ザ・グレート・展開予測ショー

全力疾走(前)


投稿者名:ユタ
投稿日時:(03/ 2/20)

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注:このお話は過去ログ 『52 (-02/11)』か
後日更新時にC−WWW煩悩の部屋「創作文集」掲載予定(多分)の

『温かい想い』を事前に読んでおくと少しだけ普通に読むより楽しめます。

でも、読まなくてもそんなに支障もありません(どっちやねん!)
ではどうぞ・・・
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そろそろ秋が深まり肌寒くなる11月上旬の東京・・・・

今回はそこで起こるある少女の一日のお話・・・















「へへ〜、楽しみだなぁ〜♪」



嬉々とした声でおキヌは寝巻き姿でベッドに転がった、そして寝そべりながら一枚のチケットを天井にかざす。
そのチケットには・・・





『ギャング オブ フィラデルフィア特別鑑賞券』







と書かれている。

これは最近話題の映画で、先行上映の段階でかなりの名作と既に世間に浸透していた。
もちろん、おキヌも名前は知っていたし、そろそろ友人達と観に行こうと思っていた。

その特別鑑賞券・・・つまりタダ券が手元にあるのだ、嬉しいのは当然だろう・・・
だが、心が浮かれている理由はそれだけではなかった。





「横島さんが誘ってくれるなんて・・・・・・・・・嬉しいなぁ」



本当の理由を口からそっと漏らすとおキヌは少しだけ頬を赤らめた。

詳しい話は2時間前にさかのぼる・・・






・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 


2時間前・・・





「なぁ、おキヌちゃん明日・・・暇?・・・・・じゃなくてもう今日かな?」



横島は自分の腕時計にチラっと目をやった、時刻は深夜の2時10分。
もちろん学生である横島や、おキヌは寝ていてもおかしくない。
だがGS見習い、そして助手という立場から雇い主である美神に深夜の除霊に狩り出されていた。

「は、はい!今日は日曜日ですし・・・用事もとくにありません」

なるべく冷静に答えたつもりだが、横島から何を言われるのだろうという緊張と期待から少しドもってしまった。

「あのさ・・・実は映画のタダ券もらって・・・一人で行ってもつまんないから・・・一緒に行かない?」

「え!わ、私とですか!?」

横島から映画に行かないかと言われた・・・つまりデートの誘いだ。
その事実がもう少しだけおキヌの頭を嬉しさで混乱させた。

「しー、しー!ペアチケットだからシロ達には内緒な?・・・それとも俺とじゃ嫌かな?(汗)」

「い、いえ!行きます行きます!・・・・・でも、どうして私を誘ってくれたんですか?」

もちろん、誘ってもらって嬉しいのは当然だ。
だが、事務所のメンバーである美神、シロそれにタマモ、他にも横島がデートに誘いそうな女性は何人か思い当たる。
 
「え?だって前に約束したじゃないか?・・・・・・・・・・・ほら、ソウト事件のとき」

「え?・・・・えーと・・・・」



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『謝らないで下さい!・・・・・・・・・・謝るなら・・・・・お詫びとして今度デートして下さい』

『・・・・・ぷっ・・・ああ、了解、了解!じゃ、俺も行ってくるわ!!』



                             温かい想い(第十四話参照)

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と、確かに言った覚えはある。
だが、あれから2か月近く経っているし、おキヌも半分冗談で言ったつもりだったので
頭の片隅に追いやれていた記憶だった。

「もしかして・・・忘れてた?」

「へ?い、いえ!ま、まあそれは置いといて・・・行きます!絶対、何があっても行きますから!」

「そ、そう?」

横島はおキヌの剣幕に疑惑の話題を交わされた気もするが、取りあえず本題は話せたのでそんなことはどうでもよかった。

「先生ー!おキヌ殿ーー!そろそろ帰るでござるよーー!」

「あ、ああ!分かったーー!今行くーー!」

少し離れたところから愛弟子に呼ばれ少しビクっとする横島。

「えと、じゃあ今日の午後2時に極楽駅前の噴水広場に集合でいい?」

「はい。楽しみに待ってますから♪」



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と、いう経緯だった。
おキヌはそこまで改めて思い出すとチケットをギューと自分の胸元で握りしめる。

