ザ・グレート・展開予測ショー

ある日の昼休み (後半)


投稿者名:KAZ23
投稿日時:(03/ 2/16)

<前半からの続き>


「あ、六道先生どうも♪」
「どうもって・・・なんだ、原因はお前か美神?一体なにがあったんや?」

割と美形なタイプの六道政樹先生。この人も歳の割りに結構若々しいわよね?意外と気さくな性格で生徒からの人気も高い。名前がこの学園と同じなのは、この学園の理事長を勤める六道さん家に婿入りしたから。

「こいつが悪いのよ。忠ニイの事悪く言うんだもん!」
「あ〜・・・とりあえずそれだけで事情は分かった。せやから、ひとまずこの火消したってや?普通の人間はこんな事したら死ぬんやで?あの家で生活しとったらあんま分からへん事かも知れんけど・・・」

ま、しょうがないか。確かにこんなやつでも、殺しちゃったら寝覚め悪いかもしれないし。

―― パチン ――

私は指を鳴らして炎を完全に消し去る。ゴロゴロと転げまわっていた三世院はそれでようやく動きを止めた。
ヒクヒクしてる・・・って事は、死んじゃいないわね。

「あ〜・・・すまんが誰か、コイツを保健室まで連れてってくれるか?」

六道先生が周りで野次馬してた連中に向かってそう言うと、何人かの男子生徒が三世院を運んでいってくれた。

『しっかし、三世院先輩も馬鹿だな〜』
『まったく、ひのめちゃんにアレは禁句だってのに・・・』
『3年なってから編入して来たんだろ?その辺の事知らなかったんだろうな〜』

男子生徒たちは、そんな会話をしながら保健室へと向かっていく。

「ふう、やれやれ。気持ちは分からんでもないが、美神も少しは辛抱せんといかんで?」
「は〜い。気をつけま〜す。」

六道先生がヤレヤレといった風にそんな事を言ってくるので、私も適当に相槌を打っておいた。

「ひのめちゃ〜ん・・・」

そこでようやく私の待ち人が到着する。

「蛍ちゃん遅い〜・・・」
「ごめ〜ん!あ、六道先生こんにちは。」

今年入学したばかりの横島蛍ちゃん。忠ニイの娘さんで私の幼馴染で、今は一緒の家で生活する家族。

「蛍ちゃんが遅いから変なのに声かけられちゃってさ〜・・・」
「またぁ?相変わらずモテモテね。」

蛍ちゃんだってすっごく人気有るんだけどね。

「おお、なんや久しぶりやな横島蛍・・・元気にしとるか?」
「先生〜・・・なんでフルネームなんですか?」
「仕方あらへんやろ?お前んとこは家族多いんやから、全員『横島』やと呼びづらいんや。」

六道先生は少し楽しそうにそう言った。

「だったら蛍だけでいいのに。」
「学校で男性教師が女子生徒を名前で呼ぶんは、あんま宜しくないんや。ま、他の所ではそうするさかいに勘弁したってや。」

あんまり済まないって顔をしてないわね。ちょっと面白がってるみたいだわ。

「ああ、そうや!おまえらの事探しとったんや・・・・・・ほれ。」

急に何かを思い出した六道先生が、ポケットからCDを取り出して私たちに差し出した。

「CD?」
「2枚・・・・・・なんですか、コレ?」

それはラベルの無いCDで、ジャケットも無いただ空の透明ケースに入っている。

「冥瑠(める)がな、朱と珠洲に渡してくれって言っとったわ。中身はよう知らんけど、2人に渡したってや。」

冥瑠ちゃんは六道先生の娘さんで、朱ちゃん珠洲ちゃんとは同い年で大の仲良し。ちなみに現在小学6年生。
朱ちゃんも珠洲ちゃんも共に蛍ちゃんの妹なんだけど、それぞれ母親は別なの。この辺はちょっと複雑な家庭の事情ってやつがあるのよ。
でも、その複雑な部分が私にとってはラッキーなんだけどね♪

「分かりました。渡しておきますね。」
「おお、頼むで・・・っと、じゃあ先生はもう行くな?あ、そうそう・・・横島に近いうちに男連中だけで飲みに行こうて政樹が言っとった言うといてや。ほなな。」

そう言って六道先生は去っていった。

「相変わらずね、六道先生。」
「ま、忙しい人だからね。」

確か教師をしつつ、理事会の役員もやってたはずだ。

「それで何があったの、ひのめちゃん?」
「あ〜・・・そんなに気にするほどの事でも無いから気にしないで。それより早くお昼食べに行きましょう?」

あれをそのまま話したら、三世院の奴・・・・・・・・・人生が終わるわ。
私は蛍ちゃんを人殺しにはしたくない。

「じゃあ、中庭に行きましょうか?」
「ん。りょ〜かい。」

蛍ちゃんの顔を見てたら、さっきの嫌な気分はすっかり吹き飛んでいった。
あんな最低な男の事は忘れて、楽しく昼食を取ろうっと。










保健室にて・・・

「くっそっ!なんなんだあの女はっ!?この僕を振るだなんて信じられんっ!!」
「仕方無いですよ三世院先輩。ひのめちゃんの思い人ってアノ横島忠夫さんなんですから。」
「なんだとっ!?クソッ!そう言う事かっ!!」
「しかも将来は結婚する約束まで取り付けているとか・・・」
「写真を見た限りでは、そんなに良い男とは思え無いんだがな・・・・・・まあ良い。あんな女こっちから願い下げだ!目を付けた女ならもう一人いるんだからな。」
「えっ?誰なんですか?」
「1年生の・・・横島蛍さんとか言ったか?横島という性が気に入らんが、なに、些細な事だ。」
「ああ、あの先輩・・・実は・・・・・・」
「フフフフ・・・僕に言い寄られてなびかない女など居ないと言う事を、今度こそ証明してみせる。そうだ、なんと言っても僕はアノ三世院の・・・」
「駄目だ、聞こえてない・・・」

・・・・・・・・・・・・

その後、三世院京一郎がどうなったかは、ちょっとココでは控えさせていただきたい。
まあ、ひょっとして心配な人もいるかも知れないので、

―― 命だけは助かった ――

とだけは記しておきたいと思う。


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