ザ・グレート・展開予測ショー

黒絹のポエム


投稿者名:ユタ
投稿日時:(03/ 2/25)





え〜と、この作品ではあるキャラ(バレバレ)が黒キャラ化してるんで、読む方は気をつけて下さい(汗)


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この世には常に反する二つのものが存在する。
光と闇、陰と陽、表と裏・・・それは人間にも当てはまる。
どんな人間にも二面性があり、普段は見せない部分というものがある・・・

そう、心優しい彼女にも・・・・・・・・・・・・・・










「あ、予備の神通棍忘れちゃったわね・・・横島クン、上まで行ってとって来て」

「あ、わっかりました〜」

ここは美神除霊事務所ガレージ。
すでに準備万端、出発というところで忘れ物を思い出し美神は横島に声をかけた。
横島はよっと車を降りようとするが、

「あ、私が取りにいきましょうか?」

と後部座席から立ち上がったおキヌに声をかけられる。
しかし、それを横島が手で制した。

「大丈夫、大丈夫。俺がさっさと行ってくるよ」

そう言って横島は車を降りちゃっちゃっと階段を上っていった。










(にしても、おキヌちゃんていい子だよな〜、いろんな意味で)

横島はさっきの事を思い出し笑みを浮かべた。
ほんの些細なこと、ちょっとしたこと・・・そういうところにおキヌは凄く気が利く。
それは優しいという一言では片付けられてしまうものではなく、何か心が安らぐ雰囲気を彼女が持っているからだろうか・・・

そんなことを考えながら兵器・・・もとい、道具保管庫から神通棍を取り出し、ガレージに戻ろうとする横島・・・しかし、

「ん?なんだこりゃ・・・」

横島の目に付いたもの・・・
それはテーブルの上に置かれている一冊のノート・・・・・そして、タイトルにはこう書かれている・・・


『詩集』


と。手書きで・・・
つまりそれは誰かの自作なのだろう。
そして、横島は誰のものかと推理する・・・・・・・・というか一人しかいないし、実際書いてるところも見たことある。

「おキヌちゃんのか・・・」

その詩集の主の名を呟きながら、それを手に取る。
そして・・・葛藤・・・


(読みたい・・・読みたいがこれはおキヌちゃんのプライバシーを侵害するのでは!?
いや、しかし人には「知る権利」というものがあるし!
だが、いいのだろうか・・・これは乙女の純情を踏みにじる行為では!!?
でも、俺はおキヌちゃんの仕事仲間だし少しくらい読んでもいいのでは?
それに俺の部屋掃除するとおキヌちゃんって勝手にエロ本捨ててるし・・・まぁ、おあいこ・・・・っていうことで♪)


自分勝手な解釈をつけ、ついにそのノート(詩集)を開く横島。


「多分、おキヌちゃんのことだから恋愛系ポエムだろうな」

以前学校の女子同級生少しに見せてもらった自作ポエム思い出す横島。
女子高生と言えば、年頃ということもあって何かと恋や愛に興味があり自然とそれに関することを書き溜めてしまう。
おキヌのポエムもそんなもんだろうと目を通す・・・・・・・・























『闇・・・
 暗い・・・
 この世に光なんてない あるのは絶望と失望・・
 この世は敵に満ちている あるのは暗い暗い暗い闇
 今日もこの星は死で溢れている あるのは死、死、死・・・
 それも気付かず日々を人々は過ごしている

 ・・・滅びを待ちながら・・・』


























パタン・・・


横島は詩集を静かに閉じた・・・そして大量の冷や汗をかきながら一言呟いた。

「ダークネス・・・・・・・」

憔悴しきった表情でそれを机の上に置く。

「み、見なかったことにしよう・・・・・・・・・・・・・」

横島が流れえる汗を袖でふき取りながら振り返ると・・・・・・・・・・・・・・・・そこには・・・・・・・・

「なっ!」




ゴム鉄砲(Y字の形でパチンコ玉とか飛ばす道具)のゴムを力の限りひぱったおキヌがいた。
しかもめっちゃ笑顔!




「い、いや!こ、これは違うんだ!!?」

横島はあたふたと言い訳をしてみる・・・そして、そんな横島を見ておキヌはニッコリと微笑むが、


パシュっ!


「え!?ぎやあぁぁぁぁっ!!」

パチンコ玉・・・・・・・・・いや、文珠が発動し横島が悲鳴をあげる。
文珠に込められた文字は


『忘』。


そして、おキヌは文珠の効果が発動し呆〜としている間にサっと詩集を回収する。

5秒後・・・



「・・・・あ、あれ、俺どうしたんだ?・・・え、おキヌちゃん?」

「もう、遅いから心配して迎えに来ちゃいました(ニッコリ)」

「あ、ああそうか・・・・・・ご、ごめん。今、行く」

そう言って歩こうとする横島。
だが、文珠を食らった直後の後遺症だろうかその場でフラっと立ちくらみを起こす。


「だ、大丈夫ですか!さ・・・私の肩につかまって下さい」

おキヌはやさしい笑顔を浮かべ横島の腕を自分の肩にまわした。

「あ、ありがと・・・・・・・」

おキヌの笑顔に横島も笑顔で返す・・・・・・ ・・・・・ ・・・ことは出来なかった。
いつもならおキヌの笑顔で温かい気持ちになれるのだが、今回はなぜか背中にゾクリと戦慄が走った。

「どうかしたんですか?」

「い、いや、何でもない。・・・・・・・ただ、さっき凄いものを見たような気が・・・」

「きっと気のせいですよ(ニッコリ)」

「そ、そうだよな・・・・さ、早く行こうか」

二人は傍目から見れば仲のいい恋人の寄り添いながらガレージへと戻った。
















横島は知らない・・・・・・・

肩を貸しながら歩くおキヌが小さな声で

「危なかった・・・・・」と呟いたのを

そして・・・・・・・・・・・前髪で陰る瞳がキラリと輝き、口が『ニヤリ』と歪んだのを・・・・













・・・・・・・・・・黒絹という存在を垣間見たことを・・・・・・


                                  完

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