ザ・グレート・展開予測ショー

帰ってきた横島 ―18中半―


投稿者名:KAZ23
投稿日時:(03/ 2/ 7)

<前半からの続き>


「ふぅ〜・・・やれやれ、相変わらずひのめちゃんの炎は良く燃えるなぁ。」

ジャケットがボロボロになっちまった。

「横島君、大丈夫?」
「あ、愛子か・・・・・・ああ、とりあえず大丈夫だ。」

話し掛けてきたのは愛子だった。相変わらず、出歩く時は机背負っているんだなぁ・・・
これってなんとか出切るんじゃないか?ヨリシロを替えてやるとか、机を小さくしてやるとか・・・

「でも、突然だったわよね?」
「えっ?何っ?」

愛子がふいに言った台詞、その意味が俺には分からなかった。

「横島君がいなくなった時の事よ。」

ああ、そう言う事か。

「すまんな。心配かけたか?」
「まあね。私もだけど、クラスのみんなが心配していたわ。」

愛子が思い出すように語る。

「そうかぁ・・・でも、もともと俺ってほとんど学校にはいって無かった訳だし、そんなに変わらなかったんじゃ無いのか?」
「馬鹿ね。来ないと居ないじゃ全然違うのよ。横島君が居なくなって・・・」

愛子は少し怒ったようだ。

「みんな、貴方の話をしなくなったわ。前は横島君が学校に来ない時でも、良く話題にしてたのよ?」
「ほー・・・いったいどんなネタで遊ばれていたのやら・・・」

大部分は悪口なんだろうなぁ・・・
でも、居なくなって俺の話をしなくなったってのは・・・・・・やっぱり、もう忘れられたって事か?
ちょっと哀しいな。しょうがないけどさ。

「貴方の話をしてね、でも貴方がもう来ないって事を思うと・・・寂しくなっちゃうのよ。なんと言っても、横島君はクラスのムードメーカーだったんだから。」

ほんとかよ?信じられんな〜

「でも、もうそれも終わりよ。みんな卒業しちゃうわ。」
「ああ、もう3月だもんなぁ・・・」

俺はもう辞めちまったけど、みんなは3年生になっていて・・・そしてもう直ぐ卒業するんだなぁ。

「愛子はどうなるんだ?」

卒業するのか?

「ううん。ひとまず来年はもう一度3年生する事にしたの。その後はまだ決めてないけどね。」
「ほー、じゃあ小鳩ちゃんと同学年になるんだな。」

俺がいた頃にも、2人は結構仲良くなってたみたいだし、案外それが目的でもう1年やるのかもな。

「帰ってこない男子生徒を・・・」
「え?」

と、また唐突に話題を変える愛子。

「一人だけ卒業せずに待ち続ける女・・・・・・」
「それって・・・」

俺の事か?

「・・・青春だと思わない?」
「お前・・・」

つまりそれって、愛子は俺の事を待って卒業しなかったって事か?まさか?

「結局・・・帰ってきちゃったね、横島君。」

―― ホロリ ――

「うあっ!?ど、どーした愛子っ!?なっ、泣くなよオイッ?!」
「馬鹿ね。嬉し涙は流しても良いのよ。」

ああ、愛子は泣きながら笑ってる。

「お帰りなさい。横島君。」

そう言って愛子は微笑んだ。俺はうかつにも「可愛い」と思ってしまった。
いや、それは失礼だな。
こいつは昔から・・・

―― こんなに可愛いかったんだ ――

だから俺も、微笑んで答える。

「ただいま・・・・・・待たせちまったな、愛子。」




「氷室さん・・・なんだかちょっと良い雰囲気じゃありません事?」
「ふふふ・・・・・・横島さんは優しいですからね。」
「あれ?おキヌちゃん妬いたりしないの?」
「えっ?妬く?私が?・・・・・・・・・・・・ふふふふふふふふ・・・」
「(こ・・・怖い)」
「(ア、アタイも・・・)」




「横島さん!」
「よー、よう生きとったのー横島。」
「小鳩ちゃん!貧!」

この2人もそんなに前と変わってないなあ・・・

「ってか、お前が変わってないのは問題だろう、貧?」

こいつは、だんだんと大きな福を授けられるようになるんじゃ無かったのか?パッと見1年前と全く一緒だぞ?

「ちっちっち!そないな事あらへんで。ワイかてしっかり成長しとるんや。」
「ほんとかよ?」

こいつは今一、信用ならんからなー。

「本当ですよ、横島さん。」
「小鳩ちゃん。」
「今、うちはそんなに貧乏じゃ無くなったんです。母さんもパートに出られるようになったし。」

おー、あの人かぁ・・・・・・元気な病人だったよなー・・・矛盾してる言葉だけど。

「良かったじゃんか。順調なんだ?」
「はい。今は、実はあのアパートも引き払って、もう少しだけ良いお部屋に住んでいるんです。」

おお!それは凄い進歩だ。流石にあの4畳半に2人はキツイしな・・・

「はい、本当に順調で・・・・・・全部、横島さんのおかげです。」
「なっ!?ちょっと魔ってよ!俺、何もしてないぜ?!」
「あほー!横島はワイを福の神にしてくれたやないかー?!忘れたんか?」

いや、それは確かにそうなんだけど・・・

「それだけじゃないですよ。横島さんはいつも小鳩に優しくしてくれたじゃないですか?貧乏神が取り付いていた私にあんなに優しくしてくれたのは、横島さんだけでしたもの。」
「いや、でもな?よくよく考えてみると、あれは俺一人じゃあどうにも出来なかった訳で、やっぱりみんなの力の賜物って言うか、俺が優しかったのは下心有りだったっちゅうか・・・」

困る!こんな、いまいち自信を持って俺が何とかしたって言えない事で、こんなに感謝されたら凄い困る!
駄目だぞ、小鳩ちゃん!?そんなに清い心すぎると、誰かに騙されちゃうぞっ!!?

