ザ・グレート・展開予測ショー

片羽の蝶のつがい (後半)


投稿者名:KAZ23
投稿日時:(03/ 2/13)

<前半からの続き>


「もう〜・・・しょうが無いわね。でもね、やっぱりパパはパパなのっ♪」
「ほ〜た〜るぅ〜〜〜・・・」

その情けない表情は、とても当代随一のゴーストスイーパーのモノでは無かった。

「じゃあ、今日はこの辺で勘弁してあげる♪そのかわり・・・」

ふふふ・・・と小さく笑い、蛍は横島に交換条件を持ちかける。

「もう一回、今度はパパの方からキス・・・・・・し・て♪」
「!!!?☆」

耳元にそっと、息を吹きかけるように囁く。

「ほっ!ほったるさんっ?!!!」
「パパは私の事愛してないの?」

蛍が抱きついていなければ、間違いなく飛び上がっていたであろう位に驚愕する横島。
そんな横島に、蛍は彼の逃げ道を塞ぐ台詞を言った。

「いいいいい、いやな?けっしてそんな事はないんだぞっ?!!!だだだだだ、だがっ、だがなっ?!俺とお前は間違いなく父娘なんであってな?!父娘というのはそのようなことはしてはいけないと、それはもう決まっている訳であって・・・」
「私、知ってるもん。パパは、私が望むならそんな事気にしないって宣言したって・・・」

更に奥の手を使う蛍。

「だだだだだっ!?だれだっ?!それをいいいいい、言った奴はっ!?はっ?!西条かっ!?西条だなっ!?くっそーーーーっ!!!あんにゃろーーーーっ?!俺を陥れるのがそんなに楽しいのかーーーーっっ!!?」
「・・・・・・嘘なの?」

と、そこまで強気で攻めていた蛍が、瞬間寂しそうな、そして哀しそうな泣きそうな表情を見せる。

「ああっ!?こらっ?!まてまてっ!!嘘じゃない!それは間違いなく俺が言った事だ!お前が望むなら、そうさ!世間なんていくらでも敵に回してやるっ!!」

おそらくココが分岐点、そして阻止限界点だったろう。娘の巧妙な誘導に嵌まった横島は、そのポイントをあっさりと踏み越えて・・・

「だ、だがな?愛といってもだ!俺が求めるのはもっとこう・・・ほら、なんだ?互いに惹かれる父と娘は、結ばれぬとは知りつつもお互いがお互いの心を慮り・・・」

横島は必死に自分の考えを口にしていく。

「そこには形は無くとも確かに存在する愛!そう!純愛!!プラトニックラブ!!!例え体は触れ合わなくとも、美しきかなその崇高なる愛っ!!!ああ、なんて素晴らしい・・・」

元論それは既に遅すぎた訳で・・・

「私はパパに触れて欲しい・・・」

―― ブシューーーーーーーーッッッッッ!!! ――

傍目には致死量とも思える程の鼻血を噴出する横島。

「昔みたいに私を求めてよ、パパ・・・」
「ほたるぅ〜〜〜〜〜・・・俺を虐めて楽しんでるんだろぅ〜・・・お前はどうしてこう、ああっ!!」

横島は頭を抱えて嘆きだす。

「ルシオラの記憶が戻ってからのお前はどうしてこう、俺が困る事をするんだーーーーっっ!?」
「え〜?私は本当の事しか言ってないも〜ん!」

プゥっと可愛く頬を膨らませて、蛍はさも心外だと言いたげに言う。

「私、横島蛍には妹が4人います。名前は、令美(れみ)、絹華(きぬか)、朱(あかね)、珠洲(すず)で〜す。」
「こっ?!こらっ!?何を・・・」
突然全く別の話をはじめる蛍。

「でも、母親は全員・・・」
「だああああああああっっっっ?!!!!」

横島にとって、聞かれたら非常に困る事を暴露しそうになる蛍。

「なななな、なんてことを言い出すんだーーーっ!!?頼むっ!止めてくれっっ!!!」
「ブゥー!だから、キ〜ス〜!一回キスしてくれたら許してあげるって言ってるじゃない〜?」

駄々っ子みたいに口を尖らせてブーたれる愛娘を見て、横島はあらゆる抵抗が無駄だと悟った。今一番の解決法は、娘の要求を飲んで、直ぐにこの状況を脱出する事だと。その後の事はそれはそれで頭が痛い問題だが、ダラダラといつまでもこの状況を見られる事に比べたらナンボかましだろう。
ま、なんと繕った所で、横島は娘に負けたと言う事だ。

「じゃ、じゃあ一回だけな?」
「うん♪」

その瞬間、蛍の表情は咲きほころぶ花のように輝く。横島は娘に言い様に弄ばれている自分を嘆いた。

「ん・・・・・・」

瞳を閉じ、頤(おとがい)を反らせてジッとその時を待つ蛍。
全てを観念した横島は、さっさとこの地獄の時間を終わらせようと覚悟を決めた。

「・・・・・・ん」

顔を近づけ、そっと口付ける。
そして直ぐに離そうとして・・・

「ん〜〜〜・・・」
「ん〜〜〜?!!」

それは適わなかった。
蛍は首に回していた腕を少しだけ緩め、その手で横島の頭を抱え込む。そしてそのまま自分のほうにしっかりと引き寄せて、横島が唇を離す事を許さなかったのだった。
そして横島がその行動にビックリしている隙に・・・

「はむ・・・・・・ちゅっ、ぴちゅ・・・くちゅ・・・」
「!?☆!?☆!?☆!?☆」

唇の隙間から舌を差し入れると、まるで恋人同士のような熱く濃厚なキスを交わす。
横島はこの時、既に全ての思考が止まっていた。

「ん〜〜〜・・・・・・ちゅくっ、はぁっ♪」

たっぷりとその感触を堪能して、蛍は至福の表情でようやく横島を離した。
もはや、観客で引いていない者は1人もいない。
その後1分が経過して・・・

「・・・・・・・・・はっ!?ほほほほほほほほほほっ!ほったるぅーーーーーーっっっっ!!!!!?」

正気に戻った横島は蛍に詰め寄った。

「パパっ♪だいだいだ〜〜い好きっ♪」
「あーーーーっっ!!」

だが、幸せそうに自分にしがみ付く愛娘に、この男が言える言葉など何もない。
今日もまた、こうして彼は一歩づつ・・・
確実に人の道を外れていく。





この話は・・・

「今日はこのまま、腕を組んで帰りましょうね♪」

片羽の蝶のつがいが・・・

「は、ははは・・・俺は、俺は・・・・・・」

お互いにその身を寄せ合い・・・

「ついでだから、どこかでデートしていきましょうよ?」

共に空を飛ぶ・・・

「ははは・・・もう、なんでも来い・・・はっ、ははっ・・・」

そんな話・・・

「パパ、大好きっ♪」

・・・・・・・・・・・・なのだろうか?




今までの コメント:
[ 戻る ]
管理運営:GTY+管理人
Original GTY System Copyright(c)T.Fukazawa