ザ・グレート・展開予測ショー

タマモ、謀ってみる (前半)


投稿者名:KAZ23
投稿日時:(03/ 2/27)

私はタマモ。
人間には、金毛白面九尾の妖狐なんて言われてる妖怪よ。
長く眠っていたけど、1年半くらい前に妖力が回復して活動できるようになったわ。
起き抜けにいきなり人間に追いまわされて正直ムカいたけど、その後すったもんだが
有って今ではその人間と一緒に生活してる。
まぁ、最初は利害が一致したからだったけど、今では割と人間も悪くないって思えるようになったかな?
一緒にいる奴等が面白い奴等ばかりだからね。
そんな中で、今一番気になっている人間が横島忠夫っていう男。
こいつは不思議な奴で・・・最初は私にとって何でもない奴だったはずなのに、いつの間にか酷く惹かれてた自分に気がついた。

―― いつなんだろう? ――

1年と少し前、あいつがまだ私の前にいた頃にはそんな感情なんて無かったと思う。今考えてみても、惹かれた時期は曖昧だ。
ヨコシマが帰ってきてからかも知れないし、もしかしたら出会った直ぐ後からだったのかもしれないし・・・
ただ、どこに惹かれたのかは分かっている。
ヨコシマは馬鹿みたいに優しい奴だ。困ってる奴をどうしても見捨てる事が出来ない。
そのうえ、意外に頼りになる。霊力は勿論そうなんだけど、馬鹿の癖に意外に物知りで、一瞬の機転が凄くきく。私はソレを目の当たりにする度に、ヨコシマという男を見直したものだ・・・
そして、今では本当に掛け値なしに頼りになるしね。
いくら私が辛口でも、ヨコシマは良い男の部類に入るだろう。惚れた弱みも、身内の贔屓目抜きでもだ。
そんなヨコシマと私は出会った。
その後少しだけ一緒にいて、そしてあいつは消えた。
あいつが消えただけで、周囲の人間関係は激変したわね。
一見すると何も変わらないように見えなくも無かったけど、それがまやかしだった事なんて超感覚に頼るまでも無く分かったわ。
はじめはそれが嫌でいなくなったヨコシマに文句を言ってた。
早く帰って来いってね。
でもそのうち、ヨコシマが居ないこと自体が嫌になってたの。だから思ったわ。
早く帰ってきて欲しいって・・・・・・
1年もの間あいつが傍にいなくて、私は寂しいって気持ちを思い出してしまったんだ。
昔々、遠い昔に封印してきた感情。
ヨコシマは、私にそんな感情を思い出させてしまった罪な男。
だから、あいつには責任を取る義務があるわ!

―― ふふふ♪ ――

だから、今日こそあんたの心を奪ってあげる。
私の心にあんたが住んでいるように、あんたの心に私を住まわせてあげるわ。
ヨコシマがかなしい恋をしてきたって事も聞いたけど、今ではもう良い感じに吹っ切れてるみたいだし・・・別の女が入れる余地は間違いなく存在してるんだから。

―― ただ ――

ヨコシマって信じらんないくらい鈍感だから、生半可な事じゃあ駄目よね。
かと言って、押しすぎると誤魔化して逃げられるのがオチ・・・・・・ったく、面倒くさい男なんだから!

―― ま ――

そんな男に惚れちゃったのが運の尽きってやつよね。
だから色々と作戦って言うモノを考えて来る訳よ。分かる?

―― ピーンポーン ――

そして今、私はあるマンションのインターホンを鳴らす。

『は〜い・・・あれ、タマモ?どうした、こんな時間に?』

ここはヨコシマのマンション。ま、マンションって言ってもそんなに大層なものじゃ無い。事務所から近い所となるべく安いってのを条件にあいつが見つけた、2DKのマンション。
「副所長になってお金もたくさん貰えるんだから、もっと良い所に住めばいいのに」って言ったら、「今はまだ良い。全然不自由してないから。っていうか前と比べてると素晴らしく快適だぞ!いきなりこれ以上の所を借りたら、1週間で落ち着かなくなる事間違い無しだ。」だって。
ほんと、飽きない男よね♪

「今、ちょっと良い?」
『ああ、待ってな。今開けるから・・・』

そう言うと、少しだけ間が有って・・・

―― ガチャッ ――

目の前の扉が開いた。

「どうしたんだ、タマモ?ってあれ・・・お前なんだか濡れてないか?」
「うん。途中で通り雨が来たの。」

実は嘘。

「そっか、じゃあどうする?なんか用事有るんだろうけど・・・先にシャワーでも浴びるか?」
「・・・・・・うん、ありがと。」

そう言って、ヨコシマの招きを素直に受けて私はヨコシマの家に入る。ここではにかむ事も忘れない。ま、ヨコシマには今一効き目無いけど、いつか私が気になり出した時に一気に効いて来るものだからマメにやっておかないとね。
でもって、この家は相変わらず赤ん坊のいる匂いが漂っているわね。ほんと、甘ったるいわ。

「蛍は?」
「ああ、ちょっと前に眠ったよ。俺ももうちょっとしたら寝るつもりなんだけど・・・・・・って、いや。それより先にシャワーだシャワー!風邪引いちまうぞ?ホラ、ここだから。あ、濡れた服はどうしよう?うちって乾燥機無いんだよ。」

結構ぶっきらぼうな言葉だけど、それでもヨコシマが私の体を気遣ってくれるのは嬉しい。
嬉しいんだけどそれはひとまず置いておいて、

「ヨコシマの服、何か貸して?」
「俺のか?あ〜・・・何かあったかな?上はトレーナーでいいとして、でも下はどうやったってサイズが合わんぞ?」

ふ〜ん・・・まあ計算通りよね。

「とりあえず、先にシャワー浴びるわ。何か適当に見繕っておいて。」

―― パタン ――

そう言って手をヒラヒラさせると、私は脱衣所の戸を閉めた。
ふふふ。ここまでは成功ね。

―― ファサッ ――

「あー、しっかしベタベタするわ。やっぱり濡れた服ってのは気持ち悪いわね。」

通り雨なんて真っ赤な嘘。これは途中の公園で水道のシャワーを浴びてきたのだ。
理由は、問答無用でヨコシマの部屋に上がるため。
夜中に尋ねてきた女の子がびしょ濡れなんだもの、こんな時は「とりあえずシャワー」が定番よね。

―― シャー ――

「ああ、気持ち良い・・・」

やっぱシャワーは良いわね。あんまり熱すぎないのがまた良いわ。
本当はこのまま湯船張って浸かりたい気分だけど、今日はこの先の計画が詰まってるからお預けね。

―― ゴシゴシ、 ――

今日は念入りに身体を洗って〜♪

―― キュッ、キュッ ――

ピカピカに磨き上げて〜♪

「ふふふ。これでヨコシマも一撃だわ!」

さて、上がるか。

―― ガラガラガラ ――

ん、これは・・・
ヨコシマが準備してくれたのは大きめのトレーナーとトレパンだった。どっちもヨコシマのモノなので、当然ながらサイズが合わない。

「・・・・・・ふ〜ん。」

ソレを見て私はどうするかを瞬時に判断すると、それに従いヨコシマの準備してくれた服を身につける。

―― モソモソ ――

若干アレンジしてね。

・・・・・・・・・・・・


<後半に続く>

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