ザ・グレート・展開予測ショー

彼の大きさ(8)


投稿者名:ANDY
投稿日時:(03/ 2/28)

  パン!パン!パンパン!!パパンパン!!!
「よ〜こそ!!GSの皆さん方。お待ちしてましたよ〜♪」
 大量のクラッカーを鳴らし、能面のような仮面の上にパーティのときなどに使う髭付きメガネを掛けた悪魔が陽気な声で出迎えていた。
 その悪魔の上には、どういう原理なのかは不明だが、空中に横断幕があり、そこには「歓迎・アシュタロス討伐の英雄様一同」と日本語で書かれていた。
 その様子に美神達は一瞬あっけにとられてしまった。
「あ、あんた!何のつもりよ!これは?!」
「おや?お気に召しませんでしたか?」
 いち早く現実の帰ってきた美神の怒気のこもった疑問に対して、悪魔は何処吹く風で首を捻っていた。
「う〜む。やはり日本人の方が多いから、和風で行くべきだったのかな〜?」
「って、そんなことじゃないわー!!」
「じゃあなんです?意外性を突いてアフリカにいるヌメ族のような歓迎の仕方のほうがよかったのかな〜?」
「だから違〜う!!」
「人の娘で遊ぶのはそれぐらいにしてもらえないかしら?」
「ママ!」
「おやおや。これはこれは、オカルトGメンの美神美智恵さん、でしたよねえ」
「あら?私のことを知ってるの?」
「ははは。知ってるも何も、一人でアシュタロスの部下達を全滅寸前まで追い詰めた程の知恵の持ち主なんですからねえ。あなたのことを知らないモノはいませんよ♪」
「そう。なら、私がどういう女かわかってるわね。いくつかの質問に答えなさい」
「答えられるものなら何なりと♪」
「まず一つ。あなたがここに私達を誘った理由は?」
「とあることにご協力を、と思いまして」
「二つ目。そのとあることとは?」
「まだ秘密ですよ♪」
「三つ目。今回のことはあなた一人の単独犯ではないでしょう。他の仲間は?」
「もちろんいますよ。お呼びいたしましょう。カモーン!レッドス○ーク!!」
 そんなコアなセリフと共に、七つの人影が突如現れた。
 何の気配も感じさせず現れたソレらに、美神達は身構えた。
「彼らが私の仲間の皆さんですよ〜。強いですよ〜」
「・・・どうして全員同じお面なのかしら?」
「ああ、それはですねえ―」
「我らは影。影に顔は必要ない」
 Jのセリフをさえぎり、七人の中でリーダー格の者が言葉を発した。
「ああ、もう。ひどいなあ、狂乱角さん。人のセリフを取るなんてえ」
「汝が長すぎるのだ。とっとと用件を伝えればよかろう」
 拗ねたように抗議をするJを無視し、狂乱角は先を促した。
「はいはい。まったく、仕事熱心なんだからねえ。で、え〜と、なんでしたっけ?」
「・・・あなたのお名前を教えてくれないかしら?」
「ああ、はいはい。わかりました。え〜、ごほん。私の名前はジャッカルといいます。親しみを込めて“ドクター”とおよび下さい」
 そう言い、ジャッカルは仮面を取り、恭しくお辞儀をした。
 仮面の下にあった素顔は、生あるものとは思えない青白さをしており、うそ臭すぎる笑みを浮べていた。
「で、こちらのかたがたは先ほども言いましたが、狂乱角さんと、その楽しい仲間達です。以後、お見知りおきを」
「・・・最後の質問よ。一年前、旅客機墜落事件に関係のある方はいるかしら?」
「ふむ。一年前ねえ。え〜と、ちょっと待ってくださいねえ」
 美智恵の質問を聞くと同時に、ジャッカルは懐から手帳のようなものを取り出した。
 ページをめくっているその時、その手帳から赤い布きれが落ちた。
「ああ、わかりましたよ。確かその時、その飛行機、でしたか?それに非常に興味深い対象がいたので、僕のコピードールに取りに行かせたんですよ。
いや〜、それが思わぬ反撃にあって僕のコピードール一体と、狂乱角さんの部下二名が使えなくなったんですよねえ。まったく、実に興味深い研究対象だったんですけどねえ」
 そうにこやかに答えながら、ジャッカルは赤い布きれを踏みつけた。
 意識してやっているのだろう。
 これでもか、と言うぐらいにこねくりながらジャッカルは笑みを浮べていた。
「・・・・・・・けろ」
「・・・・・・・けるでござる」
「はい?」
 俯きながら、何か言葉を発しているシロとタマモにジャッカルは、これでもかと言う笑顔で、バカにしたように聞き返した。
「「その汚い足を(横島)(先生)のバンダナからどけろって言ってるの(でござる)(よ)!!」」
 怒声と共に、二人はそれぞれ妖力と殺気を爆発させた。
 獣だからだろうか、その殺気は純粋でそれでいて、神々しさを感じさせ受けるものすね手に衝撃を与えるものだった。
 普通のものになら。
「ふ。この布きれか?」
 ジャッカルの足下から赤い布切れ―バンダナの切れ端―をつまみ、狂乱角は尋ねた。
「なぜこれがその横島のだとわかる?」
「「臭い(でござる)(よ)!!」」
「臭い、とな」
「「そう(よ)(でござる)!(私)(拙者)とそこの(バカ犬)(クソ狐)と一緒に、(横島)(先生)に卒業祝いに上げたバンダナには、(私)(拙者)の臭いを刷り込んだからわかるの(よ)(でござる)!!」」
「って、なにをしてんのよ!このバカ犬!!」
「お主こそなにをしてるでござるか!このクソ狐!!」
 場の空気を無視して、二人がいつもの喧嘩を始めようとしたと同時に、ボワ、と言う音が聞こえた。
 その音は―
「フン。くだらん」
 ―バンダナが禍々しい黒い炎でこの世から消された音であり―
「き、貴様アアアアア!!!!!!」
 ―激しい戦いの開始を告げる音でもあった。

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