ザ・グレート・展開予測ショー

我輩達は猫ではない。狐に狼に元幽霊に機械である。


投稿者名:トンプソン
投稿日時:(03/ 2/20)

「し〜ろにゃんv」
猫の語尾をつければ犬・・・もとい狼のシロは烈火の如く怒り出すかと思えば。
「にゃに〜、た〜まにゃんv」
ときたもんだ。
何の事は無い。
この時期、確定申告で書類につきっきりの美神令子に加え、テスト期間とくれば、暇なのである。
せめて学校でもいっていれば違うのであろう。
お化けは学校も試験もなんにもない!という状況、楽しいものではないのであろうか。
「まったく、ヘンな遊びがはやってるわねぇ」
だが、
「喧嘩してないから、楽ね」
だそうである。
「にゃんでもにゃいのー」
「じゃあよぶにゃぁ、た〜まちゃん」
「にゃはははは」
ひなが一日、ゴロゴロしている二人である。
「にゃぁ〜、た〜まにゃん」
「にゃに〜?」
「すかーとがめくれてるで、ござ・・・・!にゃん!!」
「あっ!間違えたにゃん!シロ〜」
「う〜、ミス一なんだにゃん」
別段ミスをしたからって何かペナルティーが加えられる訳ではないが、そんな遊びである。
スカートがめくれていることよりも、語尾の方が今は大切らしい。
「そういえば、なんだにゃん、た〜まにゃん、オキヌちゃんは試験終わりなんだにゃん」
「ほんとーかにゃん!よかったにゃん」
試験中はオキヌちゃんといえど、テスト期間の雰囲気はある程度鬼気に迫るものがあるらしい。
だからといえるか、二人がヘンな遊びをはじめた理由のひとつではあるかもしれない。
「じゃあ、オキヌちゃ・・オキヌにゃんの部屋に遊びに行くか?シロにゃんv」
「賛成にゃんv」
と、人形でありながらも、よつんばいになって、移動ていく。
その横を美神が書類を持って小走りに走っていった。
「楽しいのかしらねぇ?」
首を傾けてはみたが、今はとかく忙しいのだ。
『おきぬにゃ〜ん』
オキヌちゃんの個室の前で声を合わせると、
「どうぞ〜・・にゃん」
と、オキヌちゃんである。
最初、驚いた顔をしたタマモとシロだが、見合わせた二人の顔ににんまりと笑顔が毀れる。
「にゃん!」
シロが扉をあけると、椅子を回してオキヌちゃん。手に何かを持っている。
「えへへ〜可愛いでしょ〜、にゃん」
二人に合わせるオキヌちゃん、可愛いといえるが、それ以上の事がある。
カチューシャに、三角形にカットした布を二つ、張り付けた物を用意しておいた。
三つある内のひとつを自分の頭に付けて、
「あたしの、耳、かわいいかにゃん?」
「せ、拙者もほしいにゃ〜ん」
「あたしも〜〜v・・」
「タマモちゃん、ペナルティー一、にゃんよ」
「にゃ!オキヌちゃん、見逃してほしいにゃ〜んよ〜」
「だめにゃん」
笑いつつも二人にカチューシャを渡す。
にゃんにゃん、木霊する一種異様な雰囲気を人工幽霊一号は黙って見ているだけである。
他愛も無い、若干卑猥な話も出たがそれは各人で想像してもらうことにしよう。
その時にも、にゃにゃと、つけたものだから、もう癖である。
そんな時、
「やぁ、令子ちゃんはいるアルか?」
と、物品納品に寄った厄珍である。
玄関に出たのはオキヌちゃんである。
「あー、こんにちわ、厄珍にゃん」
「・・・にゃん?」
寝ぼけてるのかと、思う厄珍であるが、
「にゃんにゃん」
「にゃー、にゃー、なぅー」
と、二人立て続けに猫の真似事を披露していく。
「・・・この獣娘、化け猫だったアルか?、それに・・・」
自分の頭を指差すヤク珍である。
事に気がついたオキヌちゃんが顔を赤らめているが、二人はもう猫まっしぐらである。
【あの、オーナー美神】
「何、?人工幽霊一号」
【実は・・】
「は?」
現状報告を受けて、美神駆け足に近い状態で玄関に向かう。
「あんたたち!何やってるのよ!」
流石に行き過ぎた二人に叱咤を加えた飼い主である。
「オキヌちゃんも、二人の遊びに加わって!恥ずかしいじゃないの」
しゅん、となった三人にこれ以上の罵声は可愛そうかとみて、事務室に戻ったとき、
【よろしいでしょうか?オーナー】
「何?」
【今回の仕儀で御座いますが、おそらくお二方はさびしかったのではないかと】
「さびしい?」
【はい。オーナーもお忙しく、氷室様、横島様ともに、ご相手出来なくて】
「そうねぇ・・」
【わたくし、小耳に挟みます所、子供の猫真似は誰かに構ってもらいたからだそうで】
ふむ、と神妙な顔になる美神である。
「悪いこと、してた・・・かな?」
【断定は出来ませぬが、どうですかな?どこかへ遊びに行かれては】
「遊びに?この時間から?」
【はい。わたくしの知ってる限りでは、オーナー、魔鈴様レストラン割引券をお持ちでしたな?】
「えぇ、もってるけど?」
【期限が・・】
あっ!と駆け足で金券類をしまってある戸棚をあける。
「そうね!勿体ないわね。たとい、アイツの店でも、よっし!行くか」
喜んだ三人は言うまでもなく、またはたと、奇妙な語尾が消えていた。
なお、大食漢のシロがいる事もあって、やや魔鈴のほほに筋が入っていたことは誰も知らぬところである。
次の日。
「ふわぁ〜」
あくびをかみ殺しもしない令子である。
奇妙な物で、シロもタマモも、オキヌちゃんも所用が出来外出しているのだ。
「なによぉ〜。折角仕事が終わったのにぃ〜」
暇なのである。
(考えても見たら甘えたいから猫ねぇ。ベタな気がするなぁ、大体猫ってアレで強いからなぁ。
 でも甘える相手って私だったのかしらねぇ。うれしくもないけど、うざったそうだしー
 それになぁ。私が甘えるとしたら誰かしらねぇ〜西条のお兄ちゃん?でも嫌だなぁ、
 にゃ〜なんて、恥ずかしくて言えないじゃないのよ。子供なのね。結局・・でもぉ)
と、毒にも薬にもならないことを考えていた其処に。
「ちゃーす。試験が終わったんで顔をだしやしたー」
学らん姿で登場の横島である。
「あっ!良くきたわね。横島にゃん・・・・・!」
慌てて、口をふさぐ美神であるが、もう遅い。
「・・・・にゃん?」

