ザ・グレート・展開予測ショー

世界はいつも流れて……(36)


投稿者名:リュート
投稿日時:(03/ 2/11)

「くっ!!」
「きゃああ〜〜!!」

 俺たちはシャドウの薙刀の一撃を横に避ける。

「ハイラちゃん〜〜!!お願い〜!」

 キイッ!!
 バシュシュシュ!!ドドドッ!
 ハイラの毛針攻撃がシャドウに炸裂すると辺りの風景が歪む。

「だめだわ〜〜!!ダメージを与えると令子ちゃんが死んじゃう〜〜!!」
「ちっ、なんて卑怯な野郎……いや、オカマだ!」
「さあ……どうするのかな?ホホホホッ!」

 どこかで俺たちを見て楽しんでやがる、ウマヅラごときがムカツクな……絶対後で、たこ殴りだ!! 
 ガウッ!!
 ヒョウがシャドウに飛びかかり、腕に噛みつく。

「そ、そうか〜!!令子ちゃんが自分で令子ちゃんをやっつければ……!」
「でもこっちの美神さんは圧倒的に不利ですよ!!なんとか加勢しないと……!!」

 そうこうしてる間に、ヒョウがシャドウに押されている。

「冥子ちゃん、他の式神は!?」
「ここは夢の中ですもの〜〜ハイラ以外は使えないわ〜〜!」

 ガ−ン!そうだった……

「この〜〜!!」

 おキヌちゃんがシャドウの右腕にしがみつく。

「横島さんも手伝ってー!!」
「了解!おキヌちゃんは、5秒後にシャドウから離れてくれ!」

 俺は文珠「鞭」を発動して鞭を作りだし、おキヌちゃんがちょうど5秒後に離れた途端に鞭をシャドウ目掛けて放つ。

「スキありだ!ヒートロッド……じゃなくて、これでもくらえ!!」

 俺の鞭はシャドウを絡めとり身動きを封じる。
 本当はこの後に、剣で斬りつけるんだけど今回は動きを封じるのが目的だからな。それにしても……『冥子様の為に!!』とか言ってみたいような……

「今です、美神さん!!」 

 ガウッルルルーッ!ガッ!!
 ヒョウが身動きの取れないシャドウの喉を噛む!
 バシュッ!!と音を立ててシャドウは消えた。

「やりましたね!」
「本当〜〜やっつけたわ〜〜」

 冥子ちゃんとおキヌちゃんが喜ぶ。

「でも、シャドウって霊力を形にしたものですよね。そのシャドウが無くなっちゃって、これから先、美神さんの霊能力は…?」
「大丈夫〜〜令子ちゃんが自分で封じただけですもの〜〜ナイトメアをやっつければ元に戻るわ〜〜」

 ガウッ!
 ヒョウが先の光りの扉を見て咆える。 

「こ……この階段は……!?」 

 その扉の向こうにはかなり長い階段があった。

「令子ちゃんの〜〜深層意識に通じる穴ね〜〜!あいつ、これに近づけまいとしたんだわ〜〜!!行きましょう〜〜!!冥子だんだん自信がついてきたわ〜〜!!」
「OK!あのウマヅラをボコボコにしてやるぜ!」
「私たちがきっと助けてあげますからね、美神さん!」

 俺たちは長い階段を降りはじめた。
 コツコツコツ……

「もうずいぶん降りましたけど…しんそーいしきってすっごく深い所にあるんですねえ」
「おキヌちゃんよくわかってないだろ。ま、無理もないけど……」
「しんそーいしきって何なんです?教えてください」
「深層意識とは普段は表に現れず心の奥深くに隠された本人にも良く分からない気持ちのことを言うんだ」

 俺はおキヌちゃんの質問に答えた。

「見て!」

 冥子ちゃんが下の方を指す。そこには上から光りが差し込む泉があった。

「あれが……令子ちゃんの深層意識の底……そうなのね?」

 ガウッ!
 冥子ちゃんがヒョウに聞くとヒョウはそうだと言うように咆える。
 そして、俺たちはその泉までやってきた。

「それにしても……かんじんのナイトメアは何所です?」
「変ね〜〜。この辺りにいると思うんだけど〜〜」
「ウマヅラさ〜ん!」

 おキヌちゃんが呼びながら泉の真中まで行く。

「おキヌちゃん気をつけて!何所にナイトメアがいるか分から……」
「きゃーーっ!!」

 ああ……遅かったか……
 おキヌちゃんの偽者が泉の中から現れて、おキヌちゃんの手を掴み泉の中に引きずり込もうとする。
 ガウッ!!
 俺が向かう前に、ヒョウが泉にジャンプする。

「かかったね……!」
 ヒョウがおキヌちゃんの偽者を爪で真っ二つにするが、泉の中から手が出てきてヒョウのシッポを掴み、泉の中に引きづり込んだ。

「美神さん!」
「し、しまった!!」
「令子ちゃ〜ん!!」

 俺たちが叫ぶがヒョウは水面に上がってこない。

「心の一部を切り離してボクの支配から逃がれるとはね……人間にしちゃあやるじゃない?でも、もうお終い!」
「このムカツクオカマ言葉は……」
「ナイトメア〜〜!!」

 ナイトメアは泉から姿を現す。

「これで美神令子の精神は完全にボクのものよ……この女はもう考えなくていい!!自分で夢をみる必要さえない!!赤ん坊のように安らかにじっとしているだけでいい!!これこそ本当の安心!!本当の解放じゃない!?フフフフフッ……ブヒヒヒヒヒッ!」

 美神さんが眠ったままなら、世界が平和になりそうな……気のせいか?

