ザ・グレート・展開予測ショー

世界はいつも流れて……(35)


投稿者名:リュート
投稿日時:(03/ 2/ 8)

 親父の来襲から数日後、今日も学校が終わりいつも通り事務所にやってきた。

「おキヌちゃん、すまないけど何か飲み物をくれ!」
「紅茶でいいですか?」

 事務所に入った俺は飲み物をおキヌちゃんに入れて貰い、テーブルで寛ぐ。

「う〜ん……紅茶が美味しい……ところで冥子ちゃん。今日の仕事の予定はありませんか?」
「え〜っと……今日は何もありませんわ〜〜」
 
 それじゃ、今日の仕事は書類整理と式神の散歩かな……
 プルルルルルル!
 俺が今日の予定を考えてると、隣の部屋の電話が鳴る。

「私が〜〜出てきますわ〜〜」

 冥子ちゃんが部屋を出ていく。

「もしかして、仕事の電話でしょうか?」
「さあ、どうかな……」

 俺とおキヌちゃんが話していたら……
 バタン!
 勢い良く隣の部屋のドアが開く。

「横島くん、おキヌちゃん〜〜、れ……令子ちゃんが……」
 
 そこには泣き顔の冥子ちゃんがいた。
 まずい、あの顔は暴走寸前!

「令子ちゃんが〜〜!!除霊に失敗して原因不明の昏睡状態になっちゃったの〜〜!!!」
 
 ドコオオオオオオオオンンン!!




「……で、落ち着いた?」
「うん、ありがとう横島くん〜〜……」

 何とか冥子ちゃんを宥めて暴走を止めたが……死ぬかと思った。

「それで、美神さんの身に何があったんですか?」
「それが〜〜、さっき病院から電話があったんだけど〜〜、ナイトメアを除霊していた令子ちゃんが〜〜除霊に失敗しちゃって〜〜原因不明の昏睡で入院してるの〜〜」

 おキヌちゃんの質問に目を潤ませながら答える冥子ちゃん。

「ナイトメア……なるほど、あの精神寄生体の悪魔か……」
「そうなの〜〜!!」

 あのウマヅラ野郎か……厄介だな……

「あの〜!ナイトメアって何なんですか?」
「ナイトメア……人間の夢に寄生して精神エネルギーを食らう悪魔。一度とりつかれたら祓うのは至難の技だと言われている。以前倒したパイパーと同じように高額の賞金がかかった強敵だよ」

 俺はおキヌちゃんの質問に答える。
 さて、どうするかな……

「とりあえず、病院へ行って美神さんの様子を見に行きましょう!」
「ええ〜!」
「そうですね……」
 
 俺達は病院へ向かった。




「うう〜〜……令子ちゃ〜ん……」
「この人は除霊中に突然倒れ、もう2日も寝ております。医学的には全くほんっとーーに何も異常がない健康体です。あらゆる検査をしましたが、ただ眠っているとしか考えられません。」

 眼鏡をかけた白髪の医者が眠っている美神さんを見ながら言う。

「医学的な意味での病気じゃないから当然だな。こんなもの必要ないよ!」
「ああっ現代医学の最後の砦が……!!」

 俺が美神さんに取り付けてある医療器具を外すと医者が激しく反応する。
 そういえば、このおっさんは現代医学以外何も信じない医者なんだよな……

「確か、冥子ちゃんの式神ハイラには夢の中に入る能力があったよね。あれならナイトメアと戦えるんじゃないか?」
「……出来るけど〜〜私〜……自信無いわ〜〜……」

 冥子ちゃんが自信無さげに言う。

「大丈夫ですよ!!冥子さんならきっと……!!ねっ、横島さん!!」
「そうですよ冥子ちゃん……貴方なら美神さんを救うことが出来ます!」

 冥子ちゃんは俺たちの言葉を聞いて、真剣な表情になりグッと握りこぶしを作る。

「……分かったわ〜〜横島くん、おキヌちゃん〜〜!!今は私がしっかりしなきゃいけないのね〜〜!!冥子やる〜〜!!令子ちゃんみたいに強くなるわ〜〜!!」

 おお……冥子ちゃんが燃えてる……しかも瞳に炎が……
 その後、何故か白衣着を着て手術室で除霊することになった。

「なんでだ?」
「これは手術だ!!白衣着て手術室でやるのは当然だ!!現代医学は霊能力に敗北なんかしていないっ!だからセーラー服じゃなく白衣を着てるんだ!!医学は……医学はああ!!うぐぐ……」

 キュキュキュ!

「おっさん、うるさい……」

 俺は酸素マスクを吸っている医者の酸素ボンベを閉にする。すると酸素が送られなくなって医者が倒れた。

「では〜〜、ただ今から難度S〜〜、精神寄生体ナイトメアの除霊処置を始めるわ〜〜。令子ちゃん……必ず助けてあげるわよ〜〜!!ハイラちゃん〜〜出ておいで〜〜!!」

 冥子ちゃんの影からハイラが現れる。

「これからみんなで令子ちゃんの夢の中に入ります〜〜!!行くわよ〜〜!!」
「了解!」

 俺が返事するとハイラが俺の頭の上に乗る。すると、目の前の光景が牧場に変わる。
 ハイラが1匹ハイラが2匹……あ、しまった……ついでにベットで眠れば良かった……
 俺がそんな事を考えていると、急激に眠気が襲い眠ってしまった。

