ゥゥゥゥゥ・たら
投稿者名:ユタ
投稿日時:(03/ 2/ 5)
アシュタロス事件から2か月後・・・
世界はその傷跡から順調に復興を見せ始めている。
いや、世界中のほとんど人がアシュタロスのためにこの世界が失くなりかけたことを知らないだろう。
だからこそ恐怖もそれ程感じることなく幸せの日々を送っている。
世界を救ったこの二人も・・・・・・・・
「ねえ、このぬいぐるみどう思う?」
ルシオラは露店に並べられたぬいぐるみを一つ持ち上げると、その感想を隣にいる少年・・・・横島に求めた。
「え、どうって?」
「も〜、かわいいとか、デザインがいいねとかあるじゃない」
「ああ、可愛いんじゃないの?」
元来あまりぬいぐるみに興味のない横島(まあ総じて男子はぬいぐるみに興味はないが)は『なおざり』に答えを返す。
そんな横島な態度にルシオラは少しムっと来た。
「そんな投げやりに答えても嬉しくないわよ!」
そう言ってぬいぐるみを元の場所に戻すとルシオラは一人、早足で駆け出した。
いきなりのルシオラの行動に驚き初動が遅れる横島。
「ちょ、ちょっと待てよ!ルシオラ!」
やがてハッと気づき、横島もその後を追い走りだす。
そして10m程してやっとその右手を捕まえた。
「悪かったって!これからはちゃんと答えるから・・・な?」
「本当にぃ〜?」
ルシオラは振り返り、ぷぅ〜と頬を膨らませながら少し怒った目で横島を見つめた。
そんな表情をするときはもちろん本気で怒っているわけではない。
「ホントホント」
それが分かっていつつ横島はペコペコと頭を下げた。
「・・・・・・・ふぅ〜、じゃあ今日の夕飯はヨコシマの奢りだからね♪」
「いいっ!?今日の映画だって俺の奢りだったのにー!」
「じゃあ許してあ〜げない」
「ううう、分かりましたよ。ったく・・・最近出費が激しいな・・・トホホ」
今日一日の散財を思い出し涙する横島。
たまに美神から安い仕事を任せられるようになったものの何故か相変わらず貧乏のままだった。
「ふふ、じゃあ今度また、美神さんに仕事まわしてもらいましょうよ。8割は取られちゃうかもしれないけど」
「早く助手から出世してえな〜、んで独立して一人前になって・・・・」
「ヨコシマなら出来るわよ♪私も協力するから・・・・・・・・・・・・一生ね」
ルシオラは横島の右腕に自分の腕を絡ませながら囁いた。
最後のほうは小声で横島に聞こえなかったが。
「でも、ヨコシマはまだ17歳なんだしゆっくりいこうよ♪」
「ま、そりゃそうだけど・・・・一人前になって・・・惚れてる女くらい養いたいし」
少しだけ視線をそらしながらポリポリと頬をかく横島。
そんな横島にルシオラはかあ〜と顔をさらに紅くする・・・・
「うん・・・・」
そして、静かに横島の胸に顔を埋めた。
「ずっと一緒にいてよね・・・・」
「当たり前だろ・・・・」
横島もルシオラの背に腕を回しやさしく・・・それでいて強く抱きしめた。
まるで儚い何かを逃さすように、もろい何かを壊さぬように・・・・ずっと・・・ずっと・・・無くさぬように
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チュン・・・チュン・・・
眩い朝日の中・・・小鳥達の爽やかな泣き声が横島の意識を覚醒させる。
そして覚醒した意識はやがて全身に伝わり体の感覚を思い出させ、脳を働かせる。
横島はそうやって今の自分の状況を呟いた。
「・・・・・・・・・・またこの夢か・・・」
自分の腕に温かいぬくもりを感じつつ、横島はんーっと背伸びをすると布団から這い出した。
こんな夢を見るのは別に珍しいことじゃない・・・
それでいて毎日見るわけじゃない・・・たまに・・・一週間に一度見るか見ないかくらいだ。
シチュエーションも毎回違う。
今回の夢だと・・・
二人でデートしたら・・・・
そして軽くケンカしたら・・・
仲直りしたら・・
前に見た夢だとそれだけじゃない・・・
ルシオラと結婚したら・・・
二人に子供が出来たら・・・
・・・たら・・・・過去の出来事を変え、今と変わった未来を夢にみる。
ルシオラが生きていたら・・・という夢のような出来事を夢に見る。
楽しい夢・・・・・・・・・・そしてその代償として目覚めたときに訪れる喪失感・・・
「ふあ〜・・・さ、今日はユニコーンの捕獲だったけ?」
あくびをかきながら今日の日程を誰に言うでもなく横島。
まるでその夢に何も感じないように・・・・・
「ふわあ〜〜・・・眠む」
もう一つ大きなあくびをかく、あくびのせいで右目に涙が一粒目に浮かぶ。
その涙を手の甲で拭った・・・しかし
今度は両目から流れた涙が頬を濡らした・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・今の気持ちを表すように・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・本当の気持ちを表すように・・・・・・・・・・・・・・
完
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あとがき
えーと、「次回新作書くならマリクラさんのリクSSですよ〜」と言いつつ違うものを・・(汗)
あああ、マリクラさん殴らないでー(泣)←(マリクラさんは紳士なのでそんなことしませんが)
実はこのSS・・・veldさんの「例えばこんな話」を読んだら書きたくなってしました・・・
「あああ、こんなにルシオラと横島が幸せそうに朝食を・・・こんな幸せ・・・実は夢でしたっていう展開はどうだろう(ニヤリ)」
とバカなことを考えてしまって(汗)
と、あとは夢から覚めると「ああー!いい夢だったのにな〜」とか思う経験を横島に当てはめてみたかったとうか・・
何かワケの分からない作品になってしまったような・・・だって・・・だって・・・
僕だって短編モノ書いて見たかったんだあああ!!うわあああああああああんん!!!(泣逃)
今までの
コメント:
- タイトルが文字化けしてる!!?(汗)
正しくは
「・・・・・・・たら」
です(汗) (ユタ)
- 夢オチだったんですかぁぁぁ!?幸せな日々だと思ったのに・・・・・
幸せな、あったかもしれない日々の夢から覚め横島が、引き戻された現実を受け入れている所に何故かほろりとしてしまいました。
短編物はこれからも是非! (志狗)
- 志狗さんへ
>夢オチだったんですかぁぁぁ!?
