ザ・グレート・展開予測ショー

帰ってきた横島 ―22前半―


投稿者名:KAZ23
投稿日時:(03/ 2/11)

「ん〜・・・」

あ〜、痛っ!痛たたたた・・・
私はベッドの中で顔をゆがめる。
どうやら昨日の酒がまだ抜けきっていないみたいね。ちょっとガンガンするわ。

「今、何時よ〜?」

私は枕元の時計に手を伸ばす。

―― 11:07 ――

「うがっ?!」

まだ5時間しか眠ってないじゃない!?かぁ〜
なんで、こんな時間に起きちゃったのよ?
あと、3時間・・・

「・・・・・・・・・って駄目じゃん!?」

思い出した。今日は事務所のメンバー全員で当たる仕事が有ったんだ。
11時って事は、ボチボチ起きないとやばいか・・・

「しゃーない。起きるか・・・」

私はベッドから起きあがると、上を引っ掛けて部屋を出る。
あ〜

「眠いのはなんとか大丈夫だけど、頭が痛いのが辛いわね。」

ひとまず、熱いシャワーでも浴びるかね〜
私は重い身体を引きずりながらシャワールームまでやって来た。

「へぇ〜、そんな事あったんだ?」
「そうなんですよ。本当に、おかしいでしょう?」

ん?
事務所のほうから・・・・・・おキヌちゃんと横島クンの声だ。
先に挨拶しとくか・・・

―― キィー ――

「あ、おはようございます美神さん。」
「おはようございます。」
「おはようでござる。」
「おはよ。」

シロにタマモも居たか。まあ、当たり前っちゃあ当たり前なんだけどさ。

「ん〜・・・みんな、おはよ〜」

あ、駄目。話すだけで響く・・・

「なんだか辛そうっすね?昨日は遅かったんですか?」
「とりあえず、7時の時点では帰ってきてましたよね?」

横島クンとおキヌちゃんが心配してくれてる。

「お酒臭いでござるな?」
「二日酔い?」

シロとタマモも一応、心配してくれてるみたいだ。

「西条さんの紹介で仕事だったのよ〜・・・だいたい明けたのが3時前くらいだったかな?そのあとでお酒飲んで帰ってきたの。ココに着いたのは朝6時くらいかな?」
「大丈夫ですか?もう少し眠った方が良いんじゃないですか?」

おキヌちゃんがそう言ってくれる。
私もそうしたいんだけどね〜

「酒って・・・西条とですか?」

あれ?
なんだか横島クンの顔が・・・
おや〜ん?
これはひょっとすると・・・・・・・・・・・・アレ?

―― 嫉妬? ――

「フフ〜ン♪あら、なあに横島クン?西条さんとだと何か問題あるの?」
「くぅ〜っ!美神さんっ!!やっぱり西条となんすかっ!?西条となんすねっ?!」

あ〜・・・横島クンが泣いてるわ。これってやっぱり嫉妬なのよね?
フフフ。なんだか気持ち良いーーーーっっ!!
前はただ鬱陶しいだけだったけど、なんだかすっごく良い気分♪
そっかー♪横島クンが私と西条さんの仲に嫉妬かぁ〜♪

「フフフフフ・・・・・・そうねぇ。西条さんと一緒だったわよ・・・朝までね♪」
「ヌガアーーーーーーーーーンッッ!!!?☆」

あ、真っ白。

「畜生、畜生、ちくしょーーーーっっ!!!西条なんていい年こいてロンゲしとる、一歩間違えれば怪しいおっさんやないかーーーーっ!?なのに美神さんと朝までしっぽり・・・・・・畜生、畜生、ちくしょーーーーっっ!!!」

ああ、もうっ・・・・・・別になんでも無いのに。
フフフ・・・
ま、この辺で安心させてあげようかな?

「フフ、大丈・・・」
「せんせい!ならば拙者と行くでござるよ♪」

なんだとーーーっっ!?

「せんせいは2人でお酒を飲みたいのでござろう?それならば拙者と行けば良いでござるよ♪」
「あのなぁ〜・・・お前はまだ子供だろうが?酒なんぞ飲めんだろうが?行ってどうする?」

そうよ、シロッ!アンタがお酒なんか飲んで良いと思ってるのっ!!

