ザ・グレート・展開予測ショー

ハンター2


投稿者名:運値
投稿日時:(03/ 2/ 8)

何故あの時、彼はその布を持って来てしまったのか。

自問自答

自己嫌悪

後悔

様々な思いに囚われ、横島は自分のアパートで硬直していた。

クルクル回る頭の中で、その布切れの臭いを思い切り吸い込みたい自分がいる。

(いや、駄目だ。これは罠だ!)

理性

自制心

植え付けられた倫理心


思考の渦に呑まれ、意識が飛ぶ。

「……ハッ!!!」

気がつくと白い布と顔が零距離になっていた。


…結局、横島という男には上記の精神より煩悩の力の方が強かったのであった。


鼻腔からつき抜ける芳しき衝撃に身を仰け反らせる。

首をガクガク震わせる。

体が徐々に傾いていく。

景色が歪む。





次の瞬間、横島は意識を手放した。









横島が意識を失った瞬間を見計らって2つの人影が部屋に忍び込む。
片方は、先ほどの無線でダンピールと呼ばれた青年。
もう一方は、大柄で迷彩服を着込んだタイガーと呼ばれた男。
2人は横島の状態を確認した後、彼を布団に横たえて枕元にメモを残す。
そして、彼が握っている布切れを回収すると、無線で連絡する。

「横島さんの処理が終わりました。やはり彼は、僕等と同じ道を選んだようです」

その声は何処か沈んでいた。
しかし、その声に無線の向うの主は冷ややかな声で告げる。

「ふん。今更、常識人ぶるなよ兄弟。俺もお前も一皮向けば…な?」
「…クッ!?」

ダンピールは無線を荒々しく切ると、もう一人の片割れに告げる。

「タイガー、目的は果たしました。撤収しましょう」
「そうじゃのー」

二人はもう一度室内を見回し、そそくさと退室する。


後に残るは静寂。








翌日、横島が起きると枕元にメモ用紙が落ちていた。

『ようこそ、ソックスの世界へ』


「これは…昨日のは夢じゃなかったのか?」

当惑

混乱

しかし、次の瞬間、彼は笑っていた。

「くっくっく、あーはっはっは……」

笑い声が次第に大きくなっていく。

彼は知ってしまった。昨日までの人生に楽園なんて無かったことを。
自分が知っている、否、昨日まで知っていた世界は紛い物だと。
彼はついに自分の求めていた世界に足を踏み入れたのだ。

これから進むは修羅の道。

あらゆる風を体に受けて、それを押し退け進むが漢

これが漢の生き様よ!!


この瞬間、真の楽園を求め、この世界に、また新たなソックスハンターが誕生した。

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