彼女との関係・後編……の後編(2)
投稿者名:稀有
投稿日時:(03/ 2/10)
泣いて笑って、そして時に怒って。
彼女は呆れるくらい、元気に成長していった。
『彼女との関係・後編……の後編(2)』
−Good night , dance in the dream !−
そして、二人は次の部屋である『悪魔の間』へと進む。
ごつごつとした岩や、まばらに生えている枯れ木。殺伐とした空気が流れている、その部屋はまさしく魔界をイメージしているのだろう。
しかし、アトラクションとして機能しているはずの部屋には、肝心の霊力を封じる魔方陣が存在していなかった。
つまり、そこは敵がいるという証拠。
「……おい、そこにいるんだろ?
出てこいよ」
部屋に入ってすぐに、横島は前方に見える岩山に声をかけた。
あからさまに存在を主張している霊気。
誰だかは知らないが、殺気というよりは闘気をこちらに向けている。
「…………」
音もなく現れた人影。
暗い照明のせいで正確には判別できないが、お面のようなモノをつけているのが分かる。
「誰だか知らないが、GS相手に攻撃するなんて、大した度胸だな」
「…………」
挑発じみた横島の言葉にも、相手は無言のまま。
だが、気にせずに横島は言葉を続ける。
「はっ。だんまりもいいけど、次に話すときはGメンの取調室で今回の事件の顛末をゲロするときになるんだぜ?
ちょっとは愛想のいい返事でもしてみろってーの」
実は、横島の言葉は相手を挑発していると同時に、時間稼ぎにもなっていた。
意識下にある、「文殊の元」となる霊気を静かに練り上げる。
その数、実に十七個。
あらゆる事態に対応できるよう、ひのめを自分の後ろに庇いつつ、いつでも文殊を発生できるように構える。
「お前を……コロス」
横島の様子に気付いたのか、相手も銃――無論、霊銃の類だろう――を腰のホルスターから取り出す。
次の瞬間には、闘いが始まっていた。
かっ――――!
莫大な霊気を内包した銃弾を『弾』の文殊で相殺する横島。
ひのめに、『守』『護』の文殊を放ると同時に、相手へと向かう。
銃弾を避けるように、巧みに走りながら、横島は文殊を生成した。
「そらっ!」
『爆』の文殊が相手を襲う。
しかし、機敏な動作でそれを避けると、横島に向かって正確に三連射する。
「ほいさっ!」
無論、黙ったままそれを食らう横島ではなく、サイキックソーサーで受け流すようにはじいた。
再び、距離が離れる。対峙する二人。
横島は闘いの最中にも関わらず、笑みを浮かべた。
「なかなかの腕前」
「…………」
静寂が辺りを支配する。
今までの闘いの一部始終を見ていたひのめは、ただ呆然と見ているしかなかった。
話で聞いていたGSの闘い。
そして、生で見たGSの闘い。
その差に、ひのめは驚いていた。
「す、ごい……!」
そして、再び始まる闘い。
それは、激戦の様相を呈していた。
「ああ、もう! 何やってんの、ワルキューレは!
アンタなら一撃で横島を塵にできるでしょーがっ!!」
塵にしてしまったら流石にまずいのだが、とりあえず美神はそんなことはお構いなしに、モニターに怒鳴っていた。
「み、美神さん……」
おキヌもついていけずに控えめな声を出すだけ。
そこに、今まで静観していた美智恵が救いの手を差し伸べる。
「令子」
「なに、ママ!」
殺気を放ちかねんばかりの形相で振り向く美神。
自分の立てた作戦を横島が慌てた風もなくクリアしていく様子に、些か(控えめな表現)ご立腹らしい。
だが、そんな娘の様子に気にする素振りもなく、美智恵は一つの提案を出した。
「それなら、貴女が行けばいいんじゃない?」
「え?」
意外な盲点だった、と言わんばかりの美神に、さらに美智恵が言葉を重ねる。
「ほら、貴女って例の大戦の時に横島クンに負けているじゃない。
その時の借りも返す、ってことで行ってくれば?」
ニコニコと笑いながら喋る美智恵。
とんでもないことを抜かしているのだが、残念ながらそこには誰もつっこんでくれる人物はいなかった。
「そう……そうね。
なんかスッキリしないと思ったら、アイツを直接しばいていないからか……
フフフ……おキヌちゃん、神通根を出して」
心底楽しそうに用意を始める自分の娘を尻目に、静かに美智恵は微笑んだ。
――シナリオ通りに進んでるわ。後は、横島クンがどこまで頑張れるかね……
現役GS最強の策士によって、さらに混迷していく事態。
果たして、横島とひのめの運命は――!?
というわけで、次回に続いちゃったり。
今までの
コメント:
- まだ続きます。
あと二回の予定なのですが……どうでしょうかねー?
終わるかどうか不安です。 (稀有)
- シリーズ前半のラヴコメ的雰囲気とは違った緊迫感溢れるバトルシーンに感嘆しております(爆)。しかし、まさか横島クンが自分が戦っている相手があのワルキューレだとは思わないでしょうね;既に彼女と半ば互角に戦っているあたりがスゴイですが(笑)。しかもひのめちゃんを庇いながらの戦闘ですし。事態を収拾したいのか、悪化させたいのかイマイチ判全としない美智恵ママが「らしい」と思いました。そしてもう一方の令子ですが、うしろや隅で色々と指示を出す様もいいですが、やはり彼女は自ら手を下す方法のほうが似合っている気がします。「因縁の対決」の行方やいかに? 次回も楽しみにしております♪ (kitchensink)
- 横島かっちょえぇ・・・
ワルキューレと互角ですかい。そいつはビックリですな。
美神母の策略がここでも炸裂!
いったい娘を何処に向かわせようとしているのか・・・ (KAZ23)
- できることならば、長女に愛想をつかした母による長女抹殺計画を希望。(何か美神長女に恨みでもあるんでしょうか?私は・・・)
ひのめと横島の二人の愛の力によって倒される悪の根源である某極悪守銭奴駆逐作戦でもよろしいことかと(何が?)
決闘ですか・・・あの守銭奴に横島君が手を出せるかが微妙な所ですが・・・ひのめちゃんとの未来のためにもっ(謎) (veld)
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