ザ・グレート・展開予測ショー

コタツの中での死闘!!


投稿者名:ハルカ
投稿日時:(03/ 2/14)

・・・・・・すべては一枚の福引券から始まった。
これは歴史には決して記されぬ3人の女の死闘の物語である!!



「ヨコシマ!これ何かしら?
 いつもの商店街に買い物に行ったらこんなのくれたんだけど・・・・・・」

最近、横島クンのアパートへかよって買い物する姿が板についてきたルシオラが
一枚の紙切れをヒラヒラさせながら訊ねる。

「ああ。これは福引券だよ。
 今、あそこの商店街じゃあこんなんやってんだな。」

「ふく・・・・・・びき・・・・・・けん・・・・・・・?」

どうやら福引というものを知らないようである。
横島クンも手振り身振りで表現しようとするがなかなかうまくいかない。

それなら実物を見に行こう!!
・・・・ということで商店街の福引会場にきた二人。


「おい!!忠ちゃん!!
 その娘はだれだい!?いつも来ているおキヌちゃんとは違うじゃないか?」

普段からお世話になっているスーパーの前で
突然おやじさんに声をかけられた横島クン。
おやじさんのその言葉にルシオラの額に『ビシッ』っと青スジが走る。

「イ、イヤダナア。オヤジサン。
 おキヌちゃんとはそんなんじゃナインダヨ。」

明らかに動揺して変換までおかしい横島クン。冷や汗もダラダラである。

「そうかい?おキヌちゃんを不幸にさせたらタダじゃおかんぞ!!
 おキヌちゃんみたいに良い娘はめったにおらんのだからな!!!!」

おやじさんとルシオラに『ギロッ』っと睨まれはしたが
なんとか無事くぐり抜けたと思ったら・・・・・・・



「ちょっと!!忠夫ちゃん!!シロちゃんはどうしたんだい!?
 あの子は本当に健気な娘でねえ・・・・・・忠夫ちゃんの事を先生、先生と。」

今度はめったに行かない(行けない)肉屋さんの前でおばさんに声をかけられた。
再びルシオラの額に『ドビシッ』っと青筋が走り
つないでいる手にギュウっと力がこもる。

(い、痛い・・・・・・・)
「イ、イヤダナア。オバサン。
 シロとはそんなんじゃナインダヨ。」

再び変換がおかしくなるほど動揺している横島クン。滝のような冷や汗が流れている。


・・・・・・とまあ心温まるイベントをくぐり抜けて
やっと福引会場にたどり着いた二人だった。

「ほら、これを回すんだ。金色が出れば一等賞だ。
 一等賞は・・・・・・・・なに!?ナルニアにペア旅行!?!?
 ・・・・・・なんで、あんなド田舎に?」

「へえ!!ナルニアってヨコシマの御両親がいるところでしょう?
 行ってみたいなあ。
 それで挨拶と共に一気に結納まで・・・・・・・ふふふふふふ。」

少しばかり危険な事を口走ったルシオラは意気込みながら福引器をまわす。


クルクル・・・・・・・・・コトン


青い球。

「あー。残念。
 一等賞じゃなかったみたいだな。でもハズレってわけでもなさそうだぜ。」

たしかにハズレは黒い球。では青い玉は・・・・・・・?

「おめでとうございます!!三等賞のコタツセットが当たりましたーーーーー!!」

「よっしゃーーー!!
 コタツかーーー!!これでこの冬、凍えずに済むぞーーー!!やったぁ!!!!」


さっそくコタツを横島クンのアパートへ運んで組み立てる二人。

「うーん、あったかい。ホントありがとな、ルシオラ。」

「ううん。こういうふうにコタツでゆっくりもいいわよね。」
(確かにナルニア行きは惜しかったけど、こんなのもいいかもね♪)

ほのぼの幸せな二人。
そこに開戦を告げる鐘が鳴り響く。


ピンポーーーーーーン


「こんにちは♪横島さん♪
 ひさびさに来ちゃいました♪上がっていいですか?」

おキヌちゃんである。
最近、横島クンのアパートへかよってご飯を作る役目を
ルシオラにとられた事もあって勝負を賭けにきている。


ガタン!!ガタン!!


