ザ・グレート・展開予測ショー

ルシデジャ♪(三)


投稿者名:パープル遼
投稿日時:(03/ 2/ 6)


「・・・なんだったんだろうな結局・・・」

「さあ・・・」

二人は今、お化け屋敷(?)から出てきたところである。意外と時間が経っていたらしく、だいぶ日が傾いている。

「・・・気分直しに観覧車にでも乗らないか?」

「あ、それいいわね♪」

この時間なら夕日が綺麗に見えるだろうし、園内で一番高い所と言ったら観覧車だ。
それを考えての横島の提案に、ルシオラも嬉しそうに――横島の考えが分かったのだ――答えた。

「早く行きましょ♪」





観覧車に、向かい合って乗り込んだ。非常にいいタイミングだったようで、おそらく最も夕日が綺麗な時に頂上に着くだろう。
一周の四分の一くらい回った所か。横島が立ち上がり、外を眺めていたルシオラの肩を叩いた。そちらに顔を向ける。
ちょいちょい、と指で天井を指していた。

びゅうん

文珠を使い、天井を通り抜けて観覧車の上に出た。多少風が吹いているが心地よい程度で、振り落とされる心配はない。たぶん。

「んー、いい気持ちねー。」

「観覧車の『中』から夕日を見たカップルはいっぱいいただろうけどさ、『上』から見たのは俺達だけだろーなー。」

世界最高の霊能力を、こんなことに使っている。もったいないような気もするが、これが正しいありかたのような気もする。
横島が、これで仕事の時出せなかったらまた美神さんに殴られるかなー、とか考えていたら、不意にルシオラに声を掛られた。

「・・・ねえヨコシマ。私のことどう思ってるか言ってみて?」

いたずらっぽく微笑みながらそんなことを言う。ただしルシオラは夕日を見ていて、目は合わせていない。
顔が赤いのは、夕日の色だけではないだろう。
そう言われて、考える。
好きだ。
愛している。
なによりも大切だ。
なんだか酷く陳腐な言葉しか思いつかない。自分の語彙力のなさを恨めしく思う。
伝えたい気持ちはあるはずなのに、うまく言葉にならない。
まったく、心を直接触れ合わせられればどんなにいいか。

言葉の代わりに、ルシオラの腰に手を回し、少し力を入れて引き寄せる。自然、顔が向き合う。
もうすぐ観覧車は頂上に着く。

輝くような夕日を背景に、赤く染まった世界の中で、二つの影が今、重なる・・・

(・・・ズルい答えよね・・・)







































「あのう、お客様?屋根から下りていただけますか?」

困惑したような声で、係員が声を掛けてきた。

「「・・・え?・・・」」

ふと気が付くと、下まで下りてきていた。
・・・雰囲気に酔い、ルシオラは横島の胸に頭を乗せ、横島はルシオラの肩に手を回した格好のままで。
当然、下には多数の他の客がいる。つまり、ものすごい人数にラブシーンを見られたわけだ。

「いったい、どうやって上ったんですか、観覧車の上になんて。危険なんですから・・・」

「えと、あの、すいませんでした!!じゃ、そーゆーことで!!」

「ああ、ちょっと、お客様!?」

恥ずかしさからか、注意をする係員を振りきって逃げ出す。
夕日は沈んでいたから、あまり顔は分からなかったはずだ。

・・・ちなみにここの職員の間で、『観覧車に上ってラブシーンを演じたカップル』の話題がしばらく流行ったそうな。
























次の日。とある屋根裏部屋の住人が、朝になるまで帰って来なくて大騒ぎになったとかならなかったとか。

今までの コメント:
[ 戻る ]
管理運営:GTY+管理人
Original GTY System Copyright(c)T.Fukazawa