「ほんまに横島は阿呆やのー!」
「なんだと、コラこんちくしょーーっ?!!」

貧が、やれやれって感じで首を振っていた。

「小鳩が感謝する言うてんやさかい、素直に感謝されとかんかい。話がややこしくなるやろが?!」
「ふふふ、貧ちゃんったら。でも横島さん。私もその通りだと思います。ここは素直に、私の気持ちを受け取ってください・・・ね?」

ああ?!もう、そんな顔で言わないでよ、小鳩ちゃんっ!

「あ〜・・・うん。その、了解です。」

恥ずかしいぞ・・・・・・うああ、顔が赤くなってるんだろうなーーっ!

「そのうち、きちんと恩返しするんですから・・・もう、何も言わずにいなくなったりしないで下さいね?」
「うあっ?!」

突然、小鳩ちゃんの顔が泣きそうな物になる。

「私、心配したんですよ?もう、横島さんには逢えないのかなって・・・ヒッ、ヒック・・・」
「ああっ?!ご、ごめん小鳩ちゃん!もう勝手にいなくなったりしないから!誓います!だから泣かないで!ねっ?ねっ?!」

ってか、もう泣いちゃったよ。しかも一気に臨界点だよ!?
ぐああっ!!美少女の涙は反則じゃーーーっ!!


「約束ですよ、横島さん・・・小鳩は必ず恩返しするんですから。」
「うん。有り難う、小鳩ちゃん。」

そう言って、小鳩ちゃんは赤くなりうつむいてしまう。貧がニヤニヤしてる。
くそっ!慌ててる俺を面白がってるな?!趣味の悪い野郎だ!

「今度はほんまの結婚式でもするか?」
「ぶーーーーーーっっっ?!!!」

こいつっ?!ぜってー面白がってるなっ!?があーーーっ!見ろっ?!小鳩ちゃんますます赤くなっちまったじゃねえかっ?!
小鳩ちゃん純情なんだから、こんなネタでからかうなよなっ!

「お前も相変わらず鈍いのー・・・」
「何がじゃっ!?」
「いや、まったくやで。」

そこに、銀ちゃんが混ざってきた。

「うあっ!なんだよ銀ちゃん?いきなり・・・」
「この人の言う通りや。お前は相変わらす鈍ちんや!質悪いで、ほんま。」

なんだよ銀ちゃん?何が言いたいのか全然わかんねーよ?!

「おー、あんさんもそう思うかー?」
「ってか思わん奴の方が少ないやろ?結構みんなあからさまやっちゅうにな・・・」
「全くや。小鳩も難儀な奴に捕まったもんやで・・・」

だから、お前らはなんの話をしとるんじゃーっ!?

「そこが、横ッちの良い所であり悪い所や。はたで見てる分にはおもろいけど・・・」
「巻き込まれたら難儀やのー。」
「だから、お前らはなんの話をしとる?!」

突っ込みを入れた俺に、2人の視線が刺さる。
うっ?!なんだ、この視線はっ?!!
まるでどうしようもない阿呆を見るような、呆れているような、哀れんでいるような・・・

「ま、分からんうちは知る必要も無いで。」
「せやな。」

ああっ!?なんだ、そのっ!?明らかに見下しているようなため息と態度はっ?!

「しっかし、横っち!色々とビックリしたで。」
「ん?ああ、まぁ・・・・・・色々あったからな。」

なんだよ、銀ちゃん?急に真面目な顔になったな?

「特に子供ってのにビックリや。俺らまだ18やで?」
「まーなー・・・・・・でも、良いんだ。俺がコレを選んだんだからな。」

連られて、俺も真面目に答える。

「ほー・・・ええ顔やんか?ま、頑張れ!俺は応援するで。」
「はは、ありがと銀ちゃん。」

なんだかんだ言っても、銀ちゃんって良い奴だよな。

「そうそう、俺の落とし前はさっき決めといたで。」
「なんだよそれ!やっぱりなんかすんのかよ?!」
「当然やろ?俺かて心配しとたんやで?!」

うっ!それを言われると聞かざるおえない。

「で・・・・・・何を?」
「俺の持ってる番組で、ゲストで来た芸能人の幼馴染を出演させる番組があってな?今度特番で、俺の幼馴染を連れて行くことになったんや。横っちにはそれに出てもらうで。」

何っ!?

「テレビっ!?しかも銀ちゃんの連れで!?」

そんなの絶対引き立て役になる!決まってる!目に見えるぞーーっ!!

「断らんやろうな、横っち?」

うっ!!
くそう・・・立場が弱いなぁ俺。しょうがないけどさ。

「・・・・・・・・・はぁ、分かったよ。出ればいいんだろ出れば。」
「くくく。サンキューや、横っち。」

銀ちゃんってこんな性格だったのか?
はぁ、やれやれ。


<後半に続く>

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