ザ・グレート・展開予測ショー

ある日の昼休み (前半)


投稿者名:KAZ23
投稿日時:(03/ 2/16)

ある日の事、私は昼休みの廊下で声を掛けられた。

「やあ!ちょっといいかな?」
「?・・・なんですか?」

その男の人は何故か学園指定の制服ではなく、上から下まで真っ白いブレザーを着用している。
何が嬉しいのかニヤニヤとしていて、正直気持ち悪い。

「君、美神ひのめさんだろう?」
「・・・・・・そうだけど、貴方は?」

相手はわたしの名前を知っていた。更に気持ち悪い。
誰よ、こいつ?

「あれぇ?いやぁ〜・・・まいったなぁ。ハハッ。この学園に僕の事を知らない生徒がいるなんて思っていなかったよ。ハッハッハッ!」

なによ、こいつ?本気でキモイわっ!?

「ハッハッハッ・・・あ〜いや、失礼。僕の名前は『三世院 京一郎(さんぜいん きょういちろう)』だ。流石に、三世院の名前くらいは知っていると思うんだけど?」
「あ〜・・・あの『三世院』の・・・・・・思い出したわ。」

三世院という単語を聞いてようやく思い出した。
三世院家と言えば、GS界では名門中の名門とされる家柄である。六道家とだって対等な関係で接することが出来るほどだ。
それで3年生に、三世院の跡取息子が編入して来たって話を聞いた事がある。頭脳明晰、スポーツ万能、眉目秀麗だとか・・・
で且つ三世院の跡取って事で、クラスの女生徒達が騒いでいた。
よく見ると、今もなんだか遠巻きに注目を集めている。
私は全く気にならなかったからそんな話は聞き流していたけど、なんとなく馬鹿ボンなイメージ持ってたっけなぁ・・・

「あ〜、良かった!そう。僕がその『三世院』京一郎さ!はじめまして、ひのめさん。」

ん・・・思ってた通りの馬鹿ボンっぽい。

「それで?」
「えっ?」
「えっ、じゃ無くてですね、話し掛けてきたんだから用事があるんですよね?どんなご用件ですか?」

眉目秀麗ねぇ・・・・・・ま、言われてみれば確かに整った顔してるけど、はっきり言ってタイプじゃ無いわね。
さっさと用件済ませてくれないかなぁ・・・

「あっ、ああ・・・うん、そう!いやあ、勿論話があるからこそ呼び止めたんだよ。とても大事な話さ・・・・・・フッ。」
「!?」

うわっ?!なにこれ?
こいつの笑った顔って凄い悪寒が走る。ああ・・・多分、鳥肌立ってる。ってかなんでそんないちいち流し目で笑うのよ?!気持ち悪い〜!!

「ひのめさん。君はとても優秀な生徒みたいだね?成績優秀、スポーツ万能、加えて・・・」

とりあええず、名前で呼ぶの止めてくれないかなぁ・・・

「そう!君はこんなにも可憐だ!」
「はっ?」

三世院・・・先輩は右手を差し出して、なんだか一種形容しがたい表情でそんな事を言ってくる。

「え〜・・・え〜と・・・・・・」

私は言葉に詰まった。でも、普通詰まるよね?てか、本当にこの人って何を言いたい訳?

「フフフ・・・そこでだ、どうだろう?この僕と正式にお付き合いして欲しい!」

ああ!

「ごめんなさい。それじゃあ。」

―― ピシッ! ――

あ、固まった。
なんだ、良く分かんなかったけどつまり告白だったんだ。いやあ、やっぱり私ってば結構モテる?
今までも何度か告白されたこと有ったし、うんうん。私ってばやっぱり良い女みたいね〜♪

「ま、待ってくれたまえ!」

あ、復活した。

「ごごご、ごめんなさいとはどう言う意味なんだい?ままま、まさかこの僕とは付き合えないとでも言うのかい?」
「はい。そのまんまです。人と待ち合わせしてるんでもう行って良いですか?」

こいつって日本語の読解能力無いの?

「何故だっ?!僕はあの『三世院』京一郎だぞっ!?成績優秀、スポーツ万能、そのうえこんなに格好良い僕の、いったい何が不満だって言うんだいっ!!?」
「私、好きな人がいるんです。」

じゃ無かったとしても貴方はパスだけどね・・・

「何っ?なんだ、そう言う事か。なるほどね。」
「納得していただけました?」

三世院先輩はあんなに崩れていた表情を一瞬で元に戻した。

「いや、失礼。あまりに思いがけない返事だったものでね。少々取り乱してしまったようだ。ところで、君の思い人というのは・・・ああ、いや、そんな事はどうでも良いことかな?ハハハッ!それが何処の誰かは知らないが、どうだろう?僕の方が間違いなく君を幸せにしてあげると断言しよう。どうだい?そんな男の事は忘れてこの僕と付き合いたまえ。」

―― プチ ――

あ、久々に切れたかも。
この私が、せっかく穏便に振ってあげようとしてるのに、なんでこいつは私の神経を逆撫でしてくるんだろうか?
私はどこかで紐に切れめが入る音を聞いていた。フツフツと湧き上がってくる感情が、そろそろ抑えきれないかもしれない。
あと一つ何か言われたら・・・

「僕は将来、最高のGSと呼ばれる男さ。今は、横島忠夫とか言うどこの馬の骨とも知れない男がその称号を受けているらしいが、嘆かわしい事だよ。彼には家柄も品性も全く無いという話じゃないか?まあ、もっとも・・・僕がここを卒業したら、直ぐにでもその称号は僕の物になるんだがね。ハッハッハッ!」

―― プチーン ――

はい。完全に切れました。

「失せろ。」
「はっ?」

―― ボウッ ――

「ギョワアアッ?!熱ッ!熱ッッッッ!グワアアーーーーッ!?」

私は意識を集中すると、目の前の無礼な男に向かって叩きつけてやる。
それは大気を摩擦、燃焼させ、瞬く間にそいつは紅蓮の炎に包まれた。全身火達磨になってその辺を転がりまわる。

「不恰好なファイヤーダンスね。そんなんじゃ最高のGSなんて夢のまた夢よ。」

多分聞こえてないだろうけど、一応そんな忠告をしてやった。

「おい、コラなんの騒ぎや?」

と、この騒ぎを聞きつけて、六道先生が駆けつけてくる。


<後半に続く>

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