ザ・グレート・展開予測ショー

語ろう会 ―5後半― (完結)


投稿者名:KAZ23
投稿日時:(03/ 2/23)

<前半からの続き>


はっ?!あまりの事に真っ白になってしまった!

「ってか、小竜・・・」
「アラ、いい考えね♪そうしたら良いんじゃないかしら?」
「はいっ?!」

俺が小竜姫様に言いかけた瞬間、事務所に隊長・・・もとい、美智恵さんが入ってきて嬉しそうにそんな事を言う。

「ちょ!?ママッ?!」
「あのっ!なんでそんなっ!?」

今度は俺が対応するより早く、美神さんとおキヌちゃんが美智恵さんに文句を言おうと声を上げた。
小竜姫様、美智恵さん・・・貴女達、とんでもない事言ってるって気が付いていますか?
ってか、常識無いっすよ?!
なんでそんな事が考え付くんすか!?
いや、確かにハーレムは男の夢ではあるんだが・・・それでも政府に頼むってアンタら、いったい法律をなんだと思っとるんですかーーっ!!?

「だってホラ?横島君だって、どっちも好きだから困っているんでしょう?でもって、特に最近はどんどん選べなくなって来てるでしょ?」

うっ!

「令子とおキヌちゃんだって、どちらかが選ばれたとしてもその後で気まずいんじゃない?」
「そ、それは・・・」
「まぁ・・・」

ああ!?待って!駄目です!こんな言葉に惑わされちゃ駄目っすよ!?
よく考えて下さい!こんな話なんて何処にでも転がってますって!
それでもどちらかを選ぶのが、人としての最低のモラルというか・・・

「2人とも、お互いの事だって嫌いじゃないでしょう?どうかしら?これで万事うまく治まると思わない?横島君だったら2人とも平等に愛してくれるだろうし。」
「ん・・・・・・」
「え・・・と・・・・・・」

美神さんとおキヌちゃんは、ジッと考え込んでしまった。タップリと数分間・・・
いや、そもそもこれを考えるっていう事自体が、おかしい話だと思わんか2人とも?
そしてようやく顔を上げて、お互いの感情を確認しあうように視線を交差させる。
な・・・何?この流れって?
そして今度は俺のほうを見て来た。
ちょっと待って・・・

「え・・・なに、2人とも?」
「ほら、後は横島君しだいなんじゃないかしら?」

―― えっ? ――

「えっ?」
「・・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・」

全員の視線が俺に集まる。
これってつまり、俺に決断しろって事?
美神さんとおキヌちゃんはそれで良いの?
ってか、これは夢か?

―― ギュッ ――

「・・・・・・・・・夢じゃない。」

じゃあやっぱり本当なのか?
そっかぁ・・・両方と結婚すれば良いのかぁ♪
はっはっはっ!そいつは盲点だったなぁ♪

「んな、アホなーーーーーっっ!!!?」

・・・・・・・・・・・・










「・・・・・・後はもう、トントン拍子で話が進んでな?俺は両腕に花嫁さんを引き連れてバージンロードを歩く羽目になった訳よ。」

横島がなんとも言えない表情で話を終えると、その場にいる全員がやっぱりこれもなんとも言えない表情になっていた。

「ま、結局の所こうなって良かったと思うよ。あの後の西条の表情も最高だったしな。ククク・・・」
「ああ、それであの時・・・『馬鹿な!こんな筈では・・・』なんて言ってたのはそういう事情も含んでいたですね。ハハハ・・・」

上司の隠された過去を聞かされて、ピートは乾いた笑いを浮かべる。

「そしたら、シロとタマモも結婚しろって言ってきてなぁ・・・こっちも擦ったもんだの挙句結婚ししまう事になって・・・」
「その辺の話を聞くと、やっぱりお前が悪いと思いたくなるな。」
「同感ですじゃー・・・」

雪乃丞とタイガーはやはりそう言う。
ま、確かにそれも否定できない事実だろう。

「ちぇ・・・ま、俺の方は良いよ。それで俺たちが結婚した後で、西条の奴しばらく寝込んだろ?」
「ハハハ・・・1月くらいは酷かったですねぇ?」
「だな。ありゃあ惨めなもんだった。」

