ドッグス オア ウルヴズ?(3)
投稿者名:MAGIふぁ
投稿日時:(03/ 2/ 9)
これはシロの話を聞いた後の里の長老のお話です。
「………………シロよ……」
「はい」
突然帰ってきたので何事かと思ってみれば……何を考えているのだシロよ……
自分達は本当に人狼なのか?実は人犬ではないのか?この里の者に犬の名を持つ者が多いのはそのせいではないのか?
いきなりそう問われた時は驚いたが、何故そう思ったのか聞いた所、友人(本人は友人ではないと否定していたが)に犬とからかわれて口論したから、と聞いた時はむしろ微笑ましく思った。
あの時の一件で体は成長はしたものの、心はまだまだ子供なのだな……と。だが、シロは続けてこう言ったのだ。
「と、いうわけで拙者改名したいと思うのでござるが、許可していただけるでござるか?」
冗談ではない。何でそうなるのだ。改名したところでどうなるというのだ?
「何故、改名したいなどと…」
「犬塚でなく、狼塚と名乗れば犬呼ばわりはされずにすむからでござる!」
…………………………………犬塚よ。お前、娘の教育間違ったぞ。絶対。
何やら力が抜けて行っているが、気力を振り絞って立ち直る。
さて、まずは我らが狼の末裔である事から説明してやるか……
「シロよ。改名などする必要は無い。我々は間違いなく人狼だ…忘れたのか?フェンリル狼に変じた犬飼の事を」
「あ…」
人間達から霊力を狩り集め、潜在能力を解放して先祖帰りを起した犬飼はフェンリル狼になった。我々が大神(狼)の末裔であるという紛れも無い証拠である。
シロもそれに思い至ったのだろう。目をキラキラさせて、喜んでいる。
「では、拙者はやはり犬ではないのでござるな!良かったでござる!」
「それに名字に犬の一字を入れた家が多いのは……ぶっちゃけた話、狼という文字が名字に使い難かっただけじゃ」
「…そ、そうだったんでござるか…」
「うむ。納得してくれたようじゃな。……所でシロよ」
「何でござるか?」
顔を見れば分かる。こやつは何も分かっていない。だからこそ説教をしてやらねばならない。
「改名をする、という事は犬塚という名字を捨てると言う事だ。それが分かっているのか?」
「あっ……す、すみませぬ!拙者そこまで考えていなかったでござる!」
そう指摘すると、シロは顔色を変え、あわてて正座しなおして頭を下げた。
「うむ。わかればいいのだ。だが、お前は親一人子一人だっただろう?お前がそんな理由で犬塚でなくなってしまっては父親に申し訳がなかろう」
「…ごめんなさい…」
頭を下げたまま、もう一度謝るシロ。うむ、本当に反省しているようだし、説教はこの辺でよかろう。
「これからは、よく考えてから行動する事も覚える事だな。……ところで久しぶりに帰って来たのだ。ゆっくりしていくのか?」
「いえ、事務所の皆には黙って来たので…その、心配しているかと…」
「……本当に考えてから行動に移すようにした方がよいぞ、シロ……」
仇討ちだと里を飛び出していったまま、無鉄砲な所は直っていないようだな…やれやれ。まだまだ子供、か…
あ、そうそう忘れるところだった。これだけは言っておかねば。
「ああ、シロ。今度来る時は土産を忘れるでないぞ。ドッグフードが良いな」
それを聞いたシロは何故かコケていた。
今までの
コメント:
- シロも十分にギャグ体質なのですが、人狼の里の長老も似たり寄ったりですね(謎)。「犬」と言う言葉に過敏に反応して改名するとまで騒ぎ出すシロ、そしてそれを半ば呆れながらも冷静に諭す長老の様子が共に「らしい」と思いました。しかし、せっかく「犬ではない」と説得したのに言ってる側から「ドッグフード」をねだったら説得力ゼロですね(笑)。これで一応はシロも元気になったのでしょうか? 次回も楽しみにしております♪ (kitchensink)
- 俺もコケタ。
椅子から
転げ落ちた。にゃはは。 (トンプソン)
- kitchensinkさん毎度ありがとうございます。
「長老…拙者達は本当に犬では無いのでござるな?」とシロに呆れさせるよりもオチとしてコケさせる方を選んだんですが、分かっていただけたようで。
トンプソンさん、古参の大物の一人のコメントをいただけた事で目標の一つは達成です。ありがとうございます。
さて、最近お見かけしないシロ好きのあの人のコメントが貰えれば目標達成なんですが…どうなるかな? (MAGIふぁ)
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