「・・・・・・・・・・あ、クシャクシャになっちゃう!・・・・・ってもうAM4時!!?・・・早く寝なきゃ・・・」

いくら集合時間が午後の2時とは言え、そろそろ寝なければ寝不足になってしまう。
おキヌはカチっと電灯のスイッチを切ると布団を肩までかぶり安らかな眠りへと入った・・・・・・・・・





・・・・・・・・・・・・・・・タイマーの針をAM11時に合わせて・・・・・・・・・・







































「う〜ん・・・・・・・・・」



カーテンの間から漏れる暖かな光がおキヌの寝ぼけ眼(まなこ)を照らす。
そのおかげでおキヌはゆっくりと、まどろみの中から意識を覚醒させていった・・・

(う〜・・・・・そろそろ起きて、朝食の準備・・・・・・・・・・・・・あ、今日はシロちゃんもタマモちゃんも朝から出かけるって言ってたっけ・・・
美神さんも今日は仕事なしって言ってたし・・・・・・・・そっか・・・今はいるのは私だけ・・・・今日の予定は・・・・・・・。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・!!!!!!!!?)


ここまで思考を巡らせて、おキヌは勢いよく上体を起こした。
おかしい・・・・いつも聞こえるはずの小鳥の囀(さえず)りが聞こえない・・・つまり今は朝じゃない・・・・ここまではいい。
次にバクバクと鳴る心音のままゆっくりと枕元の時計へと視線を移した・・・・



チクタク・・・チクタク・・・・・・・





『・・・・・PM1:22・・・・・・・』







ピ────────────────────────────────────────────────!







おキヌに心電図を付けていたらご臨終の電子音が鳴り響いてたかもしれない。

「ななな、なんで!!?」

おキヌはバッと目覚まし時計を握り締める・・・確かにタイマーの針は11時に合わせてしてある・・・・だが、
肝心のスイッチは見事に入っていなかった。

「あ・・・あ・・・」

自分はドジだドジだと認識はしていたが、
正直ここまでやってしまうとは思っていなかったおキヌから文字通り魂が抜けかけていた。

「はっ!ショックで幽体離脱してる場合じゃない!!と、取りあえず横島さんに連絡しなきゃ!」

ここから極楽駅は歩いて30分はかかる。カーオーナーの美神がいればもう少し早く着くがその肝心の美神はいない。
加えて着替えや軽いメイクをしていればさらに時間がかかる。
そこまで考えて自分の携帯から遅刻することを横島に伝えようとするが・・・・・・


「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・横島さん・・・携帯電話持ってない・・・・・・・・・・」


万年貧乏学生の横島が携帯を持っているはずもなく、日ごろの仕事の連絡もなるべく自宅のほうへとしていた。


「なら、自宅のほうに・・・」



プルルルルルルプルルルルル・・・・・・・・・×5



しかし・・・・・・・・・・・・・・無情にもその電話の主は既にいないようだった。
こうなればおキヌが取る行動はただ一つ・・・・・シンプルでいて唯一の方法。





────急いで準備して現場に駆けつける────





そこからのおキヌの行動は早かった。



いつより当社比1.8倍程の早さで着替え、メイクを済ませ、今日必要なもの、常備して置く物をお気に入りのポシェットに詰め込む。
最後に等身大の鏡で自分の姿を確認・・・
こういう日のために買っておいた薄い水色のワンピースにシルバーのイヤリングにペンダントを着こなす。
男なら10人中9人は振り向きそうな程バッチリ決まっていた。

「よし!」

と、気合の掛け声で時間を確認する・・・時刻は・・・・・・・・・・・・・・・・PM1:55・・・・・・・



起きて30分で準備完了。普通の女性の身支度から考えればかなりの早さだったろう。
だが、既に横島との待ち合わせには遅刻確実。だからといって開き直るわけはいかない


「行ってきま──────す!!!人工幽霊一号!戸締りお願いねええぇぇぇぇぇぇ・・・・・(←ドップラー効果)」


『い、行ってらっしゃいませ・・・おキヌさん・・・・・・・・・』

人工幽霊一号は見たこともないおキヌのダッシュ力に冷や汗を流しなら入り口の鍵を閉めた。





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