ザ・グレート・展開予測ショー

カモネギよ、こんにちは(前編)


投稿者名:NAVA
投稿日時:(03/ 2/27)


*********************************************************
この作品はMaria's Crisisさんをリスペクトしたパロディです。
Maria's Crisisさんの『悲しみよ、こんにちは』(http://cwww.pos.to/cgi-bin/tenkai/tenkai.cgi?log=1043511539.log&)
が元ネタです。
その作品を読んでいることを前提に話を進めております。
まだ読んで居ない方、内容を忘れている方は、先にそちらへ目を通しておいてください。
繰り返しますが、パロディです。
*********************************************************

〜カモネギよ、こんにちは〜




「おじいさん、死んでますか?」


学校からの帰り道、電信柱の近くでおじいさんがうずくまっていた。
普段からあまり人が通らないこの道・・・。なんでも、幽霊が出る、という噂があるそうで・・・。
その隅っこで、おじいさんは左胸を押さえ、しわだらけの顔を苦痛でゆがましていた。

私は駆け寄って、そっとその細い背中をさすってあげる。

「すまないねえ、お嬢さん・・・。少し休んだから、もう大丈夫ですじゃ」
おじいさんは、優しい笑顔を見せると、よろよろ立ち上がろうとする。

「大丈夫ですか?・・・・(もしかしたら天涯孤独でお金持ちだったりして♪)」

私が肩を貸してあげると、まだ足元はおぼつかないが、ゆっくりと立ち上がってもらえた。

「ありがとう、お嬢さん。いやあ、三年前から心臓を患いましてね。たまにこうやって発作が起こるんですよ」
そして、おじいさんはまた優しく笑う。



「・・・あれ?」

おじいさんの足元に、札束が落ちているのに気づく。
かなり分厚い――――恐らく一束100万円×3束。(キラーン☆)
「ああ、それはワシがさっき銀行から下ろしてきたものなんじゃよ」

そう言って、おじいさんがそれを拾おうとする。
私は笑顔でそれを制し、自分の懐に入れようとした。しかしおじいさんは、目だけがマジの笑顔で先に拾った。

「ワシには今日で、十歳になる孫娘がおりましてのう」

「今日で?(天涯孤独じゃないのか・・・チッ)」

「ええ」
おじいさんは目元にしわを寄せながら答える。
「名前はサチコと言いましてね、今日はあの子の誕生日でして。前々からこの札束を欲しがっておったんで、プレゼントしてやろうと思ったんじゃよ」

「そ、それは素敵ですね♪」

私が感嘆の声を上げると、おじいさんもにこにこと微笑む。

でも、すぐに表情を曇らせると、
「サチコには色々と不憫な思いをさせてましてね・・・。生まれてすぐに父親を事故で亡くしてしもうて・・・」

「・・・・・」

「それで、ワシが父親代わりになろうと思っておるんじゃが、いやはや、こんな老体ではあの年齢の子供の世話は、ちと荷が重すぎましてのう」
そう言って、大声をあげて笑う。目だけは鋭い眼光を浮かべながら。

私は曖昧な笑顔で、それに答える・・・。

「まあ、ワシにできることは、こういうのをプレゼントしてやるだけですじゃ」
そう言って、手に持っていた300万を懐に仕舞う。・・・・・・・・・・・チッ
「サチコにひもじい思いだけはさせられんからのう・・・」

まるでそれがサチコちゃんであるかのように、懐を撫で付ける優しそうなおじいさん・・・。
私は、両親はもちろん、祖父母の顔も知らない。
でも、こんな風なお金持ちなおじいさんだったらなぁ・・・。

「それじゃあ、心配ですので、お家までお送りいたします」
私もつられて、ニヤリと笑顔を見せる。





「私、黒絹って言います。(チャンスはこれからこれから♪)」





・・・・・ネギ背負ったカモに、こんにちは。





冬の寒空の下、おじいさんの歩調に合わせ、ゆっくりと歩く。
右手はおじいさんの背中を、左手におじいさんの懐を・・・、両の手に注意をはらう。

本当は、帰ったらすぐのお仕事が1件あるのだけども・・・、あとで美神さんには謝ることにした。

今は何よりも・・・目の前のカモ。

そっとおじいさんの顔を覘いてみる。
口元に穏やかな笑みを浮かべ、おぼつかない足取りながら、一歩一歩ゆっくりとお家に向かっている。

かわいいお孫さんの顔を早く見たいのだろう。
私は心の中で『居ないでください』とつぶやいた。

お家までの道すがら、おじいさんから色々なお話を我慢して聞いた。
とは言っても、ほとんどお孫さんのお話。

一緒にお風呂に入ったとき、背中を流してもらった。
学校のテストで100点を取ってきたので、う〜んと褒めてあげた。
夜中にトイレへ一人で行くのが怖い、と言われて一緒について行ってあげた。

どれもこれもが微笑ましいお話。それを嬉しそうに話すおじいさん。
他の人が聞いたら、他愛もないお話なのかもしれないけど・・・、その一つ一つ全てがおじいさんの大切な思い出・・・。



私は一言も聞き漏らさまいと、熱心に聞く。

何故なら、そこにおじいさんを篭絡するヒントが隠されているかも知れないからだ。

おじいさんがお話の合間に見せる笑顔に、私にも自然と笑顔ができる。



そして、また一歩・・・、大金持ちになった自分を想像する。フフフフフ。



「ああ、ここじゃ、ここじゃ」
顔を上げ、おじいさんが前方に見える一軒家を指差す。
築30年以上はしてそうな、古いけれど大きなお家だった。

・・・予想通りに裕福そうだ。


私の胸の鼓動が急に高まる・・・。
それは・・・、一つの決心に近いものであった・・・。



「冷静に・・・」私は一つ大きく息を吸い込む。

そして、ゆっくり呼び鈴を押すと、奥から若い女性の返事が聞こた。


今までの コメント:
[ 戻る ]
管理運営:GTY+管理人
Original GTY System Copyright(c)T.Fukazawa