「せんせえーーーーーー!!こんにちはでござるーーーーー!!
 今日は『ばれんたいん』という日でござるなぁ♪」

おキヌちゃんもそうだったがシロもまた
今日初めて横島クンのアパートに届いたはずのコタツに何の疑問も無く入る。

・・・・・・そのはずである。
おキヌちゃんもシロも商店街のおやじさんやおばさんから情報を得て
ここへ来たのだから。
当然、ルシオラと横島クンが二人で福引に来た事も
コタツを当てた事も知っているのである。

コタツに入っている形としては横島クンの右側にルシオラ。左側におキヌちゃん。
正面にシロといったところか。
とにかく、コタツの中での死闘はこうして幕を開けたのである!!



おキヌちゃんのターン

(ふふふ・・・・・・横島さんの隣に座れたわ。
 偶然、私の足と横島さんの足が触れ合って・・・・・・・
 『きゃっ!!』『ご、ごめん!!』・・・・・・なんてっ!!!!
 他の二人にばれない様にムードを作るのよ!!これしかないわ!!)

作戦を実行すべくおキヌちゃんの足が横島クンの足を狙って静かに動き出す・・・・・


ガシッ!!


(・・・・・・!?
 な、なにこれ!?!?足が動かない!!)

動かないのも当然である。
シロとルシオラの足がコタツの中でおキヌちゃんの足を
動けない様に封じ込めているからだ。

(ふふふ。甘いわよ、おキヌちゃん。
 私の目が黒いうちはそんなことさせないんだから。)

(甘いでござるよ、おキヌどの。抜け駆けは禁止でござる。)


もちろんコタツの上では

「これ、手づくりのチョコです。食べてくださいね。」とか

「拙者のは骨型チョコでござる♪昨日、徹夜で作ったんでござるよ!」とか

「チョコレートはよく分からないから、故郷の水を汲んできたの。
 気に入ってもらえると嬉しいんだけど・・・」

などという実に健全なバレンタインが展開されているのだが
コタツの下では壮絶な死闘が繰り広げられている事を横島クンは知らない・・・・・・


シロのターン

「あっ!?チョコをコタツの中に落としてしまったでござる!!
 先生、すみません。コタツの中に取りに入らせてもらうでござる♪」
(ふふふ・・・・・・
 甘いでござるな、おキヌどの。
 こういう場合はもっと積極的にいくのが吉でござる!!
 いきなり足に抱き着いて
 『わっ!?シロ、なにしてんだ!?!?』『秘密でござる〜♪』
 ・・・みたいなっ!!!!
 他の二人を寄せ付けないだけの勢いが大事でござる!!)

シロも作戦を実行すべくコタツの中に入っていくが・・・・・・・



ゲシ。



どこからか伸びてきた足がシロの侵入を阻止する。もちろん狙いは顔だ。

「ぐおおおーーーー!!足がぁーーーー!顔がぁーーーーー!!!!」

「どうしたんだ、シロ?足と顔がどうかしたのか?」

「な、何でもないでござるよ、先生」
(まさか先生の足を狙って、妨害されたとは言えないでござる。
 しかし、おキヌどのもルシオラどのもやる事がえげつないでござるな・・・・・・・)

(それにしても、シロちゃんも大胆な事をするわね・・・・・今度やってみようっと♪)

(・・・・・今のは危なかったわ、このシロって娘。
 子供だと思って油断してるとヨコシマを取られちゃうってことね!!)


ルシオラのターン

・・・・・・・・・・・・・・・なにもない。

なにもない!?!?

(おかしいわ!!何故、ルシオラさんは何もしないの!?
 何!?何をたくらんでいるの!?)

(いや・・・・・何かをしているはずでござる!!
 拙者の野生のカンがそう告げているでござる。
 しかし、足を動かしている気配はまったくござらん・・・・・・
 分からないでござる!!)


おキヌちゃんとシロは霊感を最大に引き出してコタツの中の気配を探っているが
不審な動きは一向に見つけられない。

・・・・・・おキヌちゃんとシロは気付かなかった。
コタツの外でルシオラの手が最初から横島クンの手をにぎっていた事に。



おしまい

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