ザ・グレート・展開予測ショー

世界はいつも流れて……(34)


投稿者名:リュート
投稿日時:(03/ 2/ 4)

 夕方……
「それじゃ〜〜行ってきますね〜〜」
「ええ、でも親父には注意してくださいね……」
「いってらしゃい!」
 俺とおキヌちゃんは冥子ちゃんを見送る。
 そして、冥子ちゃんはインダラに乗って親父との待ち合わせ場所に向かって行った。
「よし!それじゃ、妨害しに行くぞっ!!おキヌちゃん!!」
「えっ?」
 俺が言うと冥子ちゃんが去っていった方向へ手を振りつづけていたおキヌちゃんが驚く。
「冥子ちゃんが親父に襲われたら、俺が六道さんに何されるか分からないからな。俺の命を守る為と身内の恥をこれ以上増やさない為に……俺は親父の野望を妨害してやる!!」
「で…でも妨害って……」
 俺が叫んでいると、おキヌちゃんが恐る恐る聞いてくる。
「作戦は出来ている……道具はこれだ……」
 俺は机の上に置いたバックを開ける。
「ひっ……ひええーーっ!」
「ん?おキヌちゃん……何を驚いてるんだ?この中に入ってるのはビデオカメラ、高性能集音マイク、変装衣装とかだぞ?」
 俺はバックの中を整理しながら平然と言う。
「も、もう一つのバックに入ってるのは武器ばっかりじゃないですかーー!!」
 ……ああ、確かにもう一つのバックには手裏剣やクナイ、軽機関銃「イングラム」、M136AT4対戦車ロケットランチャーやM26A1手榴弾、指向性対人地雷クレイモアぐらいしか入ってないな……少ないか?
「おキヌちゃん……人は自分の命を守る為に親をも犠牲にするって聞いたことない?」
「ありません!!……それにしても、こんな武器をどこで手に入れたんですか!?」
「厄珍堂……」
 俺が言うとおキヌちゃんは納得した。
「とにかく!武器は置いていってください!!」
 結局、おキヌちゃんに止められ俺は武器が入ったバックを置いていく事になった。
 まあ、本当に持ってく気は無かったけどね……多分……



「お待たせいたしました、こちらでございます」
「うむ」 
 親父と冥子ちゃんはホテルの店員に案内され窓側の席に着く。
「横島くんの〜〜お父さまと食事なんて〜〜何か変な感じですね〜〜」
「わっはっはっ!大樹と呼んでくださいよ!今夜はあんなバカのことは忘れてパーッとやりましょう!!」
 しばらく話しが進み……
「……で悪霊が私に襲いかかった時〜〜横島くんが必死で私のことを守ってくれたんですよ〜〜」
「……さっきから忠夫の話題が多いな」
「あれ〜?そうですか〜〜?」
「やはり共通の話題が少ないからですね。冥子さんの役にも立ってるし、つくったかいがあったかな。どうです、上のバーでほかに共通の話題を探すというのは?」
 親父は天井を指して言う。
「そうですね〜〜」
 冥子ちゃんはニコニコしながら頷いた。



「すみませんが、俺も手段を選んでられないのでね!そこで眠っててください」
 俺は文珠「眠」で眠らしたバーテンダーを物置に隠す。ついでに文珠「忘」を使い、記憶を消しておいた。
「これって犯罪じゃ……」
「ふっ、大事の前の小事だ。気にするな……それより親父がそろそろ来るから、おキヌちゃんは隠れてくれ!」
 俺は今日用意したバーテンダーの服を着る。
「まあ〜〜お洒落な所ですね〜〜」
「そうでしょう?ここはお勧めの場所なんですよ」
 親父と冥子ちゃんがカウンターに座る。
 俺は後ろを向いて、グラスを拭く。
「マスター!クリュグを頼む!」
「へい!」
 俺は声とついでに変装セットで顔も変えておいた。(じっと見られるとばれる程度だけど)
 そして、上の棚にあったクリュグを出しテーブルに置く。
「まあ〜〜とっても美味しいですわ〜〜」
 冥子ちゃんはグラスに注がれたクリュグを飲んで感嘆な声をあげる。
「ここはいつもクリュグのいいのがそろえてあるんです。こいつは一本8万ですが、値段にみあった味でしょう」
(くっくっく……!!私とてダテに中年はやっておらん…!!今日は味も値段も最高の酒でとことん酔わせてやるつもりだ……!!んでてきとーなとこで『実は部屋をとってあるんだ』、とかいって一気に……!!)
 親父は冥子ちゃんを見るが……
「むにゅむにゅ〜〜すう〜〜すう〜〜」
「だああ!!」
 ガクッっとこける親父。
 まあ、冥子ちゃんはほとんど酒飲まないからな……弱いんでしょう……
「ま……まあいい……さて、部屋に連れていくか……そして……グフフ……マスター!お会計、カードで頼むよ!」
 そう言って親父はメリケン・エクスカリバーゴールデン・スペシャルカードをカウンターに置くが……
 ザクッ!ダン!!
「うおうっ!?」
 俺はメリケン(以下略)カードをアイス・ピックで突き刺す。
「!!おっ……おまえ……!!」
「ふっふっふ……親父〜〜!!俺の命を守る為、冥子ちゃんには手を出させないぜ!」
 俺は変装を解く。
「くっ……ここでは騒ぎたくない……オモテに出ろ!!」
「望むところよ!」
 俺は冥子ちゃんをおキヌちゃんに任せ、親父と一緒に屋上に上がった。



