ザ・グレート・展開予測ショー

モンスタースイーパー (その8−7)


投稿者名:TAITAN
投稿日時:(03/ 2/ 6)

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モンスタースイーパー (その8−7)


ダダダダダ!!
私たちは、必死にセリーヌ王女を探した。
国王の部屋に行くと、1人の老人の死体が転がっていた。
すでに白骨化しており、死後1年か2年は経っている。
そのぐらい前から、政権はアルカディナ王国大臣アストに乗っ取られていたみたいね。
おっと、こんな処に長居は無用。
私たちは、セリーヌ王女の捜索を再開した。


ギイィィィィィ!!
巨大な木の扉を開き、中へ入る。
「ふっ、やはり来たか。」
キザッぽい笑みを浮かべて、アストが言った。
部屋の向こうには、腕を縄で拘束され、吊るされてるセリーヌ王女の姿があった。
怪我はしていないみたいだが、失神している。
「能書きはいいから、アンタの目的を聞かせてもらいましょうか。」
アストは、鼻笑いをし、私に言った。
「アースノイド王国の王女には、昔から強大な魔力が眠っているという言い伝えがある。私はその魔力を使い、我が僕となる魔族を創り上げるのだ!!」
高笑いするアスト。
「悪いけど、ガキみたいなことに付き合ってる暇はないの。王女を返してもらうわ。」
「フンッ!口だけは達者のようだな。ちょうど良かった。ついさっき、レッサーデーモンを呼び出したところだ。コイツの相手をしてもらおう。」
アストが指をパチンと鳴らすと、床から、レッサーデーモンが姿を現す。
出るわ出るわ、計10匹。
「さぁ、この者共を食い殺せ!!」
その声を合図に、レッサーデーモンたちが襲い掛かってくる。


「冷たき氷よ、するどき角となり、敵を貫け!」
タマモが詠唱をし、目の前に、数本の巨大な氷柱(つらら)を出す。
「氷の矢(フリーズ・アロー)!!」
グサササササッ!!
巨大な氷柱は、1匹のレッサーデーモンをハリネズミ状態にし、それを倒した。
あと9匹。


「栄光の剣(ソード・オブ・グローリー)!!」
横島クンが叫ぶと、横島クンの手の上に、1本の剣が出現する。
その柄を手に取り、レッサーデーモンに斬りかかる。
「でりゃっ!!」
ズバァッ!!
『ギシャーーーーーーーーーーー!!』
レッサーデーモンの悲鳴が聞こえる。
当たり前だ。
横島クンの剣が、レッサーデーモンの右腕を斬りおとしたのだから。
紫色の血がドバドバと出る。
うわっ、気持ち悪い。
もう少し離れて戦おう・・・・。


「ていっ!!」
シロは、霊波刀でレッサーデーモンを斬っている。
しかし、あまり効いてない。
「くっ!」
突進するシロを避け、レッサーデーモンが、後ろからシロに襲い掛かる。
「しまっ!」
「ファイヤー・ボール!」
ドーーーーーン!!
タマモが放った火球が、シロを襲おうとしたレッサーデーモンに命中する。
「何やってるのよ!!このバカ犬!!」
「な!!人のことが言えるでござるか!!この女狐!!」
「なんですってーーーーー!!」
「やるでござるか!!」
「やってやろうじゃない!!」
その時、2匹のレッサーデーモンが、2人に襲い掛かる。
そのレッサーデーモンを、2人が睨む。
「邪魔(よ!!)(でござる!!)」
タマモは"雷の矢(ライトニング・ボルト"で、シロは霊波刀で、レッサーデーモンを倒す。
「とりあえずは!!」
「こやつらを倒してからでござる!!」
2人は、同時に笑った。
なんだかんだ言って、結構いいコンビなのだ。シロとタマモは。


「白い玉(ホワイト・ボール)!!」
おキヌちゃんは、白魔法の攻撃呪文を使い、レッサーデーモンと戦っていた。
しかし、"白い玉"は初級の呪文だ。
中級魔族であるレッサーデーモンには、あまり効かない。
「けどっ!!」
おキヌちゃんは、攻撃を繰り返す。
敵の攻撃を避けながら、同じ魔法を唱える。
そして、ついにレッサーデーモンを1匹倒した。
「や、やった!!」
喜ぶおキヌちゃん。
その隙をついて、レッサーデーモンが1匹襲い掛かる。
「!!」
「ファイヤー・ボール!!」
私が放った火球は、レッサーデーモンに命中し、一瞬にして、黒焦げにした。
「油断しちゃだめよ、おキヌちゃん!!」
「す、すいません!!」


