それでいいわ〜〜!もぐもぐ……」
「ま、妥当な案ね!いいわよ!むぐむぐ……」

 あの〜…頼みますから人の話を聞きながら鍋を食べるのはちょっと止めて欲しいんだけどな……
 俺が作戦の用意を終わった頃にはもう食べ終えていた。
 心残り、俺も鍋食いたかった……

「ふう〜、美味しかった!極楽極楽〜!さて、食後のデザートは氷の涙といきますか!……って冥子!何寝てるのよ!」
「お腹いっぱいだわ〜〜、うにゅ〜〜眠い〜〜」

 確かに食後は眠くなるのは分かりますけど、これから仕事ですよ冥子ちゃん。 

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