ザ・グレート・展開予測ショー

失われたドクロ(3)


投稿者名:MAGIふぁ
投稿日時:(03/ 2/18)



これは、師を探す弟子達のお話である。



「じゃあシロと横島くんとタマモは教会の方に行って、匂いで先生を探して」

「美神さん達はどうするんすか?」

「私とおキヌちゃんとピートは水晶のドクロについて調べてみるわ」

「分かりました。いくぞ、シロ。タマモ」

すぐさま出ていく横島達。このへんの行動の迅速さは流石、と思わせるものがある。

「美神さん、なんで僕はこっちなんですか?」

一刻も早く唐巣の無事を確認したいピートは直接探しに行きたかった。

そもそもその為にシロを借りに来たのである。彼の不満は当然だった。

「だって、シロが怖がってるし」

「う…」

「それに、水晶のドクロの実物を見てるのは、あなただけだしね。こっちにいてもらわないと困るのよ」

「うぅ…確かに。分かりました…」

至極もっともな理由を2つも挙げられて、ピートは納得せざるを得なかった。



「…で、ネットで見た限りでは、外見は盗まれたドクロと唐巣先生の持っていたドクロは一致するわけね?」

「ええ。先生のドクロもちゃんと顎のパーツが動くようになってました。25cmくらいで大きさも一致します」

「唐巣神父の前の持ち主の人は最近、交通事故で亡くなられていました。その前の入手先は家の人も知らないそうです」

「ん〜…Gメンの資料を当たってみましょう。私が行って来るから、おキヌちゃんとピートは引き続きドクロの入手先を探って」

「「わかりました」」



サクサク進む美神達。一方…



「え〜っと…教会から出てすぐに匂いが途切れているでござるな…」

「…そうね。車にでも乗ったんじゃない?」

「追いかけられるか?」

「無理ね。3日前でしょ?時間が経ちすぎてるし、車じゃねぇ…」

「シロもか?」

「申し訳ござらん、先生…」

「「「どうしよう……」」」



一歩目から躓いて、全然進まない横島達。

だが、行ってみてやってみたけどダメでした、だけでは子供の使いだ。

美神が役立たずに向ける視線は決して温かくは無い。

「困った時は、コイツを使えば大抵何とかなると思うんだが…どう使えばいいのかが分かんねー…お前らも考えてくれ」

どこぞの未来から来たネコ型ロボット並の万能性を誇るアイテム、文珠を左手で作り出しながらシロタマに相談する横島。

「探すんだから、単純に“探”って込めればいいんじゃない?」

「“嗅”と込めて拙者達の鼻を強化する手もあるでござるな」

「“探”にするか…一個ですむかも知れねーし」

横島は唐巣神父の姿をイメージ。文珠に“探”の文字を込めて発動した。

「「「あ」」」

そして発動したと同時に宙に浮き、飛んでいく“探”文珠。

「追っかけろ!シロ、タマモっ!」

「あ…そっか!」

「わかったでござる!」

自分では無理だが、シロタマなら追いつけると判断して2人に指示を出す横島。

その声に弾かれたように飛び出していくシロタマ。

「さて、俺は………………取り合えず、帰るか…」

横島にこの場で出来る事はすでに無かった。



「で、拙者達は海までは追いかけたのでござるが…」

「文珠は水平線の向こうまで飛んで行っちゃったわ。流石にあれは追いかけられっこないないわね」

横島が事務所に戻ってから2時間後に帰ってきたシロタマは美神達にそう報告した。

飛んでいった方角は大体南東、という事ぐらいしか分からない。唐巣の居場所は海外なのか、国内なのか、太平洋上なのかもさっぱりだ。

また、これは誰も口にしなかったが、生きているかどうかも分からない。文珠は死体や霊に反応したのかも知れないのだ。

「南半球の東側か…範囲は地球の4分の1。全然絞れてないわね」

「じゃーそっちはどうだったのよ?」

ボヤく美神に突っ込むタマモ。自分達が役に立たなかったような事を言われて面白くなかったのだろう。

「こっちは全然分かってないわ。前の持ち主は密輸かなんかでドクロを手に入れたらしくってね…詳しい事は分かんないのよ。Gメンの資料で水晶のドクロについて何か無いかって思って当たってみたけど、そっちも空振り。だから、そっちが頼りだったんだけどね…」

これ以上の打つ手が見えず、事務所に気だるい雰囲気が漂う。

「まぁ、人間諦めが肝心って言うし…」

「何を言うんですか美神さん!!あなたは自分の師匠を見捨てるような薄情な人間だったんですかっ!?」

ポツリと溢した美神の言葉に猛然と突っかかるピート。

「ピート…この人は美神さんだぞ?…ぐおッ!」

いらん事を言って殴られる横島。

「そうでしたね…美神さんでしたね…」

「って納得するなぁ!しょーがないじゃない!ほとんど手がかりも何も無いんだからさぁ!」

横島のセリフに頷くピートに突っ込む美神。シロタマも後ろで頷いていたが、そっちは気付かなかったらしい。

「手がかりならありますよ…南西の方角で海の向こうっていう手がかりが」

「でも、そんな漠然とした手がかりじゃぁ…」

「オーストラリアあたりに行ってみて、また文珠を使えば手がかりは増えます!そうやって何度も移動していけばいつかは先生の居場所も分かりますよ!」

言われてみれば確かにそうだ。だがその提案には一つ欠点があった。

「で?誰がその飛行機代を出すのかしら?」

そう。この中では美神しかそんなお金は持っていない。そして、美神はケチだった。

あんまりと言えばあんまりな言葉に、おキヌが口を出す。

「美神さん、そんな言い方は…」

「…分かってるわ、おキヌちゃん。でもね、私は赤字っていうのは我慢できないのよっ!ああっ!想像するだけで腸がねじれそう…」

だあっ!

そんな理由で師匠を見捨てるんかい!

全員その宣言にコケつつも、心の中でツッコんだ。



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