約30分後・・・・・。
「ば、バカな・・・・・。」
アストは驚愕する。
それはそうだろう。
1匹で、兵500人に匹敵するほどの力を持つ中級魔族レッサーデーモン、しかも10匹が、わずか5人によって倒されてしまうからである。
「ちゅ、中級魔族であるレッサーデーモンが、何故、こんなヤツらに・・・・。」
無視無視。
私たちは、驚いたままのアストをほっといて、吊り上げられていたセリーヌ王女を救出する。
「セリーヌ王女!大丈夫ですか!?」
横島クンが呼びかけると、セリーヌ王女は目を覚ました。
「よ、横島さん・・・・・。」
そう言うと、いきなりセリーヌ王女は、横島クンに抱きついた。
「うわっ!!ど、どうしたんだよ!!」
「恐かった!恐かったーーーーーー!!!」
泣き出すセリーヌ王女。
横島クンは、そんなセリーヌ王女を、優しく抱きしめた。
・・・・・・・面白くないわね。


「さてと、覚悟はいい?大臣さん。」
私は、後ろを振り向き、アストを見る。
「ふ、フフフフフフ!!このままで済むと思ったら大間違いだぞ!!出ろっ!!」
アストがそう言うと、ゴブリンやオーク、トロルなどが、ウヨウヨ出てきた。
「これだけの数が相手だ!!このメス豚め!!すぐに地獄に送ってやる!!」
ピッキーーーーーーーン!
その時、私の頭の中で、何かが切れた音がした。
「・・・・・皆。」
私は、アストの方を見たまま、皆に言った。
「宝物庫にある財宝を、出来るだけ多く奪って逃げるのよ。」
皆の方を見て、私はニコリと笑った。
ズザザザ!!
皆は、一瞬にして、壁に張り付く。
顔からは、大量の汗が吹き出ている。
「わ、分かりました!!」
そう言って、皆は、部屋から出て行った。
・・・・・まぁ、いいわ。
私は、呪文の詠唱を始めた。

海の人魚より美しきもの
天の女神より可憐なもの
すべての男を魅了せし
素晴しき貴女に 私は願う

その美と魔の力に刃向かいし
すべての醜きものに
貴女と私の力により
美を汚すものを今消し去らん!

「美醜爆(ビューティ・フレア)!!」
チュドーーーーーーーーーーーーン!!!!!
「ぐ、ぐわーーーーーーーーーーーー!!!」
アストの悲鳴が聞こえる。
辺りを、爆風が包んだ。





それから1週間後・・・・。
アースノイド王国に帰ってきた私たちは、国王から報酬をもらい、
出発の準備を始めた。
しかし、横島クンの姿はない・・・・。
セリーヌ王女が、別れの挨拶をしたいと言ったからである。



城門前・・・・・。
そこに、横島とセリーヌの姿があった。
「行ってしまわれるのですね・・・・。」
「うん・・・・・。」
「・・・・・・・・・・。」
「そんな顔をしないで!笑って。ね?」
ニコリと笑う横島。
それを見てセリーヌは言った。
「横島さん、好きです!!私も連れて行ってください!!」
「!!」
横島は驚いた。
まさか、アースノイド王国の王女に告白されるとは思わなかったからである。
横島は、首を横に振る。
「ダメだ。君を連れてはいけない。住む世界が違う。」
「MSに、頑張ってなります!!だから!!」
「ダメだ!!」
「!!」
横島は怒鳴った。セリーヌは驚愕し、すぐに悲しい表情になる。
「どうして・・・?私が、嫌いなんですか・・・・?」
ポロポロと、涙を流すセリーヌ。
あわてて、横島は、首を左右に振る。
「ち、違う違う!嫌いなんかじゃない!」
「じゃあ、何故!!」
横島は黙った。
そして、口を開いた。
「君を、苦しい目に合わせたくない・・・・。MSは、そういう仕事なんだ。」
「・・・・・・・・。」
「でも、安心して。」
そう言って、横島はセリーヌの額にキスをする。
「!!」
「何かあったら、すぐに助けに来るから、約束だ。」
そう言って、横島はニコリと笑った。
「・・・・・はいっ。」
涙を拭い、セリーヌもニコリと笑った。
そして、横島は美神たちのところへ戻った。
セリーヌは、いつまでも横島を想い続けるだろう。
いつまでも・・・・。

続く・・・・。

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