 ゴオオオオオッ!!
 屋上は風が強く、俺の髪をなびかせる。
「忠夫〜〜!!ここまでやったからには覚悟はできてるんだろうな……!!」
「そっちこそ覚悟はいいな…!?おとなしくしていたら親の威厳を失わずにすんだものを…!息子に敗北する屈辱を味わうがよい!!」
 俺と親父は睨み合う。
「俺に勝つだと?面白い……かかってこい忠夫!!どーせおまえの負けだがな!この父を倒してみろ!!どーせ出来るわけねーけどなっ!!」
「親父……死ぬぇえーーっ!!」
 サイキックソーサーを親父目掛けて投げつける。
「うわっ!!」 
 ドコォォンン!
「よっしゃあ!直撃!」
 俺はガッツポーズを取るが……
「こ……この程度で・…!!俺に勝ったと思うな…!!」
 う、嘘……直撃だったぞ……普通ならボロボロになってるはずなのに……
「それなら、もう一発!!」
 俺はもう一度サイキックソーサーを投げつける……だが……
「とりゃあ!!」
 なんと拳でサイキックソーサーを粉々にする。
「それでも人間か!!てめーはーー!!」
「俺は負けないぞ……何故なら欲望によって動いてるからな!!」
 うわ……そんなもので俺のサイキックソーサーが……
「山より高い父の強さを知れ、忠夫ー!!」
 俺は、親父が懐から出したナイフを避ける。
「てっ……てめー!ナイフなんて卑怯じゃないか!!」
「飛び道具を持ってるお前に言われたくないわ!!」 
 くそっ!これならあの武器を本当に持ってくるんだった。
 俺は栄光の手を出し距離を取る。
 そして、睨み合いが続き……
 ダン!
 突然屋上のドアが開いた……そのドアを開けたのは……
「こんな所にいたのね〜〜お父さま〜〜。それに〜〜横島くんもいるわ〜〜」
 えっと……冥子ちゃんでした……って目が渦巻き!!酔っ払ってる!!
「にゃはは〜〜それじゃ〜〜皆で遊びましょう〜〜♪」
「ちょ、ちょっと待て!!」
 俺が止めるが遅かった、式神達は出てきたとたんに暴走し……
「にょわーーー!!!」
「どしぇええええ!!!!」
 グォオオォォオオオオオンンン!!!
「むにゃむにゃ〜〜」 
 しばらくして、また冥子ちゃんは眠ってしまう。
 だがその頃には俺と親父はボロボロだった。 
「はっはっは!!忠夫〜〜!!今回は彼女を諦めよう、だが次の帰国でまたやるぞ!!」
「てめえは!!こんな事になってもまだ懲りないのかーー!!」
 俺の叫びは辺りに響いた。
 その後、何故冥子ちゃんが屋上に来たのかと言うと、俺の指示でおキヌちゃんが冥子ちゃんを休ませる部屋を取ろる為に、冥子ちゃんから目を離してしまい、その間に起きた冥子ちゃんが親父がいないことに気づき、探して屋上に来たということだった。
 
 
 
 
 そして……その事件から3日後……
「百合子、帰ったぞ!」
 ナルニアに帰国した親父は家の扉を開ける。
 だが扉の向こうには……
「あなた……お帰り……向こうでは随分楽しんだようね……」
「ひっ!」
 そこには鬼がいた。
「息子の上司の冥子さんに手を出そうとしたり、昔の浮気で十人以上?」
「そ、それは……(謀ったな忠夫!)」
 親父の顔が青くなる。
「それに面白い事を言ったようね……『父さんが彼女と食事しよーが酒飲もーが不倫しよーが、全然かまわんじゃないか』だって?」
 ここで母さんはにっこり笑う(親父にとっては地獄の笑み)。
「覚悟はで・き・て・る?」
「ま、待て、話せば分かる!!」
 いや、話しても分からんと思うが……
「死ねーー!!このヤドロク!!」
「うぎゃあああああああああああ!!!!!」
 その日ナルニアに大雨と雷が鳴り響き、偶然この惨事を目撃した近所の青年が『あの光景は一生、脳裏から離れないだろう』と言葉少なに語ったという………

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