ザ・グレート・展開予測ショー

ルシオラIN父帰る!!


投稿者名:ハルカ
投稿日時:(03/ 2/27)

それはよく晴れたある日のことだった。


ジリリリリーーーーン


横島クンのアパートに電話のベルが鳴り響いた。
そして電話口の向こうからは中年の男性の声が聞こえる。

『おう!!忠夫か!
 明日、成田空港にナルニア航空112便で帰るからな!!
 わはははは!!ひさしぶりに父に会えてうれしいか!?
 それはそうと成田まで迎えに来いよ?
 来なかったら仕送りがどうなるかおぼえておけ!!
 わははははははー!!!!』

しかし返ってきた返事は聞きなれた息子の
横島クンのものではなく・・・・・

「あの・・・・ヨコシマのお父様ですか?」

ルシオラはすこし困った表情で答えた。

(ヨコシマのお父さんが帰ってくる?
 それより成田ってどこ?
 そんなことよりヨコシマのお父さんの前で失敗しないようにしなくっちゃ!!)

『%$&¥#ーーーーー!?!?
 (ガタン!!ガタン!!)
 ・・・・・・・失礼。少し取り乱してしまいました。
 忠夫の父親の大樹です。はじめまして。』

さすがは大樹パパである。
一瞬で落ち着きを取り戻し、
さきほどの息子に対するハイテンションから女性に対する対応に変わっている。

「あっ・・・はじめまして!!
 私、ルシオラと申しましてヨコシマにはいつもお世話になってます。」

失敗しない様に緊張しているルシオラとはうってかわって
電話口の向こうでは大樹パパが冷静に今の状況を分析していた。

(今書けてる電話番号は忠夫の部屋のもの・・・・
 あいつは携帯なんて持ってねーだろうから
 このルシオラって娘は忠夫の部屋にいるわけだ。
 しかもこの緊張した口調・・・
 『彼氏父親の前で失敗しないように努力している声』と見た!!
 ・・・・・忠夫のくせにっ!!!!
 息子のものは基本的に父親のものだという事を分からせてやる!!)
「ルシオラさん・・・・でよろしいですか?
 私が日本に帰ることは忠夫に秘密にしてくれませんか?
 アイツを驚かしてやりたいんです。
 ・・・・・で、もしもお時間よろしければ協力していただけませんか?」

もちろんウソである。
こんな話をしながらすでに別の携帯電話で高級ホテルの予約まで入れている
あたりから用意周到さがうかがえるくらいに。

「ええ、かまいませんよ♪」

そんな大樹パパの黒い思惑を知らないルシオラはあっさりOKしてしまう。

「では後日お酒でも飲みながら・・・・
 最近の忠夫の様子も聞きたいですしね。」






〜数日後〜

「どうしたんだ、ルシオラ?
 なんかソワソワしちゃって。どうかしたのか?」

いつものアパートで横島クンがいつもよりソワソワしているルシオラに声をかける。

ルシオラは今日大樹パパに会って横島クンを驚かす計画を相談するつもりなので
横島クンが驚く顔を期待したり、
大樹パパの顔はどんなだろうかと想像したりと落ち着かないのだ。

「う、ううん!!
 なんでもないのよ!ヨコシマ!!
 ところで今夜は用事があるから晩ご飯は冷蔵庫の中にあるやつを食べといてね。」

「・・・・・?
 どうしたんだ?ルシオラが夜中に用事ってめずらしいな。」

夜中に用事ということで少し怪訝そうな顔をする横島クン。
それにルシオラは嬉しそうに笑顔を浮かべながら答える。

「ふふふ・・・秘密♪」

うれしそうな笑顔を浮かべながら部屋を出て行くルシオラを見て
急に不安になる横島クン。

(秘密って・・・・・・ま、まさかルシオラに男が!?
 ・・・いやいや、ルシオラを疑っちゃダメだよな。
 ああっ!!でも気になる!!!!)

