ザ・グレート・展開予測ショー

ドッグス オア ウルヴズ?(4)


投稿者名:MAGIふぁ
投稿日時:(03/ 2/10)



 これは事務所にシロが帰ってきた時のお話。



 「ただいまでござるー!」

 ドアを開け、大声でただいまを言うシロ。黙って里まで行って来てしまったので心配をかけただろう皆に元気な姿を見せようという心遣いだ。

 「シロちゃん!?」

「どこで迷子になってたのよバカイヌ!心配して保健所に電話しちゃったじゃない!」

「シロ、今までどうしてたんだ?」

だだだだ…と足音を立ててやってきたおキヌ、タマモ、横島は口々に…若干一名は素直じゃないが、心配していた事を伝え、何をしていたかを聞く。

「心配をかけて申し訳なかったでござる。拙者、長老に聞きたい事が出来て里帰りをしていたのでござるよ」

「聞きたい事?」

タマモのセリフの保健所という単語が少し引っかかったものの、横島とおキヌに説明する事が先だと思って押さえるシロ。

「忘れたのでござるか、タマモ?お前が拙者の名前をバカにしたのを…里に帰って聞いてきたのでござる!拙者達は間違いなく人狼で、犬では無いでござる!!」

どうだとばかりに胸を張るシロ。そんな事で…と呆れる横島とおキヌ。そしてタマモは…

「へ?………あ〜あ〜、そんな事もあったっけね〜」

少し考えてポン、と手を打ってそう言った。どうやら忘れていたらしい。

「…ってホントに忘れていたのでござるか!」

「うん」

こくり、と頷くタマモ。

話の本筋には関係が無いが、それを見た横島が「う、ちょっとカワイイ」と口にしてしまい、おキヌに睨まれていた。

「うがぁ〜〜!!拙者はそのせいで改名まで考えたというのに、何で忘れるんでござるかぁ〜!!」

「落ち着け、シロ!事務所でケンカしたら後で美神さんがっ…」

「ま、まぁまぁ…シロちゃん落ち着いて」

タマモに襲いかかろうとするシロを2人で押さえる横島とおキヌ。平然とそれを見ながら話しを続けるタマモ。

「ふ〜ん。で、結局なんて改名したの?狼塚とかだったら笑うわよ?」

「ぐ…」

「図星?」

「違うでござる!拙者は犬塚のままでござるっ!……父上の残してくれた名字をそんな理由で変えてはならんと長老に叱られたでござるよ……」

長老に止められていなかったら狼塚と名乗るつもりだったシロは、あらためて長老に感謝した。

タマモは、シロも自分と同じく天涯孤独の身の上だと聞いた事があったのを思い出して、ちょっと気まずかった。

だから、いい事を教えてあげようと思った。

「ふ〜ん…でも、逆に言えばちゃんとした理由があったら名前を変えてもいいって事よね?」

「ちゃんとした理由って…例えば?それに拙者犬塚の名を捨てる気は…」

「横島って名前ならどう?結婚するって理由なら、多分ダメって言われないと思うわよ」

悪戯を仕掛ける時の笑みを浮かべてタマモがそう言った。

しばらく、沈黙があたりを支配する。

しーーーん…

そして、時が動き出す。

「オレかっ!?」

「タ、タマモちゃん、何を言ってるの!?」

「先生と拙者が……ウォォォ〜〜ン!!せ、先生っ!拙者を横島シロにっ…」

シロが横島に決定的な一言を言おうとしたその時。

「あ〜〜〜も〜〜〜〜うるっさい!!昨日は遅くまで仕事だったんだから静かにしてろって言ったでしょうが〜〜〜!!!」

自室の方から現れた、パジャマ姿に上着を羽織った美神令子の不機嫌そのものの叫びが邪魔をしたのだった。

狙ってかどうかはわからないが。

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