ザ・グレート・展開予測ショー

『約束』


投稿者名:NGK
投稿日時:(03/ 2/25)









―――もう十年も前のことだ。










































―――彼女と再会の約束をしたのは。




































―イギリス某地―
「ねぇ、西条君。あなたここ卒業したら何になるの?」
「か、神代先輩・・・その質問、何回目ですか・・・」
西条は深く溜息をついた。
やたら神代先輩から酒のニオイがする。
「ん?なんか文句でもあるの?きゃはははっは」
神代先輩は西条と同じ日本からの入学生でオカルトゼミの先輩でもあった。
同じ日本出身ということもあってか、やたらなれなれしい。
「つべこべ言わずに早くいいなさいっ!」
はぁ・・・・・・・。
「オカルトGメンになることです」
「んっ?そうか、よしよし」
神代は西条の頭をなでた。
「・・・神代先輩、僕、もう18ですけど・・・」
酔っ払いに何を言っても無駄だと思いながらもポツリと言った。
「まぁまぁ、かわいいものなら何歳でもなでなでするのよ。私は」
「とにかく、これで終わりにしましょう」
西条は神代からグラスを取り上げると勘定ーと店員に言った。



「私・・・さ。才能ないのよ。今日も除霊しっぱいしちゃったし。」
夜の街で神代は ポツリ と言った。
「だから、西条君みたいにきちんと将来の目標立てられるひとがうらやましくてね」
西条は黙って聞いている。
「まぁ、なんとか卒業できそうだからいいけど・・・日本に帰ったとき、親になんて言われるか分からないもの」
「・・・・・・」
「だから、今日、めいわく、かけちゃってごめんね」
「・・・神代先輩、親だとかで言い訳にしてませんか」
「え・・・?」
「あ・・・えっと、つまり、神代先輩が、霊能師になるのが嫌だったら他の仕事をやるとか・・・別になにもそこまで」
西条がしどろもどろになっていると神代は、クスっ と笑った。
「それもそうね。ちょっと私、如何にかしてたわ」
そして西条の背中を バンッ と叩く。
「私は私なりのペースでやっていくわ・・・ありがと」
「べ、べつに僕はなにも・・・」
「それもそうね」
「・・・・・・」
「ま、それより・・・さ」
「はい?」
神代は真っ直ぐ西条の目を見る。
「十年後にあいましょうよ。場所は・・・まぁ卒業までに考えて置くわ」
今よりも綺麗になった自分を見てもらいたいから。―――とは口に出さずに神代は言った。








































―――それから十年、今日が約束の日である。








































―日本某地―
「西条君・・・覚えてくれてたんだ・・・」
「そりゃあ・・・もちろんですよ」
「・・・うそね。ホントにわかりやす・・・」
「・・・・・・」
「まったく、ホント情けない話よね。ちょーっと油断しちゃうなんてさ」

ふっ と神代は笑った。

「それで気がついたら、アットいう間だもの。驚いたわ」
「・・・神代先輩・・・やっぱり・・・無理ですか?」
「・・・そうね。自分で何度か試したけどダメだったわ。・・・・・・なんでかな?」

はははははは と笑う。

「ホントは西条君に会えたらそれで大丈夫と思っていたんだけどね・・・ダメだったわ。」
「神代先輩・・・」
「だから・・・さ。どうせだったら西条君が祓ってよ。他の人がくる前に・・・さ。」
「・・・僕の知り合いに、幽霊だけど普通に生活している子がいるんです。先輩も・・・」

ふぅ 

「ちょっと難しいわね。なんかどんどん自分が狂っていくのがわかるもの。自分が自分じゃなくなるっていうの?そういう感じ」
「・・・・・・・・・」
「もう、怖いのよ、今、こうして、話していても。今まで自分が当たり前のように祓ってきた霊に自分がなっていくのがっ!」
神代は西条に胸を預けようとして・・・やめた。
「・・・わかりました」
西条は、ゆっくりと霊剣を抜く。



そして一瞬で全てを―――薙ぎ払った。












































―――西条はこの一件を報告書に記してはいない。









































―――――――――完―――――――――

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