部屋の中でルシオラの後を追うか迷ってドアノブに手をかけたりその手を離したり
一人で苦悩しつづけるその姿はかなりアブない人そのものなのだが。

10分ほど悩みに悩みぬいた横島クンの結論は

「よしっ!!散歩に行こう!!
 散歩の途中でルシオラを見かけてもそれは仕方ないよなっ!!」

であった。





ルシオラの後を『散歩』しつづける横島クン。
途中、

「ママ、あの人なーにー?」
「しっ!!目を合わせちゃいけません!!」

とか

「この付近でストーカーしている怪しいやつとは貴様か!!
 貴様のような悪は社会から抹殺しなければいかんのだ!!」

とかの言葉を後ろから受けながらも自分の存在がばれないように
ルシオラの目的地まで到着する事に成功したのだった。





・・・・そして横島クンは灰になった。




「ホ、ホ、ホ、ホテル・・・・・
 ルルルルルルルシオラが俺に黙って・・・黙ってホテルホテルホテルに・・・・
 これは夢だな?夢なんだな?夢なんだよな?」

しばらく放心状態の横島クンだったがまだ僅かな希望を信じて
次の行動に出ることにした。

(もしかしたら美神さんと会うのかもしれないしなっ!!)

自分に言い聞かせる様にルシオラが入ったバーのバーテンダーに成りすまして
ルシオラの相手が来るのを待っていた。


しばらくして大樹パパの到着である。

「すいません!!少し会社でゴタゴタがありまして!
 お待たせしてしまいましたか?」

そうはいっても時間きっちりに来るあたりがさすがだ。
それを見ていちばん驚いたのは横島クンだった。

(あのクソ親父・・・・
 よりによって俺のルシオラに手を出すとは!!!!
 コロス!!そんでおふくろに連絡してやる!!)



しかしよく話を聞いているとどうやらルシオラは横島クンを驚かせるために
ここへ来たとの事。
それを聞いてホロリと涙が出そうになる横島クンだった。



(そっか・・・
 俺はルシオラを疑っちまうなんて、なんてバカなんだ!!
 ・・・・・だがあのクソ親父だけは許さん!
 あの野郎は明らかにルシオラを狙ってやがる!!)



ピンポンパーン

『お客様にお呼び出しを申し上げします。
 横島大樹様、百合子様からお電話です。一階、フロントまでお越しください。』

突然の館内放送に『ビクゥッ』っとなる大樹パパ。
この辺りはさすがに横島クンの血筋である。

「し、失礼・・・
 少し席を外す事になりそうですが・・・・・」

顔面蒼白になりながらもルシオラに一言断りを入れて席を立ち
大樹パパは一階フロントへと向かった。

(ああっ・・・!!
 なんで百合子にバレたんだ!?
 帰国前にナルニアの電話番号を変えたのがいけなかったのか!?
 それとも昔の彼女たちのしわざか!?
 いずれにせよごまかさなくては・・・・・殺される!!!!)

そんな事を考えながら電話に出てみると
電話の向こうから聞こえてきた声は妻のものではなく・・・

『ふっふっふ・・・・親父〜。
 俺のルシオラに手を出すとはやってくれるじゃねーか。
 すぐ屋上にこい!!おふくろに連絡すんぞ!!!!』

「・・・・忠夫か!!
 ここまでやったからには覚悟ができてるだろうな!?
 望むところだ!!今すぐ行ってやる!!!!」




〜屋上にて〜

「・・・・やっと来やがったか。
 このクソ親父!よりによってルシオラをだましてこんな所に連れてきやがって!!
 息子に敗北する屈辱を味わうがいい!!」

「やかましい!!
 息子のものは父親のものなんだよ!!
 貴様こそ山よりも高い父の強さを知るがいい!!!!」

こうして世界一みにくい父と息子の戦いが幕を開けたのであった。



(野郎とおっさんの戦いは萌えないので中略)



・・・・屋上には二つの屍が転がっていた。
どうやらダブル・ノックアウトらしい。

「遅いと思って探しにきたらこういう事だったのね。
 ヨコシマがここに来て、親子喧嘩・・・
 私が浮気してるとでも思ったの?そんなわけないじゃない。」

大樹パパを探しに屋上にやってきて二つの屍をみつけた
みつけたルシオラが『も〜・・・』とあきれた声を出す。

「心配させちゃってゴメンね、ヨコシマ。
 これはお詫びのしるしよ♪」



チュッ♪



ルシオラが倒れている横島クンの顔を抱き上げて軽くキスをする。

「た、忠夫のくせに・・・・・」
「ル、ルシオラ・・・・・」


ガクッ


片方は敗北感に片方はうれしさのあまり気を失ってしまう横島父子だった。













後日、この事が百合子ママにばれて大樹パパがシバかれたことや
ルシオラを一目見ようとグレート・マザーが襲来する事があるのだが
それはまた別の話・・・・・・・

                            Fin

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