ザ・グレート・展開予測ショー

失われたドクロ(7)


投稿者名:MAGIふぁ
投稿日時:(03/ 2/22)



これは遺跡の中で暴走する半吸血鬼のお話である。



僕は持たされた懐中電灯を片手に、先頭に立って遺跡を進んでいる。

さっきから美神さんが後ろでこの遺跡についてレクチャーをしているようだ。

僕は聞くとは無しに聞いていた。

「この辺りにあったマヤ文明の遺跡は高度な石の加工技術と建築技術で造られているの」

へぇ…この遺跡ってマヤ文明のものなんだ…

「マヤには生贄の風習があってね。神様に心臓を捧げる儀式とかを頻繁に行っていたらしいわ」

生贄…心臓を捧げる?野蛮な邪教じゃないか!だとすると……先生が危ない!?

「「………………はっ!?先生!!」」

誰かと声がカブッた気がするが、そんな事を気にしている場合じゃない。一刻も早く先生の下へ行かないと!

僕は一目散に駆け出した!



走り出して30秒後、落とし穴に嵌りかけたが、問題無い。本格的に加速度が付いて落下する前に空中に浮く。

穴から脱出して、そのまま飛んで空中を進む。これでトラップには引っかからないはず。

飛び続けて10分後。通路の先には壁しか無かった。

…行き止まり?何かを見落としたのか?

懐中電灯を消して、あたりを注意深く見回す。

何の光源も無くなった通路は闇に覆われるけど、夜を見通すヴァンパイアの目には半端な明かりの中より良く見える。

だが、壁には何も不自然な所は……あった。左手の奥の壁の上の方…そこだけ壁の石が他のよりも小さい石の組み合わせで出来てる。

少しだけ迷ったけど、今は急がなければならない。すぐにその部分の石を押す。

ゴゴッ……ゴッ……

何百年、ひょっとしたら千年以上動いていなかったかも知れない仕掛けが重い音を立て、壁の向こうで何かが動いていく。

そして、振動と共にパラパラと天井から細かい欠片が落ちてきて…『天井』が動いた。

……てっきり壁が動いて通路か隠し部屋が出てくると思ったのに……

まぁ、進むことには変わりが無い。僕は天井が開いて出来た道に飛んだ。

飛び込んだ先の通路は、滑らかなカーブを繰り返す一本道だった。

先に進むにつれて何となく湿度が高くなってきて、服が肌に張り付いて気持ち悪い。

でも、そんな事を気にしている場合じゃない。早く先生の所に行かないと…



「くっ…やめろ、やめてくれー!」

怪しげな祭壇の上に縛り付けられ、今にも心臓を取り出すために刀で胸を切られそうな唐巣。

だが、その眼光に怯えは無く、まだ理性の光が灯っている。

「生贄を要求する邪な神などに仕えるのはやめるんだ!今すぐ父なる神の名の元に改心したまえ!」

自分の命が危ないというのに、自分の心臓を取り出そうとする神官達に説教をする唐巣。

しかし、当然ながら奇妙な仮面を被り、体中にピアスをぶら下げた神官達は聞き入れない。

淡々と儀式と祈りを続け、ついに唐巣に向かって刀を振り下ろした!

「ぐわぁぁ〜!!!ピート〜!」



「先生っ!!今すぐ行きます!」

僕はまだ終わりの見えない通路を全力で飛び、駆け抜けた!





心配のあまり、想像の中で師匠を殺してしまった弟子は突っ走る。

ただひたすらに突っ走る。

ただ、具体的にどこを目指して走っているのか…彼自身も認識してはいなかった。

そして、彼が辿り着いた先は……





何だ?ここは…

通路の先、30uくらいの部屋の中央には…滝があった。

部屋の壁をぐるりと見渡したけど、何の仕掛けも見当たらない。

行き止まり…?

いや、また天井かも?

………だめだ、天井にも何も無い。

…なら、床か?……何も無い…

「くそっ!」

僕は苛立ち、八つ当たりに床を蹴り付けた。



グワンッ!ワァンッ…ワァン……ワン…



意外に薄い…それに、この反響の仕方は…床下全体が空洞になっている?

ついでに叩いてみた天井の方もそれは同じらしい。

この部屋を貫いている滝を見つめて、しばし考える。

この滝に飛び込めば、この先に行ける。上に行くか?それとも下に行くか?

僕は“探”文珠入りのカプセルを取り出した。



今までの コメント:
[ 戻る ]
管理運営:GTY+管理人
Original GTY System Copyright(c)T.Fukazawa