ザ・グレート・展開予測ショー

橋姫伝説 その3


投稿者名:弥三郎
投稿日時:(03/ 2/18)


「で、修学旅行はどうなるんですか?」

横島は見知恵に尋ねる。

「一応続けてもらうわ。ただ、あさってからはこちらのほうを優先できるように引率の先生とは話を付けておいたわ。
 さて、明日は早いんだからもう寝なさい。」

時計を見るともう10時を回っていた。

「あ、飯食ってねぇ……」
「そうですノー、横島シャン。腹減りました。」
「そうね、ホテルの人に頼んで人数分の夕飯を出してもらうようにしとくわ。」
「「ありがとうございます!」」

こうして2日目の夜は更けていった。


翌日、宿を出発した横島たちは奈良へと向かってゆく。
途中の道には歴代天皇の墓があちこちに見受けられた。
歴代天皇でも一番大きいのが大阪府の堺北方にある仁徳天皇陵である。
高さこそはギザのピラミッドには太刀打ちできないが、総面積では世界最大の墓である。
そのような遺跡がごろごろしている国道24号線を北上していくと奈良市郊外にある平城京跡についた。
2010年ごろには大極殿が再建される予定である。
その後、唐招提寺、薬師寺を回って京阪奈自動車道に入る。そこから一気に宇治に出る。


「あれ?なんか見たことがあるような、待てよ?」
「どうしたのヨコシマ?」
「いやぁね、この建物どこかで見たことあるような?と思ってね。」
「ああ、これ?説明聞いてなかったの?十円玉の表にあるわよ。」

そう言われて横島は財布と取り出して10円玉を見た。

「ああ!ほんとうだ!!これが平等院鳳凰堂か!」
「……で、何で話し聞いてなかったの?」
「いやぁ、あそこにきれいなお姉さんがいたから……あのー、もしもし?」

正直に答えてしまった事をまだ気がついていない横島はなぜルシオラが怒っているのかわかっていない。

「あんたねぇ。私は一体どういうことになるわけ?胸が小さいから?!ええ?!ヨコシマ!!答えなさい!!」
「ひょえーひかひゃにゃかっひゃんひゃー!!(ひょえー仕方なかったんやー!!)」

口をつねられている横島。このあと3時間はつねられたところが腫れてとんでもない顔になったそうだ。


バスはだんだん京都市内に入っていく。
気がついたらお寺みたいなところに着いた。

「ここが今日の宿だって。」
「聖護院御殿荘か。ずいぶん立派な名前だなぁ。」

バスを降りると隊長が待っていた。

「あれ、隊長、何でここにいるんですか?」
「ずいぶんご挨拶ね。唐巣先生たちはここに泊まる予定なのよ。偶然だったけどね。」

先に京都に向かうと言って朝早く出かけていった美知恵であったが宿の手配などを現地で進めていたのだった。
何かあったとき、結界を張りやすいこと、脱出に備えても考えるとここ、聖護院が最適なのであった。

「もうすぐ令子たちが到着する予定だわ。先に先生がいるから挨拶しておきなさい。」
「へーい」


「神父、こんばんわー」
「おお、横島君、修学旅行はどうかね?」
「ええ、面白いっす。」
「すまないね、楽しいときの最中なのにね。特に、彼女と。」
「神父、あんまり茶化さないでくださいよぉ〜」
「ぐほぉ!!」

茶化されたのが照れくさいのかルシオラは神父の背中を思いっきり叩いてしまったのだ。

「な、仲良きことは素晴らしき事かな。いててて……」

武者小路実篤の言葉を吐きながら唐巣神父は立ち上がった。

「明日からは忙しくなる。今日はしっかり休んで明日に備えなさい。」
「ういっす。」


「タイガー!それは俺の肉!」
「横島シャン、あなたは何枚肉を食べたんですかノー!!」

今日の夕飯はすき焼き。みんなは黙々と食べているが、横島の班だけがやかましい。

「横島さん!ネギも食べてください!それから椎茸残ってますよ!」
「おんみゃーは鍋奉行か!!」

おいしそうな夕飯である。
一方、美智恵たちは……

「何でピートと夕飯一緒に食べられないワケ?」

不平不満をたらたら流すエミ。

「まったく常識って物考えなさいよ。学生のところにのこのこ行くのかしら?」
「令子、あなたには言われたくないワケ!」
「2人とも〜〜喧嘩はいけないわ〜〜」

いつもの3人で鍋をつついている。

「美智恵君、敵はわかったかい?」
「う〜ん、見当はついているんだけど、にわかに信じられないのよね〜」
「見当とは?」
「天皇家からの波動なのよ。今上天皇陛下の霊力は昔よりは落ちたものの、絶大な力を持っているわ。
 その波動とよく似ているのよ。」

天皇家は神道の総司祭的な役割を持つ。一番弱まってしまったのは江戸時代中期である。原因は資金難と血統の単一化
つまりは配偶者が特定の一族しか受け入れてなかったからである。それを改めたのが明治に入ってからである。
その後、平民から配偶者を受け入れるようになって霊力を盛り返しているが、いかんせん京都が乱れている。
天皇家への霊力供給がままならないといっても良い。
その乱れを抑えることが将来の日本の発展へとつながる。
ただ、それを望んでいないとある国からの工作員やマルクス主義者などは京都の結界を何度も破ろうとしてきたが
ことごとく返り討ちにされている。
ただ、結界が弱まっている今、さらに破壊しようと活動を始める可能性があるのだ。
美知恵の課題は山積みである。

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