「次は私たちよ〜〜!!おキヌちゃんは私の霊波とシンクロしてついてきてね〜〜!!用意はいい〜〜!?」
「はいっ」

 冥子ちゃんがハイラを頭に乗せ眠るとおキヌちゃんとハイラが消える。

「謎だ……現代医学でも解明できない謎だーー!!」

 そして、一人取り残された医者は頭を抱えて悩んでいた。



「ここは……!?」
「心配しないで〜〜!ハイラの精神感応力で私たち同じ夢の中に入るところよ〜〜。ほら見えてきた〜〜。あれが令子ちゃんの夢よ〜〜!!」

 上も下も分からない奇妙な空間の先に光りが広がる。
 ドサドサッ! 
 その光りを潜るといきなり重力のある空間に出て地面に落ちる。しかも俺が先に落ちた為俺の上に冥子ちゃんが落ちる。
 ううっ、痛いッス……冥子ちゃん、俺の背中からどいて………

「着いたんですか!?」
「ええ〜!でもここはまだほんの入口なの〜〜!あの建物が令子ちゃんの心らしいわね〜〜あの中のどこかにナイトメアがいるわ〜!見つけ出してやっつけるのよ〜〜!!」

 冥子ちゃんが指す方向には、無茶苦茶大きくて強固な城があった。
 おおおっ……何やらバトルの予感かも……

「このお城は令子ちゃんの精神構造がイメージ化したものなのよ〜〜。あの中のどこかにナイトメアがいるわ〜〜」
「美神さんの心かあ……さすがにガードが堅そうだな……どうやって中に入るんですか?」

 まあ漫画の通りなら……

「大丈夫よ〜〜令子ちゃんは友達ですもの〜〜」

 そう言って冥子ちゃんは大きく息を吸う。

「れ〜〜い〜〜こ〜ちゃ〜〜ん!!入〜〜れ〜〜て〜〜!!」

 しーん……何にも起こりませんね……

「ひどい〜〜、私たちの友情はウソだったの〜〜!?」
「あの女がそんな簡単に他人に心を開くわけないと思いますが……」

 俺はショックを受けている冥子ちゃんに言う。
 その時……
 グルルルルルルウウッ……!!
 後ろから聞こえた唸り声に振り向くと、そこにはヒョウがいた。

「うひょー!ってシャレ言ってる場合じゃないようですね」
「ハイラちゃん〜〜!!」

 ガウッ!
 ギギギギギッ!ズズンッ!

「え……ハネ橋がおりた……!?」

 俺たちがヒョウに警戒しているとヒョウが咆える……すると、城のハネ橋がおりた。

「……!ひょっとしてこのコ〜〜……令子ちゃん〜〜!?令子ちゃんなのね〜〜!!」
「えっ!?そうなんですか!!」

 そうなんだよ、おキヌちゃん。
 すると、ヒョウは冥子ちゃんに飛びつき顔を舐める。

「やっぱりいい〜〜!!令子ちゃんだわ〜〜!!ナイトメアにとりつかれたとき、心の一部を切り離して助けが来るのを待ってたのよ〜〜!!」
「これが、美神さんですか……かなり変わりましたね……」

 ヒョウかあ……美神さんらしいな……

「正確には令子ちゃん本人とは少し違うから〜〜でもこれでかなり有利になったわ〜〜」
「ついてこいって言ってるみたいですよ」

 前に立ったヒョウが俺たちを振り向き、また歩き出す。

「行きましょう〜〜ナイトメアの居所に案内してくれるわ〜〜」

 中に入ると、黒と青が混ざった色をした変な空間だった。

「外から見たときはただの城壁だったのに……」
「中は不思議な所ですね」
「はぐれないでね〜〜人間の心は複雑で危険なジャングルみたいなものよ〜〜迷ったら出られないから〜〜」

 しばらく歩くと、ドアが沢山ある場所に出る。

「うわ〜!ドアがいっぱい〜!」
「令子ちゃんの記憶や思考が中に入ってるのよ〜〜プライバシーだから開けちゃだめよ〜〜」

 もしかしたらこの中にメフィストの記憶とかも入ってるかもな……

「ん?こっちのドアは絶対立入禁止になってますよ!」

 おキヌちゃんが指すドアには『関係者以外絶対立入禁止』と書かれたドアがあった。

「ここはあまり関係無いし、さっさと先に行きましょう!」

 俺たちが先に進もうとすると……前方の地面が光り、そこからナイトメアと美神さんのシャドウが現れる。

「貴方がナイトメアね〜〜!」

 ……冥子ちゃん……あなたが指しているのは美神さんのシャドウ……
 あまりの冥子ちゃんの天然ボケにヒョウがこけてるな。

「ブヒヒヒヒッ!!違うわよーー!!」

 ナイトメアが間違われて怒ってる……(笑)

「あれ?あなたナイトメアの付き人ですか?お馬さんなんて珍しい……にんじん食べますか?」

 おキヌちゃんが駄目押しする。

「だから違うっていってんでしょーが!ボクがナイトメアだよ!」 

 ナイトメアってオカマ言葉……勘九朗が最初じゃなかったんだ……

「はあ〜……冥子ちゃん、おキヌちゃん。あのウマヅラがナイトメア、あっちの奴は美神さんのシャドウですよ!」 
「……と、とにかく……なかなか面白い能力を持ってるようじゃない?人間が夢の中へ倒しにくるとはね。こいつを倒せたら相手してあげてもいいわよ!!ホホホホホ。まあせいぜい頑張ってボクの居所にたどりつくことね」

 ええ……あんたを見つけたらたこ殴りにして差し上げますよ。

「待ちなさい〜〜この〜〜。……え〜〜と〜〜……う、馬の骨〜〜!!」

 もう居ませんよ……ナイトメア……
 俺の心のつっこみと共に、美神さんのシャドウが襲ってきた!!
 さて、バトル開始か!

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