「キュ〜ン。せんせいは拙者と2人で行くのは嫌でござるか?」
「ああっ!?こらっ?!そんな泣きそうな顔をするんじゃ無いっ!!誰もそんな事言っとらんだろうがっ!?」

シ〜〜〜ロ〜〜〜っっ!!!
アンタいったい、いつの間に泣き落としなんて使えるようになったのよっ!?

「あ〜、分かったから。そのうち一緒に飯でも食いに行こうっ?なっ?なっ?」
「せ〜ん〜せ〜♪拙者、嬉しいでござる〜♪」

しかも、そこまであっさり変わり身するのかーーーっ!?

「シロばっかりずるい。」
「タ、タマモッ?!」

ああっ!?タマモっ?アンタまでいったい何を言う気っ?!

「私もヨコシマと一緒にご飯食べに行きたい。」
「お前も奢れってか?!」

アンタッ?!しっかりと「ヨコシマと一緒に」の部分を強調したわねっ!?
しかも横島クンってば、その辺全然分かってないしっ!!?
あ、タマモがちょっと落ち込んでる。

「ふふ・・・私もいいですか?」
「おキヌちゃんまで?・・・しょうが無いなあ。じゃあ近いうちにみんなで行くか〜」

おキヌちゃんの顔はとてもにこやかだ。にこやかなのだが・・・
目が笑ってない。あれは、口ほどに物を言っている。
なんてって?

―― 抜け駆け禁止 ――

シロもタマモも顔が引きつっているわね。なんていうか、こう言うときのおキヌちゃんの迫力ってちょっと尋常じゃ無いわ。
私も気をつけないと。

「ほらほら、いつまでも馬鹿やってないの。今日の相手はかなりの相手なんだからね。しっかり準備しておきなさいよ?」

さりげなく、話題をすり替えて・・・

「あ、俺らはもう準備OKっすよ?あとは美神さんだけっす。」
「うっ!」

そうだったわね。

「あ〜・・・じゃあ私はシャワー浴びてくるから、もうちょっと待っててね。」
「あ、はい。それじゃあ美神さんが出てくるまでにもう一度道具のチェックしておきますね?」

おキヌちゃんの返事を背中で聞いて、右手をヒラヒラさせながら部屋を出る。

―― バタン ――

あ〜
さっさと浴びてくるか。やっぱり熱いシャワーって良いわよね〜
ん?シャワーか・・・・・・
そう言えば、最近は横島クン覗きに来ないな〜
ちょっとつまんないかも。

・・・・・・・・・・・・

はっ!?
コラコラコラコラコラーーーーッ?!!

「何を考えてとるか、私はっ!?」

昔の横島クンの妄想じゃあるまいしっ!!
イカン!さっさと浴びてこよう。
私は急いでバスルームへと向かう。顔が赤いのはお酒が残っている所為だけじゃ無いのだが、その理由は絶対に秘密だ。

・・・・・・・・・・・・




「ふぅ〜・・・」

一通り目にしてから、私は重いため息を吐く。
めぼしい書類を全て一箇所に集めて回り、その多さに辟易としていた。

「思った通りだったわね。」

いえ・・・

「思った以上だったわね。」

上に立つ人間として常に冷静さを保ち続けてきた私は、並大抵の事では感情を乱されることは無い。時には自分で自分の事を嫌になる事があるくらい、現場での私は冷たい女だ。
そんな私が

「これ程までに怒りを感じるだなんてね。」

ある意味、新鮮な感じだ。
私は先程ざっと読んだファイルの中身を思い出す。

『被験体、ヨコシマタダオの記録』
もともと人間の男だったが、魔族の霊基構造を取り込んだことにより特殊な生物へと変化。現在はほぼ人間と言っても良い特性しか持たないが、いずれ半人半魔という貴重なサンプルへと変化する可能性有り。

『文珠 ―ヨコシマタダオの特殊技能―』
被験体の持つ特殊技能『文珠』は、あらゆる意味で現行の兵器を上回る性能と、更なる可能性を秘めている。だがしかし、その発現プロセス解明は困難を極め、被験体との契約期限は終了。プロジェクトチームは解散に至る。ほぼ成果無し。

まあ、この辺は上で見た資料とあまり変わらない。
ただ、横島君が協力したっていう心霊兵器研究チームのファイルは、少なくても彼を人間として見ていたのにね。
ここのファイルは全て彼をモノ扱いしている節がある。さっきの男の趣味か・・・

―― そして ――

『ヨコシマクローン計画』




<後半へ続く>

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