ザ・グレート・展開予測ショー

橋姫伝説 その4


投稿者名:弥三郎
投稿日時:(03/ 2/21)

かなり政治的な問題が絡まってきます。難解な用語もあります。
あまり無理して読まなくてもいいです。

ある時期、GS協会は2つに分裂していた時期があった。
昔から一貫してGS協会の正式名称は「日本ゴーストスイーパー協会」という単純な名前である。
しかし、もうひとつの会派は「日本ゴーストスイーパー自主連合評議会」という名前であった。
時は冷戦時代。イデオロギーが衝突する中、いわゆる左翼系が打ち立てたのが「評議会」というわけだ。
マルクス主義にかぶれたGSメンバー達が作り出したのであるが、最初から内部抗争で明け暮れすぐに組織は弱体化。
事態収拾ができたときには手遅れで社会に影響力を行使することは難しかった。
そして軽井沢で起きた連合赤軍派による立てこもり事件「あさま山荘事件」において赤軍派を支持したことにより
一切の支持を失った。以後、影響力を持とうと武装闘争に走ったメンバーが出てしまったために警察公安部に
目を付けられてしまい1981年、皇居を襲撃しようとしてメンバー全員が逮捕されるまで「評議会」は存在していた。
あまり社会に知られていないが、これらの一連の事件をGS評議会事件という。
活動地域と主な被害地は京都である。


「もしかして評議会メンバーが復活したのかしら?」
「う〜む、あがなち有り得そうな話ではあるが、メンバーは全員黒羽オカルト刑務所に収監されているがね。」
「評議会シンパ、あるいは潜りかもしれないわ。とにかく人間のほうはこの線で捜査して行くのがいいでしょう。
 問題は天皇家出身の怨霊だわ。私が思うにたぶん大友親王ではと思っているのよ。」


大友親王。
飛鳥時代、中大兄皇子と大海人皇子の二人が大化の改新を成功させて天皇中心の政治システムを作り上げ
ていたのだが、中大兄皇子(天智天皇)の後継者問題で最初は大海人皇子が皇太子だったのだが天智天皇が
息子である大友親王をかわいがるようになり、混乱を避けるため大海人皇子は僧侶となって吉野の山に引退
を宣言して引きこもった。
天智天皇崩御の後、大友親王は大海人皇子を恐れていたため、吉野方面を封鎖。
身の危険を感じた大海人皇子は吉野を脱出して兵を挙げた。これが壬申の乱である。
戦いは終始大海人皇子側が優勢で、あっという間に権力中枢を掌握。大友皇子は敗れ死んだとされている。
ただ、遺体は見つかっていない。


「崇徳上皇も考えたのか?」
「ええ、考えましたけど、明治の初めに大きな鎮魂祭を行っているので怨霊は神に転じているはずよ。」
「ただ、大友親王は」
「していない。」

唐巣神父はそこまで聞くと大きく溜息をついた。

「参ったなぁ。怨霊になってから1300年以上も経っているから相当力が強いはずだな。」
「そうね、いくら弘文天皇という贈名をもらったとしても、鎮魂を行っていないから霊が静まるわけないのに。」

実は江戸時代後期に大友親王は弘文天皇という贈名をもらっている。ただ、皇室の慢性的な資金難により
鎮魂は行っていない。

「おおよそこの線で捜査させます。」
「うむ、それから政府にこの事を伝えたほうがいいでしょう。」
「そうね、秘書にやらせるわ。」

これで2人の会議は終了した。


一方、横島たちは辻本が持ってきたモデル銃で遊んでいた。

「どうした、辻本!射撃が上手いんじゃなかったのか?」
「あんたね、そんな風にちょろまかと逃げられちゃ当たるもんも当たんないわ!!」
「ふふふ、『サバイバルゲームのただちゃん』と呼ばれていた俺をなめるでない!!」

どうして初日は驚くほど正確に弾が当たったのだろうと不思議に思う辻本であった。
そのとき横島が床にこけた。

「チャンス!!」

床に倒れている横島にめがけてフルオートで弾を連射する。
しかし、横島は横に転がって弾を避けていく。そしてあっという間に立ち上がってしまった。

「何、あなたはジェームズ・ボンド?!」

横島がイギリスのMI6所属のスパイさながらの立ち回りを見せたため、辻本は思わず突っ込む。

「ふふふ、丹波哲郎も顔負けさ。」
「なにをかっこつけてるんだ君は。」

そういう声が聞こえたかと思うと今度は実弾が6発飛んで来た。

「どわぁ!!西条!!貴様俺が死んだらどうするんだ!!」
「君なら避けられると思って撃っただけだが?」
「うそつけ!実際に狙って撃っただろ!!」

そこまで横島が言ったときMG43機関銃の重い発射音が聞こえ、全弾西条に命中した。
西条は眼を白眼にして仰向けに倒れる。

「西条さん、ヨコシマに何てことするのかしら?」

声の主はルシオラである。顔は笑っているが眼が据わっている。
止めをさすつもりなのか手にはウージーが握られている。

「うふふふ、これは実弾なのよ。さあぁて、すぐにあの世に行かせてあげますわ。」
「わールシオラ、やめろーー!!」

残酷な笑みを浮かべつつ西条に止めをさそうとしていたルシオラを横島たちは必死で抑えたのでした。


「まったくひどいめにあったよ。」

西条はそうぼやく。

「で、西条。何の用でこっちに来たんだ?」

横島が尋ねる。

「ああ、そのことなんだが、修学旅行の最中に京都の結界が破れるかもしれないという話があってね。
 ほかの生徒達には帰ってもらうことにした。」
「え、私もですか?」

そこで辻本が聞く。

「もちろんそうなる。ただ、少しは協力してもらう。このモデル銃でね。」
「へ?」
「生徒達が京都を離れるまでこの銃で生徒達を守ってほしいんだ。」

原理はこうである。
銃とBB弾を清めた後、破邪の力を持つように念をかける。その後、銃に破邪の札を貼って力が持続するように加工するのだ。

「しかし、それでは悪霊を追い払うのにいささか力不足ですよ。」
「ああ、ピート君、それはわかってる。強化するために文殊の力を借りようと思ったのだが。大丈夫かね、横島君?」
「いいんですが、文殊の数が足りない……」

そこまで横島が言うとみんなはルシオラのほうを向いた。

「な、なによ。」
「ということだ。ルシオラー!!今夜は一緒の布団でっ!!」
「なんて事言うのよ!!だ、抱きつかないでみんなが見ているのに…、もう、いい加減にしなさい!!」

ルシオラは顔を真っ赤にさせて横島を撃沈させる。気絶した横島の手から文殊が5,6個転がり落ちてくる。

「さすがは横島君だな……」

一応十分量の文殊は確保できた西条であったが、呆然とするほかなかったそうだ。

今までの コメント:
[ 戻る ]
管理運営:GTY+管理人
Original GTY System Copyright(c)T.Fukazawa