ザ・グレート・展開予測ショー

世界はいつも流れて……(40)


投稿者名:リュート
投稿日時:(03/ 2/25)

「う〜……疲れたわ〜〜」
「ふう……なんとか、ピートを回収できましたね」 

 俺たちは一度雪女から撤退して、1時間後にまた雪女が現れた場所にやって来た。
 その頃には雪女はどっかに行ってたので、ロッジから持ってきたソリに凍りついたピートを乗せて回収した。ちなみにソリはインダラに引かせた。

「それにしても……あの雪女の力は予想以上でしたね」
「そうね〜〜アジラちゃんの火炎でもビクともしないんだもん〜〜」

 冥子ちゃんが困った顔で言う。
 文珠を使えば解決できるが……この頃除霊で使い過ぎて文珠のストックが心細いんだよな……まあ、今回は対処方もあることだし何とかなるでしょう。

「でも、雪女の力はだいたい分かりました。作戦も決まりましたので、道具が届くまで少し休みましょう!」

 俺はテーブルに置かれたリモコンでテレビの電源をつけた。

『3時でワイワイの時間です。本日は我が取材班がなんと雪女に単独インタビューしました。まずその模様をご覧ください!』
「「だああ……!!」」
「ほえ〜〜?」 

 俺とおキヌちゃんが派手にこけた。冥子ちゃんはキョトンとした顔だったが……
 何なんだよこのテレビ……

『え〜、雪女さん。連戦連勝だそうですが……』
『おほほほほ……私に勝てるGSなど、この世に存在するわけが無い。全国のGS達よ、私に挑戦してくるがいい!とりあえずこの二人は始末した!』

 画面に現れる、唐巣神父とピートの画像。
 どうでもいいが、どうやって用意したんだその画像……唐巣神父は薄くなった髪をセットしてる姿だし、ピートは修業中の姿……謎だ。

『もしこの私に勝つことが出来たなら、この雪女家に代々伝わる秘法、氷の涙をプレゼントしよう!』

 雪女は懐から透明な宝石を取り出す。

「あれは……GSの能力を100倍アップさせるという伝説のアイテム!?」

 前に見たオカルトアイテム大百科に書かれていた絵と同じだ。

「まあ〜〜綺麗〜〜♪」
「本当に綺麗ですね……」

 冥子ちゃんとおキヌちゃんが目を輝かせて言う。
 これだと全国のGS達が集まって来そうだな……となると当然あの人達も……



 厄珍堂。
「あれならGS達が集まってくるアルな。ボウズに頼まれたアレを持っていく予定あるから、ついでに在庫のアイテムを売る良いチャンスアル」
 
 小笠原エミGSオフィス。
「よくも、ピートをおぉぉ!!」

 とあるアパート。
「う〜ん、どうじゃマリア。あの宝石さえあれば家賃もどうにかなるぞ!」
「イエス、ドクター・カオス」



『燃える挑戦者を待ってるわ!おほほほほほ……!』

 雪女が言い終わると同時に画像が歪んでザザザーっとノイズが走る。

『あわわわわ……え〜……この後レポーターはカメラマン共々、氷漬けにされてしまいました。どうか全国のGSの皆さん、雪女を退治してください!!』

 アナウンサーが悲劇のヒロインみたいに瞳をキラキラさせて助けを求めていた。




 次の日の朝……

「溶けませんね……」

 おキヌちゃんは無駄だと知りつつも、お湯を凍りついてるピートや唐巣神父にかける。

「……ったく……遅いな……そろそろ厄珍が来るはずなのに……」

 本当は昨日の夜には頼んでいたやつが来るはずだったが、厄珍が少し用ができたから朝になると電話をかけてきた。
 ドドドドドッ……ガチャ!!
 俺が考え事をしていると……大勢の人達が走る音が聞こえ、どんどん大きくなり勢い良くドアが開いた。

「ぜえはあはあ……ピート!!」
「あれ〜〜エミさん〜〜?それに皆さんも〜〜」

 そうドアの前にはエミさんを始め、厄珍、カオス、マリアがいた。

「ピート!ピート!!しっかりしてピート!お願い早く戻って!!うううっ……ピート……」

 エミさんは俺達のことは眼中に無いらしく、一目散に凍りついたピートに抱きつく。

「まだ他のGS達来てないアルか?ふん〜……重かったアルよ……えいっと……よっこらしょ!」

 厄珍は大きな風呂敷を床に降ろす、その時何やらカイロみたいな物が出てきた。

「うん?何ですか?これ……」
「いつまでたっても暖かいまんまの『ヌクヌクカイロ』アルよ。これ一つで一冬安心ね。ボウズの依頼のついでに、大量に在庫が余ってるコレを雪女に挑むGS達に売りにきたアルよ。どうだいるアルか?」