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

小首を傾げる横島であるが、慌てている所為であろうか。呂律が。
「にゃ、にゃんでもにゃいのよ、にゃははははは?」
「なんなんだ?」
「だーかーらー、何でもないつってんでしょ!」
パンチが飛んできたのは言うまでも無い。
「それより、何しに来たのよ」
KOした横島を見下して言う美神である。
何。倒れた横島も横島で相手がスカート故の恩恵を預かっているが、それは秘密である。
「あ、あぁ、そーなんすよ実は」
なんでも、付近の繁華街で行われている抽選会に何とも無しにトライした所そこそこの景品がでた。
「で、映画のチケットなんすけどね」
立ち上がりながらチケットを令子に渡す。
「今更見るものでもないっしょ?ひのめちゃんなら喜ぶかなぁ〜って思いましてね・・って美神さん??」
チケットを持つ美神の手が若干震えている。
どちらかといえば、映画やテレビはそんなに楽しむ方ではない美神であるのだが。
「ひ、ひのめには早いわよ。それなら私が見に行く!」
「えっ!美神さんがッすか?」
「そうよ、悪い・・で、何枚あるの?二枚なのね・・あんた付き合いなさい!」
「へっ??」
「何が今更見るものでもなのよ。いい映画なのよ!良さを教えてあげるから、ね」
「はっ、はぁ〜」
あげる積もりが喜んでくれた上に付き合えるとくれば文句ないが。
(でも、今更なぁ)
とは、死んでもいえない横島である。

さて、その映画のチケットは何であるか、人工幽霊一号に聞いてみよう。
FIN

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