「令子ちゃん〜〜……こ、この〜〜!!…………え〜と、なんでしたっけ〜〜?」
「ウマヅラです冥子ちゃん……」
「ありがとう〜〜!……令子ちゃんを返しなさい〜〜!!このウマヅラオカマ〜〜!!」

 うわ、そこまで言いますか冥子ちゃん、ナイトメアが少し精神ショック受けてるぞ。

「げ、元気が良いわね……でもそこまでね。あんた達の死ぬ時間はボクが決めてあげるわ!フフフッ……」
「気をつけて〜〜!!心理攻撃が来るわ〜〜!!」
「お前達もきっと気に入るわよーっ!!」

 そう言ってナイトメアは紫色の光線をおキヌちゃん目掛けて放ちおキヌちゃんに直撃させる。
「きゃああ……ああ……」

 その光線が当たるとおキヌちゃんは凍ってしまう!

「「おキヌちゃん〜〜!!」」
「このコの心はボクが凍らせた。こうしておけば、後で食ってやるのが楽なのよ!」
「くっ……なんてことするの〜〜!!」
「もっとも幽霊の精神なんて美味しくもないけど……」

 お前、今のでおキヌちゃんファンの半分以上を敵に回したぞ。

「幻覚をみせて心の中にスキを作るのがあいつの心理攻撃よ〜〜!!ちょっとでもスキをみせたら、そこから心を凍らせちゃうのよ〜〜!!」
「もう遅いわよ!!」

 そう言って、今度は俺に光線を放つ。

「フィールド全開!!」

 俺は文珠「心壁」を発動させ、ATフィールド……じゃなくて赤いバリアを作り光線を防ぐ。

「なんだと!防がれたの!!くっ……それならこっちを!!」
「フンッ〜〜!!」

 狙いを俺から冥子ちゃんに変えて、光線を放とうとする。冥子ちゃんは心理攻撃に備えて心にスキを作らないように気合をいれた。

「バカめ!!お前の心が一番スキだらけなのよ!!」
「ああ〜〜っ!!」 

 ナイトメアが放った光線が冥子ちゃんに直撃する。
(冥子ちゃんの心の中)

「なっ……なんだこりゃ!?」

 バサラやビカラやマコラなど、落書きみたいに書かれたものが動いていた。

「あら〜〜あなたはだ〜〜れ〜〜?おほほほほ〜〜」
「ブヒヒ!!」

 今度は落書きの冥子ちゃんが現れる。

「あ〜〜分かった〜〜お馬さんね〜〜」
「え〜〜お馬さん〜〜?」
「本当だ本当だ〜〜」
「みんなでおでかけしましょう〜〜!」

 次に俺と美神さんとおキヌちゃんの落書きが現れて、ナイトメアの上に乗る。

「わ〜いわ〜い!!」
「ブヒヒヒン…ブヒヒヒンッ!!ブヒヒヒヒン!……はっ!……くっあああ……ブヒヒヒヒヒヒヒンンンン!!」

 あまりの状況に耐えきれず、パニックを起こすナイトメア。
(以上冥子ちゃんの心の中でした)

「あ……あたし……」 

 いきなりナイトメアが叫び出し、凍ってたおキヌちゃんが元に戻る。
 さすが冥子ちゃんの心の中、ナイトメアが精神ダメージをモロに食らってるな。

「ぜえぜえ、こ、こいつ怪しい術を……」
「え〜?私何にもしてないけど〜〜?」
「そうか……!式神を出してる間、こいつの精神からは常に強力な霊波が出てるのね……心理攻撃をかける間ボクも無防備になるから、こいつの変な心の風景がモロに逆流したのね……」
「し、失礼ね〜〜!!私は変じゃない〜〜!!普通よ〜〜!!」

 充分普通じゃないと思うけどな……

「ハイラちゃん〜〜!!やっておしまい〜〜!!」

 キシャーッ!

「おっと、こっちには人質がいるのをお忘れ?しかも人質は今じゃボクの忠実なしもべよ!」 

 ハイラの毛針攻撃を避け、ナイトメアは泉の真中で止まる。すると、ナイトメアの足元の泉から幼稚園と小学生と中学生と高校生の美神さんが現れた。

「あ〜〜!令子ちゃんが四人も〜〜!!」
「あ、悪夢だ……」
「フフフッ……君たちこいつらに勝てるゥー!?こいつらを殺せるゥー!?言ったでしょう!?美神令子の全てがボクのものだって!」
 
 なんてことをしてくれる、このウマヅラオカマ!美神さんが四人もいたら世界が崩壊するだろーが!!
 俺は思わず心の中でそう叫んでしまった。

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