ついに結婚式を行った3人。
それから1月もの間、西条は廃人のようにボロボロになっていた。

「あいつがその後で何をしたか知ってるか?」
「えっ?」
「何かしたんか?」

横島は真面目な表情になり、声を潜めて言う。自然に全員の表情も真面目になった。

「流石にこれを話すのは、俺も気が咎めたんだがな・・・さっきのピートの話で、あいつに情けは無用だと分かったよ。あいつはその後で・・・」

・・・・・・・・・・・・










「えーーっ!?」
「本当なの魔鈴?」

こちらは魔法料理『魔鈴』の中。既に営業時間も終わりを告げた時間。
そこは勿論、魔鈴めぐみのお店。
そしてテーブル席では、4人の女性が恋の話に華を咲かせていた。

「ええ、本当なんですよ。」
「そんな事があったんですか?西条さんて・・・」

メンバーは、店主である魔鈴めぐみと・・・

「驚きでござる〜・・・」
「ねぇ?普段はあんなに・・・」

そしてシロとタマモと・・・

「ちょっと嫌ですね。そういうのって・・・」

お腹の大きな妊婦さん。
名前は横島小鳩という。
つまりは奴の嫁さんだ。
ヤレヤレ・・・

「私もあの時は・・・」

そしてこのメンバーを驚かせたのは、魔鈴のした昔話だった。

「それで?」
「ええ、西条先輩にプロポーズされたんです。『僕と結婚してくれないか?』って。でも、断りましたよ、当然。」

紅茶を含みながら、淡々と昔を語る魔鈴。

「だってねぇ?私自身が西条先輩の事をそういう対象として見てなかったって事も有りましたし・・・なによりあの時の西条さんて、明らかに美神さんに未練タラタラだったんですもの。それで多分ですけど、ソレを断ち切る為に私にプロポーズしたんじゃ無いかと思うんですよね〜・・・」
「ぬぬぬ・・・ちと酷い話でござるな。」
「西条サイテー・・・」
「本当です。」

女性陣の西条への評価が格段に下がった。

「でも、魔鈴って結婚しないの?」
「え?私ですか?」

タマモが魔鈴にそんな話を振った。この中で一番年上なのが魔鈴だが、未婚なのも魔鈴だけである。

「ん〜・・・なかなか良い人って居ないんですよね〜」
「勿体無いですね。魔鈴さんてこんなに綺麗な人なのに・・・」

小鳩が言う。

「フフフ、有難うございます。でもまぁ、私は魔女ですから。」
「別に魔女でも良いと思うのでござるがなぁ?」
「アレじゃないの?インテリアの趣味。あれはちょっとね・・・」

シロが首を傾げると、タマモが人差し指を立てて言った。

「えっ?アレってそんなに変ですか?」
「ア、アハハハ・・・」

すると、魔鈴は意外そうに小首をかしげる。残りの3人は乾いた笑いを浮かべた。

「まぁ、魔女の命は長いんです。そのうちいい人見つけますよ。私が魔女でも構わない人。」

魔鈴は苦笑しつつそう答えた。
ちなみに、魔鈴の姿は15年前と全く変わっていない。魔女の秘法にはそういう術もあるということだ。

「魔女でも構わない人・・・ね。」
「ふむ・・・」
「ん〜・・・」

その時、4人の頭の中には同じ人物が浮かんだのだったが・・・
まさかな、と思って誰も口には出さなかった。
本当に『まさか』なのかはまだ決まっていない。

・・・・・・・・・・・・










「よしっ!これから西条探しに行こう!ひとこと言ったる!」
「えっ?横島さん?」

横島がそんな宣言をして立ち上がった。

「よっしゃ!アイツもこの辺の繁華街にいる事多いからな。探せばその辺にいるんじゃねぇか?」
「また、若い女性と一緒ですかいのー?」

雪乃丞とタイガーが賛同して立ち上がる。

「そんな上手く見つかるかいな?ま、酔い覚ましに歩く分にはええやろ。」
「ははは・・・みんなもしょうが無いなぁ・・・」

ヤレヤレと言った感じで六道とピートも立ち上がった。

「が、その前に・・・アレやるぞ?」
「おおっ!今日は負けねーぜ?」
「そういえば、最近は横島さんが負けてませんのー?」

全員が視線を交わし、呼吸を整えてアクションを起こす。

『最初はグー!じゃんけんポン!!』

・・・・・・・・・・・・

「お会計、消費税込みまして8万と2560円になります。」
「あ、じゃあハイ。」

横島は財布から9万円を取り出してレジのお姉ちゃんに渡した。
その後ろでは残りの4人がニヤニヤと笑っている。

「ククク、横島ぁ〜・・・」
「どうもご馳走様。」
「ゴチになりやす・・・ですの〜♪」
「おおきにやね。」

じゃんけんに負けた横島は、全員分の払いを引き受ける羽目になった。で、これはこいつらの間ではいつもの恒例行事だったりする。

「先に出てるぞ〜・・・」
「おおっ!」

雪乃丞たちは横島を残して店の外へと出て行く。

「お釣り、まずは大きいほう7千円と・・・」
「ああっ!?西条っ!!」

すると、外から雪乃丞の声が届く。

「何っ!?西条がいたのかっ!!?」
「わっ?!あの?」
「ああ、すいません。」

横島の声にお姉ちゃんがビックリして・・・

「きっ、君たちっ!何故こんな所にっ?!」
「それではこちら、細かいほうが440円です。お確かめ下さい。」
「どうも・・・オイッ!西条の奴、やっぱり女連れかっ!!?」

お釣りを受け取りつつ、横島は外に声を掛ける。

「なっ?!この声は横島君っ!?アイツもいるのか!」
「オオッ!しかも今日はなんか一杯つれてるぜっ?」
「アレ?君たちは確かGメンの受付の・・・」

どうやら西条は今日も・・・

「こら、西条指令殿と一緒に飲みなおしせなあかんね?」
「まったくですのー・・・」
「待てっ!?君たち何を・・・」
「くっくっく!西条〜・・・今日はお前に話が有る〜♪」

そこで外に出てきた横島も加わって・・・

「なんでこうなるっ!?」

どうやら彼は今日もツイてないようだった。
旦那衆は新たなメンバーを引き連れて、2次会へと向かう。
ひとまず午前様は決定的かな?
約1名を除き、再び楽しく飲みつづけたのだった。


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