ザ・グレート・展開予測ショー

同棲するって本当ですか?2


投稿者名:ぱらどくす
投稿日時:(99/ 8/12)

最初は導入だけ書き逃げするつもりでしたが、予想外に反応があったので続き書きます。



:家の台所
トントントン
横島が台所に入ると、おキヌはすでにエプロンをつけオバQの歌など口ずさみながら、野菜をきざんでいるところ
だった。
幽霊であった頃からかわいらしい様子だったが、肉体を持った今はそれに加えて暖かみのような物が加わり、いと
おしさすら感じさせる後ろ姿であった。
「お、おキヌちゃん…」
ピシュッ!
思わずその背中に抱き付こうとして歩み寄った瞬間、横島の目の前を一発の銃弾が通り過ぎていった。
秒速1000m以上のスピードで横島の前髪を3本だけ切り落としたそれは古い食器棚に食い込んで止まった。
(み、美神さん? これは警告だ。 次は殺される…)
「横島さん、どうしたんですか?」
一歩を踏み出そうとした態勢のまま凍り付いた横島に振りかえって、おキヌが不思議そうにたずねる。
「いやぁ〜 それじゃ俺は風呂でも沸かしてくるから。」
「はぁ〜い。」(なんだか、本当の夫婦の会話みたい。)
ぎくしゃくと台所から出て行く横島に、おキヌは無邪気な返事を返した。


:道路上、車内
「すごい腕でござるな、美神どの。」
多くのハンターを見てきたシロにとっても、横島をかすめる美神の精密射撃は驚きだった。
「そお? あんまりやったことないけど。」
その時、厄珍堂までおつかいに行っていたタマモが戻ってきた。
「はい、これ。」
タマモの持ってきた弾丸を美神が銃に詰め替える。
「これなら自動追尾だから大丈夫ね。」
「……」
無言で冷や汗を流すしかないシロだった。


:家、風呂場
「危ないとこだった。 美神さん見張ってる。」
つぶやきながら横島が風呂につかると、ふと背中と足の両方が浴槽の壁につく感覚に懐かしさを憶えた。
「家風呂なんてひさしぶりだな。 そういえば、大阪の家の風呂がこんなのだったな。」
なんとなく昔を思い出しながら湯につかり古いアニメソングなどを歌っていると、ドアの外から物音が聞こえてきた。
「横島さん。」
「お、おキヌちゃん!?」 (ま、まさか一緒に…いや、でも背中くらい…)
妄想に突入する寸前、かすめていった銃弾の感覚を思い出す。
「い、いかん! いかんぞ! おキヌちゃん!!」
「着替え忘れちゃだめじゃないですか、ここに置いときますよ。」
横島のこける派手な水音を残して、パタパタという足音が遠ざかっていく。
そして、浴槽から這い上がった横島はあることに気付いた。
「パンツ、見られた。」


:再び台所
夕食を終えたおキヌは、流しで洗い物をしていた。 横島はその後ろで、茶などすすっている。
「お料理、どうでした?」
「え、ああ、すごくうまかった。」
「えへへ、今はお味見できるようになったから、結構練習してるんですよ。」
うれしそうに言いながら洗い物を終えると、蛇口をキュッと止めてエプロンを外す。
「それじゃあお風呂入ってきますけど…覗いちゃだめですよ。」
ガン!
恥じらいながらおキヌが後にした台所で、横島が思いっきりテーブルに顔面を打ちつけていた。
「ま、まさか、知っててやっとるんやないやろな〜。」

それから数分、なんとなく台所から出ること自体まずいような気がして、何も考えないようにボーっとしていた横島
だったが、それにも限界があった。
(お風呂…こうして考えてみるとおキヌちゃんてシャワーより風呂が似合うよな…おキヌちゃんの…お風呂…)
パシャ
妄想が映像を結びそうになった瞬間、現実の水音が横島を飛び上がらせた。
水音の正体は蛇口から漏れた水滴だった。 あわてて両手で栓を締め直すが、一度跳ね上がった動悸はおさまら
ない。
「これはもう、外で頭を冷やすしかない!!」
横島は玄関に向かって走り出そうとした。 しかし、一部始終をライフルのスコープ越しに監視していた美神にも、声
までは聞こえていなかった。
「血迷ったな! 横島ぁ―!!」
ついに横島が欲情に身を任せた、と思い込んだ美神の指がトリガーを引き絞る。
『麻酔しまーす。 すいませーん。』
自動誘導の霊麻酔弾。 それが、この夜横島の記憶に残った最後のものだった。




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