ぐはああああ!(吐血)
ま、まあそれを言われたら反論しようがないというか・・・
まあ・・・書いてて思いましたけどね、はん(泣)←開き直り
短編のほうまた頑張りますんでよろしくお願いしますm(__)m (ユタ)
- くっ・・・なぜに夢オチ。
でも途中まで喜んで読んでたから賛成。 (紫)
- 夢落ちでしたか・・・(遠い目)
こうやって過去の想いと向き合い続けることで、乗り越えていけるものかも知れませんね。 (NAVA)
- 夢落ちショック症候群・感染第4号でございます(挨拶)。人間なら誰しも、自分の人生が何もかも上手くいくことを願うものですが、それが永遠に達成できぬ夢だと知った時の落胆ぶりは只者ではありません。普段はルシオラとの一件が何事も無かったかのように振舞う横島クンが一瞬見せた「本当の気持ち」が印象的でした。と言うワケで、ぷぅ〜と頬を膨らませていたルシオラに賛成票1票です♪(脈絡なし) 投稿お疲れ様でした♪ (kitchensink)
- 夢落ちに凹。(挨拶)
「・・・・・・たら」という言葉はホントに切ないですね。
ルシオラが生きていたら・・・・・・
え〜い!!こうなったらルシオラが生きてる読みきりを書くしかなーーーい!!!
(無責任な宣言) (ハルカ)
- 夢オチですか・・・何だか切なくなってしまいました。
横島君の切ない気持ちが伝わってくるような感じでした。
しんみりと拝見させていただきました。 (影者)
- ユタさんはじめまして。
夢落ちは嫌いです。
でも賛成。幸せな2人が良かったから。
これで夢じゃなかったら・・・これで夢じゃなかったら・・・ (KAZ23)
- 紫さんへ
あははは、正直紫さんからの反対票は覚悟してましてた(汗)
ううう、やっぱりルシオラが生きてました・・っていうSSを書くのは難しくて
すいません(泣) (ユタ)
- NAVAさんへ
あああ、そんな遠い目をなさって・・・(汗)
>こうやって過去の想いと向き合い続けることで、乗り越えていけるものかも知れませんね
そ、それだ!きっとそれが言いたかったんだー俺は!・・・・多分 (ユタ)
- kitchensinkさんへ
>夢落ちショック症候群・感染第4号
あああ、感染者が増大中・・・すんまへんすんまへん(泣)
やっぱ反則かー・・・しくしく
あとがきにも書きましたけど、夢から覚めたときの喪失感ってやつをやってみたくて(汗) (ユタ)
- ハルカさんへ
ヘコませてすいませんm(__)m
何かもールシオラーの方ごめんなさい!
>え〜い!!こうなったらルシオラが生きてる読みきりを書くしかなーーーい!!!
そうだー!是非読みたいぞー! (ユタ)
- 影者さんへ
しんみりしてもらえればこれ幸いです(TT)
次回はもう少し正攻法で頑張りますのでよろしくお願いしますm(__)m (ユタ)
- KAZ23さんへ
初めまして♪
と、言っても「帰ってきた横島」は何気に毎回読ませていただいてます♪
コメントのふは最終回にまとめて書くつもりです〜!
だから絶対最終回まで書いてください!もう楽しみにいつも読んでいるのいるので!
あああ、もう夢オチでごめんさい!
でも、初めから夢オチ書こうと思ったんじゃなくて、結果的に夢オチというか・・・(言い訳) (ユタ)
- ちょいと遅くなりました、弥三郎です。
ずごーーーん!!
ゆ、夢でしたか……
なしてルシオラがぁーーー!!むきーー!!
はぁはぁ、でもほんとにこんな世界があったらいいですね。 (弥三郎)
- 夢オチは駄目ダス(混乱)
いや、マジで、しようと思ったんすよ・・・夢オチ・・・でも・・・なぁ・・・と。
でも、やってしまうユタさんに乾杯(謎)
夢の中でしか逢えない彼女、「一緒に」、「ゆっくりと」、もう二人で過ごす時間はありえないというのに。悲しいほどに彼女は彼に優しく語りかける。
私的には、『夢で逢えたら』って感じでした。 (veld)
- 弥三郎さんへ
>でもほんとにこんな世界があったらいいですね
まぁ、そこらへんはルシオラー第一人者の紫さんやハルカさんがやってくれるでしょう?(笑)
本当にルシオラが生きてるSSを書くって言うのは難しいですね〜(汗)
次回も頑張りますのでよろしくお願いしますm(__)m (ユタ)
- veldさんへ
veldさんがいけないんやー!あんないいSS書くからー(泣)
ってveldさんも躊躇する夢オチ・・・あああ、やるんじゃなかった(汗)
>私的には、『夢で逢えたら』って感じでした。
あああ、そのタイトルナイス!
相変わらずネーミングセンスないな〜僕・・ (ユタ)
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