ザ・グレート・展開予測ショー

失われたドクロ(8)


投稿者名:MAGIふぁ
投稿日時:(03/ 2/23)



これは主にとある師弟のお話である。



ピートの事は置いておいて、横島とシロを追いかける事にした美神とおキヌとタマモ。

回転する壁の向こうには下り坂があり、その向こうには………何も無かった。

ひゅ〜〜…

下の方から吹いてきた風が通り過ぎる。

美神達の目の前には、大きな大きな崖が広がっていた。

暗がりの中、明かりが届く範囲では崖の向こう側も底も見えない。

「ねぇ…あんまり考えたくないけど…横島って…」

「い、いやぁぁ〜〜〜!!横島さはぁ〜〜ん!!」

タマモが暗に横島がこの崖にダイブしたんじゃないかと言い、おキヌが崖に向かって叫ぶ。

勢い余って崖から飛び出しかねないほど身を乗り出すおキヌを美神が止めた。

「落ち着きなさい!横島君には文珠があるでしょ!いざとなったら飛べるわよ!」

「そ…そうですよね!横島さんが死ぬわけ無いですもんね!」

あっさり落ち着くおキヌ。しかし

「で、シロは?」

というタマモの一言で顔色が青くなる。

「シロ?いるならさっさと出てきなさ〜い!」

「シロちゃ〜〜〜ん?」



シーーーン



美神とおキヌの呼びかけに答えは無かった。

思わず、崖下の方を見てしまう3人。

「………………まさかとは思うけど…」

「…………やっぱり…」

「…飛び込んだわね、あのバカイヌ」



………………………



その場に何とも言えない気まずさが漂う。

この空気から最初に立ち直ったのは美神だった。

「タマモ、おキヌちゃん。取り合えずこの辺りを調べるわよ」

「あ……はい」

「…そうね」

そして20分後、彼女達は崖下へと続く階段を見つける事になる。



一方、横島とシロは…



「のわぁぁぁ〜〜……」

「せんせ〜〜!」

いつも通りに背中に背負ている大きな荷物のせいで、一旦勢いが付いたら止まらなくなってしまい、ひたすら転がり落ちる横島。

人狼の視力と脚力で、闇の中にかろうじて見える横島を追いかけるシロ。

「くっ!」

シロは横島の転がっていく先が何も見えなくなっている事に気が付き、嫌な予感を感じた。

先が見えなくなっているのは崖になっているせいなのだが、シロにはそこまでは分からない。

ただ、直感に従って横島に走り寄る。

あの暗くなっている所に先生が行ってしまうまでに、と今まで以上の全力を出して。

「のぉぉ〜〜〜!」

横島もいつまでも転がり続けているのはヤバいと感じて、栄光の手を発動。床に爪を立てて回転のスピードを落とす。

ガッ! ギャリッ ギャリッ! ガリリィーーー!!

一回転する度に爪を引っ掛け、転がり落ちる勢いは段々落ちて行った。

「止まれーー!!」

何やらイヤな予感がした横島は、栄光の手に全力で霊力を注ぎ込み、ストップをかける。

そして彼は、崖のほんの少し手前で止まる事が出来た。

「はぁ…はぁ……ふぃ〜〜…止まったか…」

だが、安心するのは早かった。

彼とは逆に、止まる事など全然考えていなかった彼の弟子が、彼目掛けて突っ込んで来ていたからである。

「せんせえ〜〜!!」

グシャッ☆

そしてその弟子はそのままの勢いで彼に体当たりを敢行。

そして当然、2人は…

「こっ…このバカイヌ〜〜〜〜〜〜〜〜……」

「狼でござるよぉ〜〜〜〜〜〜〜〜〜……」

仲良く、崖下に落ちて行った。

お約束に忠実な師弟である。



しかし、そのまま底まで落ちては流石にお約束では済まない。

いくらギャグでも死んでしまう。

横島はシロを抱きしめ、困った時の万能アイテム文珠を作り出して発動する。

文字は…“浮”

落下スピードが見る見る落ちて行き、そのままゆっくりと底に向かって降りていく。

文珠に込める文字は“飛”でも良かったのだが、暗闇の中何も見えずに飛び回るのは危険だと横島は判断したのだ。

「ちっ…何も見えねーから上下の感覚がおかしい…シロは分かるか?」

「ゆっくり下に向かっているでござるが…皆の所に向かわないでいいのでござるか?」

「しゃーねーだろ。飛んで行っても、その内どっちが上だか分かんなくなりそうだし……シロ?」

横島は、ぎゅっと抱きついてきたシロに問い掛けた。

「先生…申し訳ござらん…拙者が考え無しだったせいで…」

確かにその通りだ。しかし横島は何だかんだ言ってシロには甘い。

自分に抱きつき、胸に顔を埋めて謝るシロに追い討ちを掛けられるわけがなかった。

「ホントに気を付けろよ?そのうちお前が怪我しちまうかも知れねーからな…」

そう言いつつ、苦笑してシロの頭を撫でる横島。

「拙者の心配を…してくれてるのでござるか?」

「ん?…まぁな」

さっきまで叱られていた子供のように上目遣いでそう聞くシロ。

横島は照れつつも否定するのもおかしいか、と肯定した。

「せんせぇ〜♪」

「うわっよせっ!今は危ないだろ〜!ってうわっ!?」

シロは感激して、いつものように横島の顔を舐め回す。

集中を乱したせいで、やや落下速度が速まりビビる横島。

やはり、お約束に忠実な師弟であった。



その頃



「「「はっ!?」」」

「ねぇ…何か今、ムカつかなかった?」

「そうですね…」

「…(何かしたわね、バカイヌ…)」

「…急いで隠し通路か、抜け道探すわよっ!?」

「はいっ」

「うん!」



という会話をした3人の女性がいたとか、いなかったとか。



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