 おキヌちゃんの質問に答える厄珍。
 なるほど、それで厄珍の奴遅くなったのか……

「ところで俺の頼んでたやつは何所にあるんだ?」
「表のトラックに置いてあるアル。でも取り扱いには充分注意するアルよ。」

 分かってるって、アレはちょっと危ないからな。

「それにしても……なんか随分大騒ぎになったな。あんた達も氷の涙目当てなのか?」
「い〜や!」

 カオスが1歩前に出る。
「金では無い!名誉の為に来たのじゃー!!……がはあああ!!」

 カオスがカッコつけてマントを翻すと、マントの中で破れてある部分をパンツで縫い塞いであったのを見てカオスは目玉を飛び出すほど驚いてこける。

「説得力の無い台詞……」
「クスッ……マリアさんが縫ったんですか?」

 おキヌちゃんが笑いながらマリアに聞く。

「イエス、ドクター・カオスの古いパン……」
「よけいな事は言わんでいい!!」

 おキヌちゃんの質問に答えようとするマリアをカオスがマントでマリアの顔を隠しながら言うが……ちょうどパンツが縫い付けてある場所がマリアの顔の部分で、パンツの開く場所に偶然マリアの両目が見える。

「ああ……ピート……あたしの愛の炎で溶かしてあげるわ」
「おいおい、そんなに揺すったりすると壊れちまうぞ!」

 エミさんが抱きつくとギシギシと音を立てるので、一応忠告しておく。

「あれ〜〜?令子ちゃんは〜〜令子ちゃんは何所なの〜〜?」
「そんなにキョロキョロしなくても居ないのは分かるじゃろうが」 

 そういえば、これだけの騒ぎになってるから来るはずなんだけど……

「どうせ、先走って何所かで氷漬けにになってるワケよ!」
「そんな〜〜」
「ま、まあ、あの人のことだから途中で温泉にでも寄って今頃は鍋でもつついて極楽極楽とでもいってるんだろうさ」

 俺は一応フォローしておく。
 だって冥子ちゃんが泣きそうだったからな、暴走はイヤだ。




 皆が集まって2時間後……
 全国から集まったGS達は雪女を倒すために出かけていった。
 それで、俺達は……

「きゃ〜〜きゃ〜〜きゃ〜〜♪あはは〜〜きゃ〜〜♪スキーって楽しい〜〜」

 スキーをやってました……
 しかも、冥子さん滑るの遅い……1m滑るのに1分もかかるのはどういうわけ?

「あの……冥子ちゃん……雪女を倒しに行かなくていいんですか?」
「大丈夫よ〜〜皆が倒してくれるわ〜〜」

 冥子ちゃん……せっかく道具を用意したのに、それは無いんじゃ……

「あっ!式神達が雪だるま作ってますよ!可愛い!私も手伝ってきますね」
「お、おキヌちゃんまで……もういいや……」

 俺は全てのことを忘れて、スキーに没頭することにした。



 ……で出かけていった全国のGS達は……

「フフフフフッ……見た所、雑魚ばかりのようね」
「くっ……」

 全国のGS達は、雪女を包囲していたが雪女の出す強力な気に押されて手を出せずにいる。

「さあさあ、いつまでも暖かい『ヌクヌクカイロ』いらんアルか?」

 その全国のGS達に厄珍がカイロを売っていた。

「じゃあ、そろそろ始めましょうか?」

 雪女はそう言うと空中に浮いてゆっくり上昇する。
 ヒュルルルル……
 そして、雪女の回りに恐ろしいほどの冷気が集まる。

「うふふふふ……おほほほほほ!!」

 ビュウウウウウウ!!!!!
 雪女の笑い声と共に、猛烈な吹雪がGS達に襲いかかる。

「「「「「うわあああああ!!!」」」」」
「わわわ、私、関係無いアルよ!!」
 
 立ち向かっていこうとした者や逃げようとした者も全て氷漬けになった……もちろん厄珍も氷漬けだ。



 その頃俺達は……

「あはははは〜〜きゃ〜〜きゃ〜〜あはは〜〜♪」
「俺のスピードに着いてこられるか!!」

 冥子ちゃんはゆっくりと俺は早いスピードで滑る。

「わあー!完成しましたね!」
 グヲオオオンンン!!

 おキヌちゃんと式神達はバサラの雪だるまを完成させた。
 うむ良く似てる、バサラも少し照れてるしな……

 ドコオオオオオオンンン!!ビュウウウウウ!!
 いきなり向こうの雪原に爆発音と共に冷気の柱が空に伸びた。

「ふにゅ〜?何かしら〜〜アレ〜〜?」
「多分、全国のGS達がまとめて片付けられたんだろうな……そろそろ行きませんか?こうしていても仕方ないし……」
 
 危ない危ない……遊びに熱中して目的を忘れる所だったよ……

「え〜〜!?でも〜〜もう少し滑りたいわ〜〜……」
「ピートを助けないとカニ鍋が食べられませんよ?それに帰ってくればいくらでも滑れますし……」

 俺が言うと冥子ちゃんは少し悩み……

「う〜〜カニ鍋〜〜分かったわ〜〜!行きましょう〜〜!」
「了解ッス!」

 俺は木の影に置いてあった、雪女を倒す為のある物を担ぐ。

「それじゃ、雪女討伐大作戦始めますか!」

 俺が勢い良く冥子ちゃん達の方を見ると……

「まあ〜〜その雪だるま可愛い〜〜♪」
「そうでしょう!バサラそっくりですよね」
 グワオオオオンン!!

 俺は、あまりの光景にその場に倒れてしまった。
 ああ……顔に当たる雪が冷たいな……

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