ザ・グレート・展開予測ショー

失われたドクロ(9)


投稿者名:MAGIふぁ
投稿日時:(03/ 2/25)



これは3つに別れた一行の、それぞれのお話である。



「これは…」

「すごい…」

「キレイ…」

目の前に広がる光景の美しさに、美神達はしばし全てを忘れて見入ってしまった。

美神だけは目に¥マークを浮かべていたが…



タマモが見つけた抜け道の奥、階段を下りたその先はクリスタルの鉱脈だった。

そこかしこに剥き出しになっているクリスタルが、懐中電灯の明かりを反射して通路を照らし出す。

その透き通った輝きは心を洗うかのようであった………美神令子以外の。

おキヌとタマモが手頃なクリスタルを手に取って見ているのをよそに、手持ちの精霊石やアクセサリーの宝石で硬度を確かめる美神。

クリスタル…水晶は透明度や輝度、硬度などで当然値段が違ってくる。すでにこの辺りの土地を買い取り、鉱脈の情報と合わせて転売した時の皮算用を始めている美神には、ここの水晶の質は重要な問題だ。

「え?うそ…これって…」

「どうしたんですか?美神さん」

何やら熱心に調べていた美神がそう呟いたのを耳にしたおキヌは、唐巣か横島達の手がかりでも見つけたのかと思って聞いた。

「ふ…うふ…」

「美神さん?」

しかし、美神は振り向きもせずに、俯いたまま何か呟き出した。

そして、不審に思っておキヌが肩に手を置こうとした時

「ほーーっほっほっほっほっほ!!棚からぼた餅!ぼろ儲けよ!ぼろ儲けだわ!!」

と、高笑いをあげた。

物陰からタマモが見守る中、かなり引きながらも声をかけるおキヌ。

「ど…どうしたんですか?美神さん」

おキヌの怯えた声を聞いて、はっと我に帰る美神。

「あ…ああ、おキヌちゃんゴメンなさい。今回最悪タダ働きかと思ってたのに、思いがけず金づるが見つかったんで、つい…」

「金づる?」

美神が帰ってきたと見るや、ちゃっかり元の位置に戻って来たタマモが聞く。

「ふふふ…このクリスタルだけどね?これはロッククリスタルって言って、水晶の中じゃ最も硬い種類なの。しかも、ここのロッククリスタルは特別硬いみたいね。モース硬度で7…つまりトパーズと同じくらいだもの」

「つまり…その分高いのね」

「そうよ!しかも、それがこれだけ豊富な鉱脈一つ分あるのよ!ああっ!いくらになるか考えただけで、もうっ…」

背筋を快感が走っているらしく、ぞくぞくっという感じで体を震わせる美神。どうやらまたトリップに入ったらしい。

タマモも、だったら少しくらい拾っておこうかなー、と手頃な物をいくつか背中のバッグにしまい込む。

こんな事してる場合じゃ…と思いつつも、光り物に弱い女性としての本能で同じくクリスタルを拾ってしまうおキヌ。

そうやら彼女達はここでしばらく足止めのようだ。



一方、その頃



「これは、ぴらみっど…でござるか?」

「みたいだな…」

横島とシロは、何かいかにも最終目的地っぽい所に着いていた。

地下に密かに存在する石積みのピラミッド…

怪しい。ここに何かあるぞ〜!と叫んでいるようなものである。

普通ならここは慎重に…という所だが

「行ってみるか?」

「そうでござるなっ!」

この2人にそれを要求するのは無理だった。

シロなどは好奇心が刺激されたのか、シッポを振って目をキラキラさせている。

「あ、そうだシロ…これだけは言って置くけどな…」

「何でござるか?」

「中で何か見つけても、美神さんには内緒だぞ?」

「おっけぃでござる。その代わり…」

「ああ。見つけた物は山分けだ」

お互いの顔を見てニヤリと笑って、ビシィと親指を立てる2人。

気分は正にイ○ディ・○ョー○ズ。さすがは師弟、息がピッタリだ。

ただ、残念ながら

見つけた物をこっそり日本に持ち帰れても、それは密輸と言うのでは…とか

そもそも美神さんに隠しとおせるのか?とか

唐巣神父の事、覚えてる?等のツッコミを入れられる人間はここにはいなかったので、2人はそんな事には気付かず、そのままピラミッドの頂上あたりにある入り口から中に入っていってしまったのだった。

気付かなければ幸せでいられるという、良い例かも知れない。



そして、唯一唐巣神父を探す彼の弟子は…



「先生っ!どこですか、せんせーい!」

道に迷っていた。

どうやら彼は水晶を掘りつくした後の廃坑の辺りに迷い込んでしまったらしく、さっきから迷路のような道を闇雲に進んでいた。

ついさっきまでは“探”文珠があったので、それでも一定方向に向かってはいたのだが…それもついさっき込められた霊力を使い果たし、消滅してしまった。

「くっ!こうしている間にも先生は…」

またもや想像の中で師匠を酷い目に合わせるピート。

大分焦っているのは分かるが、ひょっとして密かな願望だったりするのだろうか?

「はっ!?そっちですか?そっちなんですね先生!」

…どうやら、幻の師匠に道を教えてもらったらしく、突然走り出すピート。

心底唐巣の事を心配しているのだろう。

しかし…

「先生っ!待っていて下さい先生っ!!」

はたから見ると、やっぱり単なる危ない人にしか見えなかったりする。

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