ザ・グレート・展開予測ショー

上下左右、何処何処へ!?3


投稿者名:人生前向き
投稿日時:(03/ 2/20)


 エレベーターの扉が開き、まず横島の目に映ったものは武装をした十数人の男た
ちだった。彼らの手にはそれぞれ違った銃。それはすでにトリガーを引いてあり、い
つでも撃てる態勢をとっていた。その中の一人は美智恵の姿を確認するとそばに駆け
寄りなにやら耳打ちをして、持ち場へと戻っていった。その表情さえ窺えなかったが
彼の体から緊張と恐怖の色が濃く表れていた。いや彼だけではない、ここにいる武装
した男たち全員である。ある者は足を小刻みに震わせていた。ここに連れてきた張本
人の美智恵も、真剣な面持ちで銃を手に取ると安全装置を解除した。


 
 「・・・・・まぞく。」


 「えっ!?」


  横島の核心を突いた呟きに美智恵は戸惑った。そして強い口調で横島に問いただ
した。


 「どうしてわかったの!?」


  横島は美智恵の形相にたじろいだ。横島としてはふいに感じたものををつい言葉
に出してしまったに過ぎない。なんとなくなのだからなんとなくとしか答えられない
、詰め寄ってくる美智恵をまあまあと落ち着かせた。そして気を取り直した美智恵の
後について歩き突き当たりの客室まで行くと、一息入れドアのぶに手を掛け、まわし
た。ドアが開くとともにふっと、甘い匂いを彼らを過ぎった。


  部屋には二人いた。一人はエリート官僚を思わせる風体をした中年の男で、高級そ
うなソファーに軽く腰を掛けている。彼の額にもいくらかの汗が光って見える。、そし
てその正面には魔族と思しき男が座っていた。


 「横島忠夫君を連れてまいりました。」


 美智恵は中年の男に敬礼をした。


 「ごくろう、君は下がりたまえ。」


 「いえ、彼の身の安全のために、」


 「聞こえなかったのか、下がれといったんだ。」


 「あ、ちょっと待ってください。」

 
  突然の声に二人の視線は正面に座る魔族に向く。


 「別に彼女がいても全く差し支えありません。それどころか居ていただいた方が横島
様にとっては話しやすいかと思いますので、どうぞ居てください。」


 「お、お心遣いありがとうございます。」


  魔族らしからぬ喋りかたに、一同唖然とし言葉を失う。美智恵の上司と目が合った
ため軽く会釈をすると、横島は中性的な顔だちをした魔族に顔を向ける。


 「俺に一体なんのよう?」


 「ち、ちょっと横島君。」


  慮外な言葉に慌てる美智恵を軽く片手で制る。


 「これからバイトがあるんだよ。」


 「貴重な時間を割いていただいてありがとうございます。」


  喧嘩を売るような横島の物腰を気にした様子もなしに彼は、悠々閑々と構えている。
横島は彼に聞こえるよう舌打ちをして不快だとを伝えた。魔族を目の敵にしている訳でな
く、あまり踏み入りたくはないのだ。それはここにいる三人とも同じ思いである。しかし
それに増して横島のその思いは強かった。横島は美智恵の上司から薦められ隣の空きに座
ろうとすると、彼から待ったがかかった。


 「横島様、こちらが上座ですのでこちらにお座りください。」

  
  彼は今まで座っていたソファーから立ち上がると、横島をそう促した。


 「か、かみざ??」


 「はい、どうぞ。」


  一同は再び言葉を失った。さっきまで喧嘩腰であった横島さえ無理やり彼のペースに
のせられてしまい、譲られた席にあっどうもと、お礼まで言ってしまった。ソファーに座
る際、甘い香りが漂った。


 「それで、何のようなんですか。」


  横島自身気がついていないだろうが、彼の一つ一つと律儀な態度についついと敬語に
なってしまった。少しの間彼は横島の顔を見つめ、そして跪いた。


 「今日より私、マリス=ラダは横島様に忠誠を誓います。」



 「「「はぁ〜〜!?」」」










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